おいスマートフォンよ、お前がいないと俺は何もできないって思ってんじゃねーぞ!
現代社会はスマートフォン頼みです。何をするにもスマートフォン。スマートフォンがないとなーんにもできない。スマホ様さまです…。いや、まてまて。スマートフォンばかりにでかい顔はさせたくない。タスクを分ける利点もあるはずだ! というわけで、米Gizmodoがレビューしたデジタルコンパスが気になります。どうなの? 以下、レビューどうぞ。
友達との待ち合わせ、スマートフォンのおかげで昔と比べてずいぶんと楽チンテキトーになりました。とりあえずついたら連絡するわって。しかし、それはスマホがなければ終了という状況。電波の悪い場所でスマホがただの文鎮と化してしまえば、一生会えない友人。そこで目を向けたのがデジタルコンパス。LynQは、北ではなく友人の居場所を指してくれるコンパスです。モバイル電波もWiFiもいらない、GPSのシグナルさえあればよしというLynQデジタルコンパスを使ってみました。
LynQ GPSコンパス

友人や建物を指し示してくれるデジタルコンパス
価格:109ドル(現在予約受付中)
いい:携帯電波がない時でも使える。
残念:GPSによって精度に限界あり。
僕が初めてLynQを見たのは、2019年のCES。その時はまだ完成一歩手前という状態でした。というか、そもそもLynQがこのプロダクトにとりかかったのは2014年のこと。数百万ドルの投資を受け、クラウドファンディングIndiegogoでは170万ドルの資金調達に成功し、今やっと製品化にこぎつけました。製品ローンチ、発送が予定より延期はされたものの、来年1月に正式発売が決定。Indiegogoでの支援者は、今まさに一足先に商品が手元に届いている頃でしょう。製品お届けが遅れはしたものの、小さな会社が独自のアイディアを市場に出そうとするとき、遅れはつきものですからね。
1週間レビューしてみて思ったのは、これは本物だ! 使える! ということ。特に、複数人で野外イベントに行くときなんて非常に便利かと。スマホ以外で使える、お互いを探すためのツール。ペットや子どもに迷子札的に装着するのもありです。
まず見た目は、小さなモノクロ液晶ディスプレイが付いている大きめのプラスティックカラビナです。カラビナなので、バックパックやベルトループに装着可能。ディスプレイは暗所で自動的にオレンジに光ります。ディスプレイ上部に充電用のUSBポート(ゴム製のふたつき)あり。ディスプレイ下にはボタンがひとつ。防水なので野外イベントの雨でも平気。ただ、登山アイテムほどのタフさはないので、落下や衝撃には注意。



LynQの最大の魅力はそのシンプルさ。個人的には、ボタンひとつのみという端末はイライラしてしまうのであまり好きではありませが、LynQは平気でした。というのも、ボタンの短押し、長押しでの操作がしっかりしている上に、画面で長押しがわかるようになっているので操作ミスが少なくてすむ。端末に名前を付ける(基本、所持している人の名前を入力)のもボタンひとつで設定するのですが、加速度計が内蔵されているおかげで、端末自体を動かすことでアルファベットをスクロールできるといううまく考えられた作りに! そりゃ、キーボードと比べれば入力に手間取りますけれど、それでもボタンひとつのわりに名前入力にイライラしなかったインターフェースは素直にすごい。
LynQは最大12個まで同期させることが可能ですが、同期させるにはすべての端末を集めて作業する必要があります(知らない人のLynQと誤連携されるのを防ぐため)。なので、野外イベント前にメンバーみんな集まって設定をしておかなくてはなりません。メンバーみんながせーのでボタン押すというタスクはあるものの、連携自体はカンタン。
連携したら、あとは端末のボタンでメンバーをスクロールしてチェック可能。GPSと無線信号のおかげで、メンバーの位置情報をリアルタイムで追うことができます。探したいメンバーを画面に表示させれば、その人がいる方向と距離が表示され、近づくほど表示されているリングが大きくなって(閉じて)いきます。


位置情報の精度をテストするため、家の窓辺にLynQを1つ置き、LynQを1つ手に持って出かけてみました。Google Mapsを位置情報比較として同時に使用。
・家付近の曲がり角から:LynQは0.21キロ、Google Mapsは0.215キロを表示。
・最寄りのバス停から:LynQは1.10キロ、Google Mapsは1.10キロを表示。
・最寄りのスーパーから:LynQは2.02キロ、Google Mapsは2.03キロを表示。
Google Mapsとの誤差はほぼなし。というのも、LynQも他のナビ系端末と同じGPSを使っているので当たり前っちゃ当たり前ですけれど。GPS衛星には数メートルの誤差あり。また端末が遠くにある場合、その距離をかなり正確に表示できるものの、近づくと(33フィート=約10m以内に入ると)GPSでは「近くにいる」という認識になります。LynQに限らず、これはナビあるある。ただ、LynQで人を探している場合、この近さまでくると「おーい!」と相手の名前を叫べば見つかる範囲なので特に困らないかと。
これでおわかりかと思いますが、バックパックやスマートフォンの紛失防止タグとしてLynQを使うことはできないということです。また、探している相手が怪我をしている、意識がないということも想定されておらず、LynQはあくまでも緊急用ツールではないということです。また、GPS衛星がうまく感知できない屋内に弱い。初代プロダクトあるあるで、使用制限や改良の余地はあるとは思いますが、スマホ以外でお互いを見つけるツールとして便利なのは間違いなし!
まとめ
・ボタン1つなのに、このインターフェースの使い勝手のよさはお見事。
・モバイル通信、WiFi不要、データ通信プラン不要。
・防水だけどプラスティック製ということを忘れずに。
・ガンガン使用する場合のバッテリー持ちは24時間。
・最大12端末まで連携可能で、3マイル内で使用可能。
・33フィート内に近づくと感知できず。
・GPS衛星を利用しているので、基本は屋外使用を想定。