こちら、ロシア人スパイのMaksim V. Yakubets(32)、コードネーム「aqua」。
サイバー犯罪史上最高の100億円を超えるグランドハイストの犯人として、ただいまFBIと英版FBIの国家犯罪対策庁(NCA)が最重要指名手配犯として行方を追っているリアルのMr.ロボットです。ウクライナ生まれ、ロシア国籍、犯罪組織「Evil Corp」のリーダー。仲間のIgor Turashev(38)とともに刑事訴追されました。
悪のフランチャイズ
モスクワ市内のカフェの地下から40か国余りの金融機関300以上と個人をターゲットに、延々10年近くに渡ってウイルスのBugat(Dridex)やZeusをばら撒いてログイン情報を不正入手し、口座を空っぽにしてきた疑いが持たれています。
特に被害が甚大なのが英国で、Bugatをばら撒く協力者に10万ドル(約1085万円)前払いし、 週5万ドル(約542万円)の最低支払保証で、盗んだ金を50%山分けするレベニューシェアモデルを英国内でフランチャイズ展開されて被害が拡大しました。正確な被害額は、当局ももはや把握していません。
懸賞金5億円はサイバー犯罪史上最高額
米国務省は5日、有力情報提供者に500万ドル(約5億4000万円)支払うことを発表しました。これはサイバー犯罪の懸賞金としては史上最高額に相当します。あらゆる犯罪を総合すると、過去最高はオサマ・ビン・ラディンの2500万ドルですけれど、ドローン空爆で抹殺されてもおかしくないレベルと言えます。
ロシアではキングのように暮らしている
さっさと捕まえてよロシア!って思うのだけど、米財務省の同じ日の発表によると、ロシアでは犯罪スキルが買われて2017年からなんと政府の諜報機関FSB(元KGB)のサイバー攻撃に駆り出されて西側の機密情報の窃取に便利に使われてるんだそうですよ? 信じられないような話ですけど、ロシアだったらあり得ますよね。米司法省も英NCAと同日行った共同記者会見でそう言っていたので、本当みたい。
それもあってロシアでは、やり放題。美人と豪華結婚式を挙げ、警察署前でカモフラージュ柄の愛車ランボルギーニ・ウラハンを8の字に乗り回してもオフリミットで、この世の春を謳歌している模様です。英当局NCAが「被害者の口座から巻き上げたお金で遊んでいる」と憎々しげに動画や写真を大量にアップロードしているのですが、それがあまりにも楽しそうで…
Yakubets drives a customised Lamborghini supercar with a personalised number plate that translates to ‘Thief’ & spent over a quarter of a million pounds on his wedding.
— National Crime Agency (NCA) (@NCA_UK) December 5, 2019
He is now subject to a $5 million US State Department reward – the largest ever reward for a cyber criminal. pic.twitter.com/a7s9tKFutt


「今からハッカーになってロシアに行く」という思わぬ反響が湧き起こり、「まったく青少年の犯罪予防になっていない」と言われてます…。
米英当局はずっとこのマルウェアをばら撒いた犯人を5年ぐらい合同捜査で追ってきたので、やっとたどり着いた手柄を大々的に発表して、サイバーマンデーでメールの不正リンクを開けたりの被害が多い年末に注意喚起したかったんだと思いますけどね。
ほんと、わけのわからないメールのリンクは絶対あけちゃダメ。なけなしの貯金が骸骨の塗装代になっちゃいますよ。物入りな年末年始、気をつけましょう…。