あまりに絶好調だったんで、次は火星でぶっつけ本番です。
赤ちゃんの貴重な最初の一歩を目撃した両親のように、NASAのMars 2020ミッションに関わる技術者たちは、近い将来に火星を探査することになる新型ローバーの初走行を注意深く観察しました。
これはNASAにとって、とても大事な実験でした。
クリーン・ルームでゆっくり進む
NASAのプレスリリースによりますと、火曜日に初めて、まだ名前が決まっていない探査車が数mほど前進したのだそうです。この試運転は、カリフォルニア州パサデナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)の、宇宙船組立施設「クリーン・ルーム」内で行われました。どうして「クリーン・ルーム」なのかというと、ご想像のと通りとってもすっごく清潔な部屋だからです。
長時間のテストに耐えた
10時間以上に及ぶテストを行ないましたが、NASAの技術者たちは何の問題もないことを確認し、この6輪の探査車は必要なすべてのタスク実演に成功しました。NASAによりますと、最新式の自律航行システムのテストも上手くいったとのことです。
今回の初走行では、1度に1mを移動し、技術者たちはその移動性能や操縦性能を評価しました(動画で地面に這いつくばって車輪をチェックしていましたもんね)。そこでは火星で出くわすデコボコ道を再現するため、ちょっとした傾斜路の上も走行しました。

そして地球上の自重の下でも、装備された機能は予定通りちゃんと作動することができました。
ちなみに火星の重力は地球上の重力の38%なので、この1,050kgの探査車は火星に着陸すると、かなり軽くなります。
またNASAによりますと、このテストは非常に上手くいったので、「次にMars 2020探査機が走行するのは、火星の土の上になります」と、どうやらいくつものステップを飛ばすことになったようです。Mars 2020ミッションは、2020年7月の打ち上げを予定しており、この探査車は2021年2月18日に火星のジェゼロ・クレーターに着陸することになっています。
責任者のコメント
Mars 2020のプロジェクトの責任者、ジョン・マクナミー氏がNASAのプレスリリースでこう話しています。
ローバーは(英語名の通り)“駆け回る”必要があり、 Mars 2020は火曜日にそれを実践しました。私たちは車輪の下にある火星の赤い土を踏み締めることを、待ちきれません
レーダー・スキャン装置も問題なし
技術者たちはまた、車両に搭載された、レーダー波で直下の地表をスキャンする撮像装置「Radar Imager for Mars Subsurface Experiment(RIMFAX)」からデータを収集することができました。探査車の真下にどんな物質があるかにもよりますが、RIMFAXは火星の地上にて、10m以上の深さまでレーダー撮影します。

キュリオシティ先輩より頑丈なタイヤ
高解像度の広角カラーカメラで収集したデータを基に判断する専用の車載コンピューターによる、高度な自律航行機能を備えていることから、この探査車は以前のものよりも独立性が高くなっています。
そして、Mars 2020の車輪は耐久性が増すように設計されており、NASAはこの探査車が1日平均200mを移動することを期待しています。これとは対照的に、現在火星での1日の距離記録は、キュリオシティが樹立した214mです。ですが火星で7年活動したキュリオシティののタイヤは、目に見えてボロボロになっていました。
空飛ぶ相棒と生命の痕跡探し
探査車は火星に到着すると、かつて生命が存在した形跡があるだろうと期待される、太古の湖底を探査します。また、惑星の気候と地質を調査し、将来のミッションのために地表のサンプルを収蔵します。
うれしいことに、この探査車にはパートナーがいるんです。それは探査車に搭載される火星ヘリコプターです。これはワクワクしますよね。ヘリ探査は、火星でのまた別のクールなミッションを担当します。
Mars 2020に興味を持った方は、組み立てられる様子や車輪とサスペンションが付いたときのストーリーも併せてご覧ください。
Source: Jet Propulsion Laboratory, YouTube, MARS 2020 MIssion