気になるところはあるんだけどね。
シャオミ(Xiaomi)だなんて可愛らしい名前なのに、実は世界シェア4位というスマホ界の大巨人。そんな彼らが日本攻略グッズとして真っ先に用意したのが、ミドルレンジスマートフォンの「Mi Note 10」です。ノーマル版のお値段は5万8080円で、あら買いやすいじゃないさ。ちなみにPro版は7万1280円。
価格は安いのに、スペック、特にメインカメラのスペックが尋常じゃない。なんすか、1億800万画素って。
でも知ってる。肌で感じてきた。価格とスペックのバランスが逸脱しているモデルってなにかしら問題を抱えていることが多いって。伊達に数多くの中華デジカメ、スマートフォン、アクションカムを渡り歩いてきてないぜ!
だからレビューするとなって自分に言い聞かせたんです。数値上のスペックはいったん忘れて、いわゆるミドルレンジのスマートフォンに搭載された、普通のカメラだと思って使ってみな、って。
Mi Note 10
これはなに?:Xiaomiのミドルレンジスマホ
価格:5万8080円
好きなところ:普通に使うにはスペック十分で、背面の5カメラを駆使した撮影が楽しいところ。
好きじゃないところ:一部撮影モードの遅さ。自分の行動速度を下げて撮影しないといけないところ。
シックでスマートなエクステリアデザイン
スマートフォンの顔となる背面部は、5つのセンサー&レンズが備わっているとはあまり思えないほどスマートじゃない? いいんじゃない?
左から200万画素マクロ、2000万画素超広角、1億800万画素広角、1200万画素望遠、500万画素5倍望遠で、段をつけて盛り上がっているのは後者3つのレンズ。4つ、または5つのレンズが黒バックつき段差ありだったら、もっとオラオラ感があったはず。どやー。撮るぜー。みたいな。
レビューのためにお借りしたMi Note 10のカラーはグレイシャーホワイト。マジョーラのように、光の当たり方によってざまざまな色の表情を見せてくれる塗装が施されています。これがね。実にきれいなんだ。ちょっと見とれちゃうくらい。
だからキズがついちゃうのは嫌だなあと思うのですが、あらかじめクリアなケースが付きますし、サードパーティのケースも多いから安心!
大画面だけど持ちやすい。その秘密はディスプレイにあり
Androidトレンドの1つといえますな。ディスプレイパネルの左右のエッジにカーブをつけるのって。
6.47インチというでか面積な有機ELディスプレイを使っていますが、このカーブにより横幅は想像以上にスリム。持ちやすくてよき。また左右のベゼルが目立ちにくいという効果もありますね。
ありがとう有線イヤホン端子。音ゲー好きを代表して感謝の意を
スマートフォンにコネクタがあるって古くなーい?と、ハイエンド系はどんどん各端子をオミットしていってますが、すばらしきかな、ミドルレンジのMi Note 10は。ほら。ちゃんと有線イヤホン端子があるの。
Bluetoothだと音の遅延が気になるゲームやムービー再生も、Mi Note 10なら大丈夫。リズムのタイミングもリップシンクもバッチリです。
ノーマル画質ならTPSゲームもバッチリ

Mi Note 10に搭載されているSoCはSnapdragon 730G。ミドルレンジクラスですが、『PUBG』や『荒野行動』といった、負荷の高いスマホゲームも気軽に遊べるようにSnapdragon elite gaming featuresというハードとソフトをゲームプレイに最適化する機能が搭載されているそうな。メモリも6GBと多めだし、これは期待できそう。
ロボットと人がどっかんどっかんと戦えるTPSゲーム『機動都市X』で試したところ、解像度低/陰影・アンチエイリアスなし/HDR OFFであれば、フレーム落ちもそうそう目立たず快適にプレイできましたよ。じゅうぶん、じゅうぶん!
肝心の1億800万画素の画質は及第点だけど

Mi Note 10を求める方の大半が、「108M」モードで使える1億800万画素メインカメラの仕上がりがどうかを気にしているんじゃないかなと思うのですが、みなさんいかがでしょうか。
こちら深セン旅行中に撮ったワンシーンですが、スマホで見るならば問題なし。フォーカスの合った部分は明瞭だし、センサーサイズの大きさ&レンズの明るさからくるボケ感も自然なグラデーションで見やすいし。
でもパソコンの大きな4Kモニタで見ると、合焦点がややもんにょり。JPEGの圧縮率が高いし、レンズの性能もそこまで高くない。

フルHDでトリミングしてみましたが、いかにもスマホの写真って感じです。
ただMi Note 10には2倍と5倍の望遠レンズ&センサーがついています。だからトリミング前提で1億800万画素のセンサーを使うことってまずないはず。そう考えると5万円台のスマホだしなーと納得できてくる。
だけど、レスポンスの悪さはいかんともし難いんです。1枚撮影するごとに5秒は待ちますから。なんでしょう。眠っているのか、プロセッサの性能が追いついていないのか、メモリアクセスのスピードが足りないのか。

1億800万画素でも夜景撮影力が高く、マジでコンデジいらんかなと思えただけに、ゆったりとした撮影しかできないところが残念ではありました。
というなら2700万画素でとってもいいよね

1億800万画素のメインカメラですが、「写真」モードにすると4ピクセルぶんを1ピクセルとして扱う2700万画素のカメラとなります。

そしたらコイツが悪くない。てか、いい。光量が多いと膨らんじゃう傾向があるけど、センサーサイズが1/1.33インチと大きいだけあって、フォーカスポイントからボケへと連なるグラデーションが自然で使いやすい。Mi Note 10より高価なエントリークラスのミラーレス&キットレンズと渡り合えるんじゃないでしょうか。

もちろん夜景力もバッチリです。108Mモードよりはるかにレスポンスがいいので、撮ってて楽しくなってきますよ。
2000万画素超広角も日中スナップによし

スマホカメラのトレンド、超広角レンズ&カメラも搭載しています。

コイツの出来も及第点。少なくとも超広角写真・動画撮影のために、アクションカムを買う必要はもうないですね。

夕方以降はノイズが増えるしニュアンスが消えるしといった弱点はありますが、暗い場所はメインカメラで遊べばいい。と考えればバッチリです。
1200万画素光学2倍/ポートレートも使いやすい

ダイナミックレンジは十分。シャープさとボケのバランスも十分。つまり極めて普通に使いやすくて、ちょっとびっくり。そんな光学2倍/ポートレートカメラです。

シャープネスが強めの絵面ですが、メシをとってもこのとおり。この写真はISO3180ですが、ノイズの少なさはスマホカメラとは思えない。1インチコンデジの写真と言われても納得できちゃう。

ポートレートモード時のボケ(絞り)の調整もしやすいし、ボケはじめるまでの距離も比較的短め。ごはん写真スキーの方は一度お試しあれ。
500万画素光学5倍カメラさん!あんたすげえよ!

はいドーン! 富士山の近くを飛行しているんじゃないですよ。遠くからでもグッと引き寄せることができるんですよ! 光学手ブレ補正機能がつくのも頼もしい!

薄くて、電車やクルマや飛行機の窓に密着させて取りやすい5倍光学レンズつきカメラがあると、もう窓側の席しか取れません。

500万画素だと侮っていてすまんかった!
200万画素マクロもスマホ画面で見るぶんにはよきかな

メインカメラも近接撮影に強めなので、マジでレンズ直前のとこにピント合わせてくれるマクロは、あまり使わないかもしれません。画質もいま一歩なところがありますし。
ですが。ニュアンスの残しかたが絶妙なので、あればあったで楽しい機能のおひとつに。
3200万画素インカメラは21mmの画角で自撮りによし

最後のカメラはインカメラ。これもまだスマホカメラのトレンド、フルサイズ換算で21mmという、広い画角のレンズが使われています。これなら3人、いや4人並んでの写真も撮りやすそう。
白飛びしやすく外周部の歪みもありますが、人が端に入ってもフォーカスはバッチリ顔に合わせてくれます。自撮りカメラとして信頼して使えますよコレは。
日常カメラによし旅カメラにもよし

ハードウェアはあくまでミドルレンジ。ウェブブラウジングもSNSもゲームも、GoogleドキュメントなどのWebツールもフツーに快適に使えます。しかしカメラのレスポンスが遅い…という懸念点があるのが、このMi Note 10の姿です。
でも「ミドルレンジのスマホに搭載された普通のカメラ」は確実に超えていた。一瞬のきらめいた世界を撮るならミラーレスを使えばいいと思っている人からすると、日々のワンシーンをマイペースで撮るならコレでいいんじゃないかって思えてきます。超広角から中望遠までをカバーできるスマホカメラだもの。ポケットに入れておくにはちょうどいいんじゃない?
同時に、荷物の重量が気になる旅行時も、Mi Note 10のカメラは大活躍。カジュアルな旅行で、めっちゃボケが欲しいというのでなければ、重いデジカメを持っていかなくてもいいかなと思えてきますよ。
まとめ
・Xiaomiの日本デビューに投入された、背面5カメラのミドルレンジAndroidスマホ。
・マクロ・超広角・1億画素・2倍と5倍の光学ズームをシーン別で使い分けられる面白いカメラ構成。
・気になるところもあるものの、理解した上で使うなら日常&旅カメラとして優秀。
・スマホとしてのハードウェア性能はミドルレンジだけど、ゲームするのにも十分なスペック。
Source: Xiaomi