「ビジュアル・フューチャリスト」の肩書きを持ち、多くのSF映画や工業デザイン作品で近未来の世界をつくりだしてきたデザイナーのシド・ミード氏が、米カリフォルニア州パサデナの自宅で亡くなりました。享年86歳。リンパ腫による合併症が死因でした。
クルマのデザイナーから映画業界へ
1933年に米ミネソタ州で生まれたミード氏は、カリフォルニア州ロサンゼルスのArt Center School(現在はArt Center College of Designに改名して同氏が亡くなったパサデナに所在)を卒業後、フォード社に工業デザイナーとして入社しました。
1970年に独立後、その手腕がハリウッドの目にとまり、映画『スタートレック』や『ブレード・ランナー』『エイリアン』『TRON』など多くのSF作品に携わり、近未来的なデザインの数々を披露してきました。
ミード氏は日本とも馴染みが深く、アニメ作品の『YAMATO2520(宇宙戦艦ヤマトシリーズ)』や『∀ガンダム』にデザイナーとして参加しています。
2019年4月末から6月初めにかけて日本で開催された『シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019』には、3万2000人のファンが来場したそうです。
そして今年9月、同氏はYouTubeで引退を発表しました。もしかすると人生の幕を閉じる日が近いことを知っていたのかもしれませんね。
この動画の中で、同氏は自動車のデザインがいつもいちばん好きだったと語り、デザイナー人生で最もお気に入りで楽しんだ自動車として、フォード時代のショーに出展したフル機能のピックアップトラックを挙げています。
奇しくも今年(2019年)、『ブレードランナー』を意識した近未来的なデザインになると噂されていたピックアップトラック「Cybertruck」を発表したTeslaのイーロン・マスクCEOが、ミード氏の死を悼むツイートをしています。
Rest in peace Syd Mead. Your art will endure.
— Elon Musk (@elonmusk) December 30, 2019
「シド・ミード、安らかに。あなたのアートは時代を越えて生き続けます。」
ミード氏は、Cybertruckに自身が描いていた未来を見たのでしょうか。
訂正[2020/1/1]記事初出時、『YAMATO2520』を『YAMATO2050』と表記していました。謹んで訂正いたします。
Source: The Hollywood Reporter, Kotaku