ちょっと長くなってしまいました。
ギズモード・ジャパンの編集部員が2019年に買ったものを紹介する年末企画。2019年は人生で初めてライカ(Leica)を買いました。「ライカQ」と言われるレンズ一体型のフルサイズカメラです。
ライカを買うまでどんなことを考えて購入に至ったのか、購入に迷っている人に参考になれば嬉しいです。
ライカQを買うまで

ライカといえば、カメラ好きが人生で一度は手にしてみたい憧れのカメラです。「フルサイズ」と呼ばれる今では業界標準の35mmフィルムを広めたブランドであり、1950年代に発売されたフイルムカメラ「ライカ M3」は今でも20万円くらいで取引されるほど。
ギズモードには、そんな憧れのライカを手にしている編集者が2人も居ます。その人たちを見ていると、「あれ。僕カメラ好きだけど、ライカを買う日って来るのかな?」って、突然ライカの衝動に駆られるわけですよ…。
とはいえ、なぜ新商品でもないライカQを、このタイミングで買ったんでしょうか? 僕もよくわかっていません。中古でもそれなりの値はするし、そもそも「ライカを使う意味ってなんなんだっけ?」とか、いろいろ迷ってみたりするんですよ。でもこれは迷うふりというか…なんていうか。「ライカが欲しい!」って本気で考えた瞬間に、それはもうライカを買うことが決まっているんですよね。僕はこの感覚だったんです。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」みたいなね。
ライカにしかできないこと




ライカを買ってみて「ライカにしかできないなーこれ」と思ったのは2点あります。
まず、ライカで撮影した写真は、他人からはどう見えているのか知らないですけど、少なくとも自分は大満足できるものですね。買ってから1週間くらいは「これで撮れば、何でもよく見える」な感じで、そこらじゅうを撮り回っていました。

そして、本体のデザインは本当に美しいです。いわゆる、マス市場ではないところで勝負しているライカだからできるデザインだと思いました。キヤノンやソニーは(マーケ的な意味で)真似できないデザインだと思います。
28mmの難しさ

とはいえ、ライカQを使いこなせているかと言われると、まだ全然使いこなせていない気がします。その一番の要因がレンズです。
ライカQには「ズミルックス 28mm f1.7 ASPH.」のレンズが固定されているのですが、とにかくこの28mmという画角が難しいです(いちおう、35mと50mにクロップして書き出す機能はあるのですが)。
「(28mmは)世の中を客観的に捉えられる視野なのかなと。」
28mmのコンパクトカメラ「GR III」を開発したリコーの方が、ギズモードの記事でこういう言葉を残しています。いわく、50mm~85mmは人間のパーソナルな目線で被写体を切り取れる。反対に16mmといった広角域になると、その画角自体が写真の面白さに反映されやすくなる。
ライカQで撮っていると、この感覚がすごくわかります。28mmって見せたいものを見せやすい画角でなければ、パースで遊びやすい画角でもないんですよね。めちゃくちゃ難しい。
これを使っていると被写体を見る力と、写真を切り取る目を鍛わるような気がします。しかもレンズを変えられないですから…。勉強用カメラとしてとても重宝しているというか、今まで自分がズームレンズでごまかしごまかしやってきたのがバレちゃう印象でした。
最後になんでM型じゃないの?
最後に。ライカを使っている人は軒並みレンジファインダーのM型ライカをおすすめしてくれるのですが、そもそもライカのなかでもなぜQを買ったのか。確かにM型ライカはシャッター音やファインダーのクオリティがすごく良いです。一枚一枚ファインダーを覗き込んでしっとり楽しむような印象で、M型のお作法がすでに確立されていて、楽しいカメラなんだろうなぁという印象があります。
一方でライカ Qは、2015年に発売されたシリーズです。ライカのなかではもっとも若いフルサイズのカメラ。2014年発売のライカ SLにしても、2015年発売のライカ Qにしても、これらのシリーズって「ミラーレス」や「デジタル」といった現在のキーワードに合わせて再定義された新しいフォーマットのライカなんだと感じているんですね。だから今からライカを使うなら、ぜひ新しいシリーズに乗っかりたい。
ユーザーのなかには、M型ライカのサブ機と使っている人もいれば、M型ライカを売ってQ型ライカを使っている人もいるそうです。まだみんながどう使っていいのかわかっていないけど、確かに新しいライカ。それが僕がライカQに感じている素直な印象です。
これも新しいライカの楽しみ方だと信じて、来年もライカQと写真を撮ろうと思います。