「燃え盛る炎をみつめる消防士の隣にコアラ」の写真は、気候非常事態を完璧に捉えた1枚

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  • author Brian Kahn - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
「燃え盛る炎をみつめる消防士の隣にコアラ」の写真は、気候非常事態を完璧に捉えた1枚
Image: Eden Hills Country Fire Service (Facebook)

こんな完璧な1枚、見たくなかった。

2019年を、そしてもしかすると2010年代を象徴するかもしれない写真を見つけましたよ。

南オーストラリア州でボランティアとして森林火災の消火活動にあたっているEden Hills Country Fire ServiceがFacebookに投稿した写真には、燃え盛る炎と立ちのぼる煙を前に立ち尽くす消防士の姿がおさめられていました。そして消防士の隣にはコアラが写っています。

炎と消防士とコアラの組み合わせが描く、気候変動の今

この写真は、オーストラリアの森林火災危機で最も関心を引いた1枚であると同時に、極めて重要な10年に突入する世界が向かい合う気候変動によるカオスを象徴した衝撃的な1枚でもあります。

この写真が撮影されたのは、アデレードのダウンタウンから約25km離れた南オーストラリア州のロベサル近郊。オーストラリアの森林火災はニューサウスウェールズ州を中心に報道されていますが、南オーストラリアでも壊滅的な火災が発生しています。

アデレードで夜間に空撮された映像では、燃え盛る炎を見ることができます。少なくとも家屋86棟と500を超える構造物が焼失したと、州の首相はニュース番組で述べています。

2日間連続で観測史上最高の日平均最高記録を更新40.9度と41.7度)した気温によって、オーストラリア全土で森林火災は勢いを増し、激しい干ばつが追い打ちをかけるという、大惨事の典型例になりました。

そんな悲惨な状況の中で、コアラはオーストラリアの森林火災を伝える際に象徴的な存在になりました。通りすがりのドライバーがコアラに水を与える様子や、犬が人間と一緒にコアラを助ける様子も話題になりました。

でも、悲しいことに、炎に焼け出されて逃げ惑っているところを救出された末に命を落としたコアラ(名前はルイス)もいました。

そんな経緯もあって、森林火災の影響が人間にも野生生物にも及んでいるこの写真が、あっという間に象徴的な1枚になったわけです。ボランティアが多数を占める消防士たちが消火活動に尽力していますが、火災の現状はあまりにも圧倒的です。

2019年の夏は、住む場所を失った人間と野生生物の未来を永遠に変えてしまいました。この悲痛な1枚の写真は、そのすべてを完璧に捉えています。

そして、この写真はまた世界を取り巻く気候変動によるカオスの縮図ともいえます。2019年は、大切にしているすべてのものを脅かす気候非常事態の中で私たちが生きていることを、今まで以上にハッキリさせました。

遅々として進まない気候変動対策。動かせるかは私たち次第

森林火災はもう人類の玄関先まで迫っているというのに、化石燃料ベースの経済から、最後の一滴まで利益を搾り取ろうとする巨大な化石燃料産業と一部の国々によって骨抜きにされた国際社会は、いまだに気候変動問題で重要な取り組みができないままです(オーストラリアはその「一部の国々」のひとつです)。

この怠惰な現状を打ち破って、人類と自然環境が共存できる未来に、世界を向かわせようとする反乱が進行していますが、今はまだ炎の壁をみつめている状態です。私にとって、この1枚の写真は「私たちの今」を切り取ったスナップショットなのです

私たちに必要なのは、前進する炎を後退させるための援軍です。その援軍がタイムリミットまでに現れるかどうかが、次の10年間の物語になるでしょう。

その写真が描かなければならない未来像を私たちは知っています。そして、どんな写真にするかは、私たちにかかっています。

いつか同じ場所で撮った、炎も消防士もコアラも写っていない「完璧な1枚」を見たいな。

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