ゲーム機とパソコンは限りなく融合していくのか。
現在米ラスベガスで開催中のCESは、今年発売されるコンシューマー用ガジェットのお披露目の場であるとともに、もうひとつ大事な役割があります。それは、遠い将来のモノのあり方を変えようとする斬新なデバイスを、世界に先駆けて示すことです。今回Dell(デル)が発表したConcept UFO、Concept Duet、そしてConcept Oriは、まさにそんなビッグアイデアです。
Concept UFO:見た目はSwitch、中身はPC
Concept UFOは一見巨大なニンテンドースイッチで、ディスプレイの両サイドには取り外し可能なコントローラーまでついています。折りたためるキックスタンドに、ディスプレイ出力用ポートも搭載しています。
でも中身は完全にPCで、x86 CPU(どれになるかは未定)をサポートして、UIはクラシックなパソコンのもの、でもパフォーマンスはもちろん今よりはるかに高くなる可能性を秘めています。そしてもちろんスクリーンはより大きく、RGBライティングもクールです。
でもUFOの真のキラー機能は、Alienwareのカスタムゲームランチャーの裏で完全なWindows 10を動かしていることです。つまりSteamやGOGといった事実上すべてのPCゲームストアにも、Project xCloudのようなストリーミングサービスにも、過去数十年分のPCゲームにも、何ならコンソールゲームのエミュレーターにもアクセスできるということです。









とはいえConcept UFOは完成からはほど遠い段階で、予定価格も発売日もまだ決まっていません。AlienwareのPCベースのゲームコンソールでは、『モータルコンバット11』みたいな最近のAAAタイトルはまったく問題なくプレイできました。さらに取り外し可能なコントローラーとAlienwareがCES用に作ったコンパニオンドックのほかに、Concept UFOがラップトップに変身するための何らかのキーボードドックも試作してるそうです。つまり「この手のゲームはゲームパッドよね」とか「こういうのはマウスとキーボードが早いよね」とかのこだわりがある人に対して、Concept UFOはどっちも用意してるということです。
Concept UFOの背景にあるアイデアは、ちゃんとできれば完ぺきなオールインワンのゲーミングマシンになりえそうですごくそそられます。とくにMicrosoftもソニーもGoogleもゲームストリーミングに参入した今、非常に楽しみな存在です。Concept UFOなら、他のコンソール独占タイトルにも何らかの方法でアクセスできるかもしれません。
Concept Duet/Ori:2パターンの折りたたみディスプレイ










Concept DuetとConcept Oriに関しては、仕事用PCのカテゴリの中で、同じ料理を作るためのふたつのレシピのようなものです。前者は大きくてしっかり、後者は一口サイズというような。
まずConcept Duetのほうが真っ当な感じで、ふたつの15インチくらいの同じディスプレイを上下に並べ、従来ならキーボードとかタッチパッドがあった部分にディスプレイがある作りです。
動画エディターにとって、ふたつのディスプレイを同時に動かせるのは夢に違いありません。上の画面に動画をフル表示しつつ、下の画面にタイムラインとかいろんなアセットを表示、みたいな使い方ができます。磁石で着脱可能なBluetoothキーボードもあるので、標準のショートカットも全部使えて、物理キーの手応えを感じながらメールも打てます。
でもConcept Duetで一番面白いのは、「スクリーンひとつ+キーボードひとつ=ラップトップ」という発想から抜け出せない我々にはまだ想像できないようなシチュエーションです。Duetを90度横に倒すと、従来の紙ではありえないくらい表現豊かな巨大な本にもなります。またはテントモードにして、デュアルスクリーンを使ったローカルなマルチプレイヤーゲームもできます。可能性は無限、少なくとも普通のラップトップの2倍はあります。







Concept OriのOriは「折り紙」の略だそうで、Galaxy Foldのフレキシブルな有機ELディスプレイの良いところをとって巨大化した感じです。必要なときには完全に開いたり、半分に折ってノートのように使ったりができるんです。Concept Oriはぶ厚くて、正直アルミニウムのConcept Duetと比べると不安定な感じもします。でもConcept Oriもあくまでまだコンセプトなので、欠点をあげつらっても仕方ないです。荒削りながら、どれも機能的かつ野心的であることに注目したいです。
何より注目なのは、Dellがコンセプトデバイスを出すのが、とくにCESという場ではまれだということです。今回のマシンは、CES限りの一発モックアップじゃないんです。
Dellはこれらコンセプトについて、詳しいスペックも発売までのタイムラインも明かさないでしょうけど、何かしらしっかり考えていて、それに向けて労力を投入してるのははっきりしてます。それが実際形になって、買えるようになるのが待ち遠しいです!