仮想的な、装着しないサングラスって感じ?
完全自動運転車はすでに世界中の道路でテストされていますが、どの自動車にも、かれこれ1世紀も刷新されていないような機能がひとつあります。
それがサンバイザー。
そこでBosch(ボッシュ)の技術者たちは、運転者が視界の中で太陽だけを遮るように、この時代遅れのサンバイザーを新たなものへと生まれ変わらせようとしています。
太陽が眩しすぎて前が見えない!
特に早朝や夕方など、太陽がまだ低い位置にあるとき、どの運転手でも「眩しくて前が良く見えない!」ってなった経験はあるかと思います。まるで『スター・ウォーズ』のデス・スターが放つ、惑星破壊スーパーレーザーが網膜に直接向けられているような感じで、すべてがキツい逆光の世界になりますよね。
そこで本能的にサンバイザーに手を伸ばすものの、眩しい太陽光をいかに遮断するか、位置や角度を調整してみたり、背伸びをしてみたりと、苦戦を強いられてしまいます。これまでは勝ち目のない戦いでしたが、Boschの新発明を設置すれば、終止符を打てるようになるのです。

LCDパネルがバイザーに!?
これまでサンバイザーは布に包まれた板でした。ですがBoschの「Virtual Visor」は、太陽が低い位置で眩しく輝くときに、ひっくり返して使うLCDパネルが特徴となっています。このパネルは、運転者の顔に向けられたカメラと連動して動作し、その生映像が独自に訓練されたAIを使って処理され、鼻、口、そしていちばん大切な目といった顔の特徴を認識してくれます。
そのカメラシステムは、運転者の目にかかる影を認識し、強い日光が透過して運転者が眩しくなりそうなLCDバイザーの領域のみを暗くします。そしてバイザーの暗くなる部分は、車と運転手の動きに応じて常に変化しますが、その他の部分は透明のままにして、前方の道路や他の車の視界を妨げないようにしてくれます。おそらく太陽光から逃れるように右左折すると、バイザーの暗くなった領域も左右どちらかにアニメのように動いて端に消えて行くのかなと思います。
暇を持て余した技師たちのお遊び
実はこの「Virtual Visor」、Boschのパワートレイン技師3人がヒマな時間を利用して開発したんですって。しかも不要になったPCモニターから、必要な部品を回収して作り始めた、というのです。とはいえ、この機能がいつ新しいオプションとして登場されるのかは、まだわかりません。
LCDパネルは割れやすいけど…
たとえばスマホを落としたり、画面を強く押しすぎた経験がある人は、LCDパネルがどれだけ壊れやすいかをご存知ですよね。なのでこれが主流になるまでには、車載テストがたくさん必要になることでしょう。
しかしこれは、現時点ですでに比較的安価で、すぐに入手できるテクノロジーを利用した賢い技術革新です。なので遠くない将来に、全車種に採用されると良いですね。まぁ対向車から見たら、運転手の顔がタヌキみたいに見えるのが笑っちゃいそうですけれども?