5,000年前の人間って、一体なにをエンジョイしてたの?

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  • author Daniel Kolitz - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
5,000年前の人間って、一体なにをエンジョイしてたの?
Image: Gizmodo US

大昔の人の楽しみ方ってなんだろう?

いつでもどこでも友達とメッセージで繋がれて、くだらない話をしたり、パソコンのタブをたくさん開いて映画を見ながら仕事したり、デートアプリを開けば新しい人に会えたり、知らない誰かのツイートで笑っちゃうことが一日に何度もあったり、そんな毎日を過ごしている時にふと考えてほしいのが、例えば紀元前3,000年に生きてた人たちって、一体何して日々過ごしていたんだろうってこと。今私たちが博物館とかで見かける壺作ったり、動物追いかけたりして遊んでたんでしょうか。ちょっと専門家のみなさんに聞いてみましょう。

Jennifer Matthews

トリニティ大学社会人類学教授

考古学者なので、5,000年前に生きていた人たちがどんな大変な人生を送っていたんだろうとよく考えます。その頃の人間はほとんどが短い生涯で、こどもたちは幼い歳であっても大人のように行動しなくてはならず、生きていくために必要なものはすべて自分たちで取りに行ったり作ったりしなくてはいけなかったわけです。

でも楽器を作ったりしていたのもわかっているんですよ。4,000年前くらいの骨で作られたフルートも見つかっていますし、メキシコで、紀元前100年ごろに作られた精巧に彫刻されたフルートが、お墓の中でそれを吹いていただろう男性の手に握られた状態で発見されています。マヤ文明の人たちも音楽や楽器を楽しんでいた形跡がたくさんみられます。メキシコのボナンパク遺跡には、ロブスターを模したコスチュームを来たミュージシャンが笛、ドラム、マラカスなどを演奏している壁画があります。しかしながら、その絵は新しい王の即位のための儀式のワンシーンであり、他の部屋には捕虜の獲得の様子や人身御供の様子も描かれているので、どれくらい音楽を楽しんでいたかはわかりません。

アステカ族のおもちゃのことも考古学の記録にあって、車輪の上に犬が乗っていてそれを引っ張って遊ぶおもちゃなどがあります。他にも小さな人形なども見つかっていて、おもちゃであると思うんですが、もしかしたらそれを使って、こどもたちにどうやって大人になるかを教えていたのかもしれません。あとは、焚き火を囲んでお話をしたり、こどもたちが道具を作る姿を大人たちが見守るなどのアクティビティもあったはずですが、考古学の記録には残されていません。

何千年も前の人間の生活は、どちらかというとサバイバルの要素のようが強かったのではと思います。なので、人生を楽しんでエンジョイする、というのは、現代の生活におけるものだと言っておくほうが安全ですね。

Luke Kaiser

アリゾナ大学人類学博士課程

5,000年前にできた楽しいことで思いつくのは、「共同呑み」ですかね。青銅器時代初期にはいろいろな飲用容器がありますが、有名なのはデパス・カップですね。他の飲用容器は、底が平で持ち手がひとつしかないものばかり。でもデパス・カップは底が丸く、持ち手がふたつあります。これは回し飲みをするために作られている証拠です。みんなで飲むことが人気になると、トルコ周辺からエーゲ海方面にも青銅器が広がり始めました。

ここで気に留めておきたいことは、この当時5,000年前の状況、特にヨーロッパでの背景です。人が農耕・牧畜を始めて定住生活が始まった新石器革命の頃です。動物を追いかけて動き回るライフスタイルから、定住することでワインやビールを発酵させる時間ができたのです。そして家族というグループに所属し、他の家族とも近くに住むようになり、うちはビールを作るから、おたくはワインを作ってね、今度持ち寄ってみんなで呑みましょうという流れができあがったんでしょう。もしかしたら、最初は余分に作りすぎて分けていただけかもしれません。

現在、私たちは知らない人と話をするのは不自然なことではありません。でも昔の人たちにとって、知らない人と話すことは警戒すべきこと。みんなで飲むということは警戒心を解き、一緒に何かを作ったり、道具を作るための素材を一緒に取りに出かけたり、物々交換のネットワーク構築などのきっかけになったんではないかと思います。青銅器時代のヨーロッパと地中海地方では、特に複雑な物々交換のネットワークが20も30も組み込まれていたので、「共同呑み」は、それに貢献していたんだと思います。

Julia Best Richard MadgwickJacqui Mulville (カーディフ大学)

Penny Bickle Oliver Craig (ヨーク大学)

先史時代の食事を研究する考古学者チーム

5,000年前に、人々が人生をエンジョイするためにしていたことのひとつとして、宴会をしていたという考古学的証拠が存在します。イギリスの世界遺産ストーンヘンジの近くにダーリントン・ウォールズという場所があり、そこでは何千もの動物の骨や割れた容器が見つかっていて、大きな宴会が開かれていたと考えられています

見つかった動物の骨を調べるとほとんどは豚のものでした。脚の部分に焼かれたあとがあるので、焚き火でローストされたとみられています。食べられた豚は9ヶ月くらいの年齢なので、そこから冬至のあたりにこの宴会がおこなわれたと推測ができます。豚の骨のいくつかはまだ肉がついているものもありましたし、まだ骨が肉でつながっているものもあって、細かく切られて食べられたのではなく、大きな塊で料理されたことが伺えます。容器に残っていた脂肪を分析すると、チーズも作っていたことがわかりました。

同位体分析をすると、その豚がどこで育てられていたかもわかりました。結果として、その宴会はイギリスのいろいろな場所から動物を連れて参加していた人たちの集まりでした。新石器時代の野外フードフェスみたいなものだったようです。

Barbara Olsen

ヴァッサー大学ギリシャ・ローマ学准教授

5,000年前は、なかなかの厳しい生活だったと思います。現代の私たちが研究している当時の陶器を、毎日1〜2時間かけて作っていたんでしょう。少し時代を進めてクレタ島のミノア文明を見てみるとおもしろいですよ。フットボールのフィールド3つ分ほどの大きな巨大な宮殿を建てたり、10kmも離れたところから水道管を引いていたり。

また、貴族の若い子たちが宝石をまとい、牛の上でアクロバティックに宙返りをしたりする牛飛びというスポーツもありました。牛はミノア地方では神聖なものとされていたので、闘牛のような暴力的なものではなく、牛は丁寧に扱われていたようです。ギリシャ文明が登場する前の最初のヨーロッパの文明がミノア文明だったのです。

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