Garmin Vivomove Luxeレビュー:小難しいハイブリッドスマートウォッチ

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Garmin Vivomove Luxeレビュー:小難しいハイブリッドスマートウォッチ
Image: Victoria Song (Gizmodo US)

皆さんはGarmin(ガーミン)と聞いて何を想像します? もしかしたら、カーナビのイメージが強い方もいるかもしれません。では、スマートウォッチやフィットネストラッカーで有名なブランドは? と聞かれたらなんて答えますか?

最初に思い浮かぶのはFitbitやAppleでしょう。でも忘れちゃいけません。GPSにも力を注いでいるGarminも、スマートウォッチでぐんぐん認知を高めています。

そんなGarminは先日、高級ハイブリッドスマートウォッチ Garmin Vivomove Luxeを発売しました一体どんなモデルに仕上がっているのか、米ギズモードのビクトリア・ソン記者がレビューをしてくれました。


ランナーでない人にとって、Garminのスマートウォッチはあまり馴染みがないかもしれません。GoogleがFitbitを買収したとき、記事にはたくさんのコメントが寄せられ、中にはFitbitから乗り換えるスマートウォッチに関しての質問もありました。

私の考えでは、Garminは今ではFitbitの最大のライバルだと思っています。いくつかの面ではGarminの方が優れている点もあります。デバイス面ではGPSが非常に正確で、アプリではたくさんの情報を提供してくれます。Fitbitの新しいプレミアムサービスとは異なり、課金システムなどは今のところありません。少し前までのスマートウォッチは、デザイン的にはちょっと、というモデルばかりでした。ですが、“見栄えのよさ”だけがスマートウォッチを買うか買わないかの決め手ではありません。先週、私はそのようなことを考えてLuxeを試してみて、ようやくGarminのコンセプトがわかった気がします。

Garmin Vivomove Luxe

Photo: Victoria Song (Gizmodo US)

Garmin Vivomove Luxe


これは何?:Garminの最新ハイブリッドスマートウォッチ。


価格は?:Luxeは500ドル(約5万5000円)、Styleは300ドル(3万6000円)、Vivomove3/3Sは250ドル(約2万8000円)。すべて税別。


好きなところ: とても美しい。鮮明なAMOLEDディスプレイはとても賢く、距離測定などは正確。


好きじゃないところ: 他のメーカーのスマートウォッチと比べると値段が高い。

Luxeは素晴らしいスマートウォッチの一つ

今年のGarminはすごい。今年私が試したスマートウォッチの最新モデルは、どれも美しいモデルばかりです。Vivomoveの前モデルと比較して、LuxeではAMOLEDディスプレイが追加されました。そのおかげで、今まで以上に通知などが見やすくなっています。

ほかのGarminのスマートウォッチと同じように、ボタンの配置を覚える必要はありますが、スワイプ操作にも対応しています。ECG(心電図検査機能)やGPSは内蔵されていませんが、一般的なスマートウォッチに内蔵されている光学式心拍計などは備わっています。さらに、1回の充電で最大5日間使用可能なバッテリーも魅力的です。

文字盤に隠れたデュアルディスプレイは鮮明で、表示画面は小さいものの最低限の確認はできる大きさです。前モデルのGarminを試した際はたまに時計が反応しないことがありましたが、そのような問題はLuxeでは見つかりませんでした。手首を上げるとちゃんと反応もしてくれます。文字盤をタップしてワークアウトをスタート、ポーズ、終了までもこなしてくれます。

”正確さ“に関しては後述しますが、Vivomove LuxeはGPSを内蔵していないので、フィットネスを第一目的に検討している人には向かなそうです。

ただ、いまだに興奮が収まらないほどLuxeは今まで試してきた中で素晴らしいスマートウォッチのひとつです。Fossil(フォッシル)のHybrid HRに出会ったときのような興奮ほどではありませんが...。Hybrid HRは195ドル(約2万9150円・税込)でしたが、Luxeは500ドル(約5万5000円・税別)です。

Image: Victoria Song (Gizmodo US)

LuxeはSapphireガラスを採用。ケースはステンレススチール素材で、付属のバンドは浮き彫りのあるイタリアンレザーです。LuxeがHybrid HRの一歩先を行っている点は、NFC決済やより正確なトラッキング機能といったところでしょう。

ですがハイブリッドスマートウォッチに興味がある人にとっては、これらの追加機能のために300ドル上乗せして払うとは思えません。人々はシンプルな時計を求めているわけで、歩数計以上の機能に関してはあまり口を出さないものです。

Apple Watch Series 5 セルラーモデルは、Luxeと値段が一緒ながらGPSも内蔵し魅力的なアプリをたくさん揃えています。また、Fitbit verse 2はLuxeほど高級スマートウォッチではありません。Luxeと同じ機能が使えて、さらに常時ディスプレイ表示に対応、便利なアプリもたくさん揃っていてAmazon Alexaも搭載されたモデルは200ドルから購入が可能です。さらに30ドル追加することによって、スペシャルエディションではNFC決済(fitbit Pay)が使えるようになります(※fitbit versaオリジナルでも使用可能)。

今回Garmingが発表したハイブリッドスマートウォッチのモデルの中には、Vivomove StyleというLuxeより安いモデルもあります。Stlyeは完璧な出来栄えでカラーバリエーションもあります。Gorillaガラス3、バンドはシリコン製、ケースの素材はアルミニウム製となりますが、それでも300ドルはお得と言えます。

実は、まだほかにもvivomoveモデルはあります。画面に表示される通知を目を凝らして読んでもいいという人は、エントリーレベルのVivomove 3/3Sはさらに50ドル安い250ドルで購入できます。3と3Sの違いは大きさのみで、機能面の違いは特にありません。

Image: Victoria Song (Gizmodo US)

トラッキング機能は正確、ただしGPS内蔵はナシ

もしもLuxeがGPSを内蔵していたら、500ドルでもよろこんでお金を払っていたことでしょう。ですが、GPSが内蔵されていないことはそこまで大きな問題でもありません。もしもスポーツ時の使用をメインに考えているなら、GPS内蔵のスマートウォッチを購入したほうがいいでしょう(汗によって濡れたレザーバンドは正直着け心地が悪いですけど)。GPS機能を持たないLuxeは、スマートフォンのGPSを利用して速度、距離、軌跡などのログを残します。

トラッキング機能の正確さをちょっと試してみました。私が4.22マイルの距離をランニングしたときの計測では、ペースは11分8秒でした。Luxeの場合は4.23マイルを記録し、ペースは少し早い11分4秒を記録しました。対してApple Watch Series5にはGPSが内蔵され、その影響もありSeries5では4.21マイルを記録。ペースは11分17秒でした。

これは悪くない結果と言えるでしょう。私が実際にLuxeをiPhoneに接続しようとした際、Bluetoothの問題なのか接続されないことはありました。特にランニングデータの結果を気にする場合は、Luxeはベストとは言えません。確認できる情報もスマートウォッチの小さなスクリーンではやはり限界がありますからね。

Image: Victoria Song (Gizmodo US)

また、別の計測方法としてLuxeをスマートフォンと接続せずにランニングマシンにて測ってみました。ランニングシューズに関してはアンダーアーマーのスマートスニーカーを使ってみました。

ランニングマシンで2.8マイルを記録した時、MapMyRunアプリとスマートスニーカーを組み合わせて使用した時の記録は2.73マイルとなりました。Luxeを身につけ同じ距離を走った際には2.62マイルを記録し、ペースは11分42秒を記録。最終的にLuxeは0.1マイルしか差が出ませんでした。スマートスニーカーの場合は11分6秒を記録しました。実際に歩幅と歩調を測定して記録しているので、私はスマートスニーカーが一番信頼できると思っています。

一方ランニングマシンの場合は、ペースは10分43秒でした。この結果は腕につけるタイプのフィットネストラッカーの結果とかなり一致しています(もしもランニングマシンが好きなら、スマートシューズとチェストストラップはさらにデータを正確に計測する最強の組み合わせと言えるでしょう)。Luxeは非常に良い結果を残したと言えます。

Garminのストレストラッキング機能には驚かされました。仕組みとしては心拍数変動をベースにストレスを判断しています。私が記事を書いている際に感じるストレスや、締め切り前に感情的になってしまうときなどでも機能を発揮してくれたことには驚きました。またLuxeは他のトラッキング機能として、1日を通した健康モニタリングはもちろんのこと、身体をバッテリーとしたBody Battery機能や呼吸エクササイズが備わっています。残念ながらそれらの機能を試すことが出来なかったため、正確かどうかまでは分かりませんでした。

Image: Victoria Song (Gizmodo US)

よいところもあれば、残念なところも

私がガッカリした機能のひとつ、それは”睡眠トラッキング機能”です。ある晩、私が飼っている猫が突然スイッチが入ってしまい(ペットを飼っている人ならわかる方も多いかもしれません)、4時間ほどあちこちへ行きながら暴走していました。私は猫をなだめるために何度もベッドを出たり入ったりしましたが、Luxeは9時間40分の睡眠を取ったとして記録していました。それも途中1回も起きたことにはなっていませんでした。

Luxeを1週間試して気づいたのは、私の日々の日課である約30分の読書やテレビ鑑賞の時間がlight sleep(浅い眠り)として記録されていたことです。これは睡眠トラッキング機能ではよくあることですが、睡眠トラッキング機能に関してはまだほかのスマートウォッチのほうが優れていると言えるでしょう。さらに、Luxeの睡眠記録によると、実際に自分が眠った時間よりも平均して90分多く眠ったことになっていました。

実際のところ、ハイブリッドアナログファンにとってトラッキング機能は一番求めているものではありません。彼らが本当に求めているのは、見た目が良く、シンプルな機能を備えたお手頃価格な時計です。

もしもLuxeがStyleと同じ値段だったら、態度がガラッと変わるかもしれません。ですが現実は違います。Garminは間違った方向に一所懸命に取り組むことになってしまったような気がします。AMOLEDスクリーンを使った文字盤はとても賢いアイデアでしたが、いろいろなオプションが増えた結果、最終的に他社のスマートウォッチと比べて価格が高くなってしまいました。これはVivomoveシリーズに限らず全てのGarminのスマートウォッチに言えることです。

また、なぜGarminは600ドル〜1200ドルもするFenix 6(フェニックス6)シリーズを6種類も販売したのか。 この漠然としたアプローチは、Garminがリリースしたアプリにも影響を与えています。アプリではたくさんの情報が確認できますが、行き当たりばったりのせいかタブやウィジェットが数多く見られます。GarminはFitbitやAppleような競合会社相手に対して、トラッキング機能の正確さやバッテリー持続時間に関しては勝っているかもしれませんが、この辺がまだまだという感じです。

Image: Victoria Song (Gizmodo US)

Garminは、Vivomoveシリーズのようにリーズナブルなスマートウォッチに力を注いでいたほうがよかったのかもしれません。AMOLED有機スクリーン、スマートフォンにつなぐ必要があるGPS、光学式心拍計、正確なトラッキング機能、NFC決済機能を備えていて250ドルは魅力的だと思いませんか? 正直なところ、やっぱりGPSが内蔵されていないのは痛い。Luxeは”ほぼ”完璧なハイブリッドスマートウォッチです。悔しいところではありますが、控え目に言っても見た目がよいスマートウォッチとは言えます。


まとめ

・ゴージャスなスマートウォッチ。Garmin史上最高に美しい。

・新たに搭載されたAMOLEDスクリーンは文字を読むのに最適。賢い機能ではあるものの目立たない感じ。

・正確なトラッキング機能。しかし、GPSが内蔵されていないのでほかのGarminのスマートウォッチほどではない。

・クールな機能が満載。NFC決済機能や心拍数モニタリング機能など。それでもハイブリッドスマートウッチに500ドルは高いと言わざるを得ない。

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