処分上等。350人以上のAmazon職員がクビの危険を冒してまで気候変動対策の失敗を糾弾

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  • author Brian Kahn - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
処分上等。350人以上のAmazon職員がクビの危険を冒してまで気候変動対策の失敗を糾弾
Image: Getty via Gizmodo US

イエスというだけが愛情ではないんです。

新年早々、Amazon(アマゾン)は職員に対して自社の中途半端な気候変動対策についてかん口令を敷いて、違反すると解雇の可能性があると伝えました。それに対して350人を超える職員は日曜日(1月26日)の夕方に、Amazon Employees for Climate Justice(AECJ)のMediumで、なぜアマゾンが気候変動対策を強化すべきなのか、そしてこの集団的不服従がなにを意味しているのかについて公開しました。

前例がない深刻な事態を止めるために必要なのは、過去に例のない行動

AECJのコメントはすべてそれぞれの職員が抱く気候危機への懸念や、アマゾンの寄与に関することばかりです。リスクを背負った職員の行動はまるで「わたしの屍を越えていけ」といわんばかり。職員らは懲戒や停職処分も辞さない覚悟で公然と会社に抵抗しています。

過去に例がない事態になっている気候危機に対応するには、過去に例がないレベルの行動が要求されます(学校ストライキMicrosoft(マイクロソフト)社員のストヌード写真でオーストラリアの森林火災への寄付を募った人みたいに)。そして、アマゾン職員の行動はテック企業としては前代未聞です。

Eartherに寄せた声明で、AECJのシニアマーケティングマネージャーであるMark Hiewは、処分覚悟で彼の部下たちと行動を共にした理由を語っています。

アマゾンの職員は、世界的な気候危機やそれに対する我が社の役割と責任に関するようなトピックについて、自由に声をあげる文化を育みたいのです。それを妨げるような社則は受け入れません。被雇用者と雇用主が敬意と信頼をシェアすることがわたしたちの目標達成に必要であり、それがアマゾンを革新と発展の未来へと導いてくれるのです。

わたしたちは気候危機が心配です。今起こっていることについて声をあげなければ、壊滅的なリスクがあると感じています。気候危機は何百万もの人々の生活を脅かしています。声をあげる必要があるのです。

AECJに寄せられた職員たちの経験談には強い説得力があります。世界経済への影響と同じくらい、アマゾンの気候危機への寄与もケタ違いです。アマゾンは、気候危機解決に貢献しようとする立場をとってはいるのですけど…。

「顧客第一」から「人類第一」へ

「アマゾンの重要な信条に『カスタマー・オブセッション(顧客第一)』があります。今はそれを「人類第一」にまで広げるときです。偉大な力には、偉大な責任が伴います。アマゾンは企業運営方針を大きく転換させて、他社の見本となるようなゴールと価値観を掲げなければいけません」と、配達サービスのMila RahmanはMediumの投稿で述べています。

アマゾンやマイクロソフト、Google(グーグル)などの企業は気候変動アクションで大きな役割を果たしている一方で、気候変動否定にお金を注ぎ込んだり化石燃料採掘の技術革新に力を貸す契約を交わしたりするなど、気候変動対策にブレーキをかけ続けています。テックジャイアントたちが掲げる気候変動対策はあまりにも弱く、いつまでも石油とガスの採掘に手を貸していると、手遅れになってしまします。

アマゾンは特にひどくて、2040年までにカーボンニュートラルにとかいっていますが、マイクロソフトの2030年までにカーボンネガティブ(二酸化炭素の削減量が排出量を上回る)を、2050年までに同社が創業以来排出した量のCO2をすべて回収するという目標に比べるとちゃんちゃらおかしいレベルの弱さです(マイクロソフトも石油ガス企業と取引があるのでまだまだやることは山積みですが)。そのことを嘆く職員たちは、ジェフ・ベゾスCEOに対して地球をめちゃくちゃにしないためにマイクロソフトと競争をするよう求めています。

シニアソフトウェア開発エンジニアのAustin Dworaczyk Wiltshireは「散らかしたものを片付けよう。(カーボンネガティブが)マイクロソフトにできて、アマゾンにできないなんてことはないだろう?」とコメントしています。

AECJは昨春の株主総会でベゾスに対して気候変動の話をしようと試みたり(ベゾスは登壇すらしませんでしたが)、昨年9月の若者たちによる気候ストライキに同調してストを起こしたりしています。職員から声をあげ続けられているアマゾンがそれを気に入らないのは明らかです。しかしながら、社の方針に反対する職員に対するかん口令は、アマゾンが態度をさらに硬化させた結果といえるでしょう。

好きだから正しいことをしてほしい職員と、黙ってほしい会社の溝は埋まるのか?

Mediumへの投稿にコメントを寄せた350人以上(記事執筆時で363人)の職員は社の方針に公然と違反しているわけですが、それらのコメントには、アマゾンへの愛情が感じられるものや、同社やベゾスイズム、企業価値に深くコミットするものが多いそうです。

でも、多くの職員は同社が先頭に立って気候変動対策を遅らせていて、世界を修復不能な事態に陥れるかもしれないと心配しています。AECJは、気候変動への寄与だけでなく、不平等の助長や警察権力の強化などにテックが関わらないように、アマゾンやマイクロソフト、グーグルのようなテック系大企業にプレッシャーをかけられる数少ない存在でもあります。

これらの大企業は社会や政府、気候をコントロールできるほどの巨大な力を持っています。そして今、その中で働いている人たちが、アマゾンのような企業によってわたしたちが地獄に突き落とされないようにブレーキをかけてくれているのです。わたしたちにも、巨大企業に反旗を翻すアマゾンの職員から学べることがあるんじゃないでしょうか。

2020年1月27日午前10時50分アップデート: アマゾンのスポークスマンからEartherに声明が寄せられましたが、AECJによるMediumへの投稿にコメントした職員に対してどのような対応をするかについては明言を避けているようです。

アマゾン社員によるサステイナビリティなどに関する建設的な議論は歓迎ですが、職員が公然と社や問題解決に取り組む勤勉な同僚を傷つけたり誤解を招いたりする行為は認めません。

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