ヨウムは見返りを求めることなく仲間を助ける

  • 10,704

  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
ヨウムは見返りを求めることなく仲間を助ける
Image: Brucks and von Bayern (Cur Bio 2020)

鳥も同じ釜の飯を食うと仲間意識が生まれる?

アフリカ西海岸の森林地帯に分布する大型インコのヨウム。彼らは個人的な利益が得られなかったとしても、友達を助けるのだそうです。

かわいらしい実験室が、その様子をお届けしています。

普通の動物には見られない行動

動物の世界では、自らを犠牲に仲間を助ける特性は一般的ではありません。科学者たちはこれまで、ほんの数種類の哺乳類でしかこの行動を確認していないのだそうです。

結局のところ利他主義は、将来お互いに何かの恩恵が期待できるほど社会的に充分繋がった集団にいない限り、種の中にいる個体に利益をもたらしません。ですが、ヨウムは知的で社会性の高い鳥類であり、研究室にて仲間を助ける行動を示した最初の鳥類なのです。

ドイツで鳥類学を研究する、Max Planck Institute for Ornithologyの筆頭著者Désire Brucks氏が、米Gizmodoにこう話してくれました。

これは彼らが、高度な社会的認知能力を持っていることを示しています。ヨウムはカラス科と並んで、しばしば“有毛の類人猿”と呼ばれているほどです。彼らは霊長類と無関係なのに、似たような行動をするのは興味深いことです

カラス科には、カラスだけでなくワタリガラスやカケス、そしてカササギなどが含まれます。

実験方法

前提として、ヨウムたちは実験開始前に、穴を通して金属製のワッシャー(お金の代わり)とオヤツを交換することを学んでいました。

そしてこの実験では、それぞれが窓で仕切られた透明な壁で覆われた部屋に分けられました。ふたつの部屋の境目には、ヨウム同士が顔を出せる程度の穴が空いていますが、部屋の片方には、実験者からオヤツを貰えるよう穴が空いているものの、隣の部屋にはその穴が塞がれました。

Video: MaxPlanckSociety/YouTube

穴なし部屋に入れられた8羽のうち7羽は、穴あき部屋にいる仲間が実験者からオヤツを交換して貰えるよう、少なくとも1枚のワッシャーを渡す行動を見せました。ですが仲間のオヤツ窓が閉められたり、隣に仲間がいなかったりすると、ヨウムから実験者に渡すワッシャーの数が減ったのでした。これは、仲間にもオヤツを渡せるように、実験者に多くワッシャーを渡していたことを示します。

別の鳥でも試してみた

しかし驚くことに、同じく社会性の高いヤマヒメコンゴウインコを使ってこれと同じ実験を行なったところ…、彼らはほとんどワッシャーを仲間に渡さなかったのです。

どうもそれには理由があるようです。研究者たちは鳥のグループが餌を食べるとき、ヨウムは器を共有していたのに対し、ヤマヒメコンゴウインコは個別の容器で餌を食べていた、と指摘しています。ということで、Current Biologyに掲載された論文によりますと、研究者らは食事に関係する社会的行動の違いが、この結果の違いに何らかの関係があるかもしれない、との仮説を立てたとのこと。

またカササギを使って2016年に行われた別の実験では、家族以外の仲間を助けているのが見られた、という報告があります。

ヨウムの賢さが際立った

そして今回の論文の著者たちは、実験結果にはさらに深いものであると報告しています。ヨウムは、まず隣の部屋にいる仲間がオヤツを欲していることを理解し、彼らがその仕事を間接的に助けることができることを認識し、自分自身への確実な見返りなしに助けなければなりません。

著者たちは、ヨウムが将来の相互援助を期待して仲間を助けたのかどうかは不明であり、さらなる研究が必要である、と記しています。

まだまだ検証が必要

とはいえこの実験は明らかに、飼育下にあるヨウムで行なった比較的小規模な研究なので、ヨウムすべてがこうだとは言えません。それに同じ釜の飯で仲間意識を育んでいたのも、大いに関係しているようですもんね。しかしこのことは、これらの社会的習慣がかけ離れた種族で個別に進化してきたことを示しています。

研究者たちは次に、この実験を他のオウムのような鳥類でテストし、何が種にとって利他的行動を引き起こす可能性があるのかを、さらに理解したいと考えているそうです。


ちなみにヨウムといえば、以前にAlexaを愛するヨウムがスマート照明を操るという話題をお届けしたことがありました。ヨウムは5才児程度の知能を持つので、社会的な繋がりもちゃんと理解しているのでしょうね。

Source: Current Biology, THE ROYAL SOCIETY, YouTube via MAX PLANCK INSTITUTE

    あわせて読みたい

    powered by