ロボットも「汗」をかくほうが効率的だった

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
ロボットも「汗」をかくほうが効率的だった
Image: Mishra et al., Sci Robot. 5, eaaz3918 (2020) via Gizmodo US

より人間らしく。

汗かきの人って、いろいろ気になる悩みを抱えています。でも、それはとっても大切な作用なんだって、このほど科学ジャーナルの「Science Robotics」に発表された論文で、改めて確証されました。わざわざ汗をかく仕組みをロボットに備えさせることが、最先端の研究分野で進められてもいるみたいですって。

汗は熱を逃すため

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Image: Mishra et al., Sci Robot. 5, eaaz3918 (2020) via Gizmodo US
汗をかくアクチュエータ部分。指を模している

伸縮したり、屈折したり、複雑な動きを有するロボットほど、その作業量が増せばを帯びてきます。また、ロボットならではの過酷な環境下へ投入され、灼熱の暑さのもとで作業を強いられることだって珍しくはないでしょう。でもそうなると、ロボット本体の温度がどんどんと上がってしまい、そのまま使い続けるならば、故障したり、最悪の場合は壊れてしまったりするケースが少なくありません。

オーバーヒートを避けるため、作業時間を短縮したり、何度も作業を中断せざるを得なくなってしまいます。しかしながら、そのロスを避けるべく、人間の汗をかく仕組みを模倣するアプローチが、米コーネル大学のFacebook Reality LabsおよびイタリアのCenter for Micro-BioRoboticsにおいて、共同で開発されているようです。冷却ファンやラジエーターより、安価でシンプルな構造ゆえに、今後の実用化への期待がかかっているとのことですよ。

約30度以上になると水を出す物質を使う

発汗能力は、人間が優れている要因として注目を集めてきた。人は非常に速く走れる動物ではない。だが初期の人類は、長く獲物を追い続けられる特性ゆえに、成功を収めることができた。毛深くなく、二足歩行で発汗能力を備えるというコンビネーションのおかげで、長距離を追いかけ、獲物を疲れさせることが可能になったのだ。

今回の研究開発に臨んだThomas Wallin氏は、このように人間の汗をかく能力の優位性を強調。長時間のマラソンを走りきるうえでも、発汗作用は非常に重要で、これをロボットにも応用できないものか?と着眼したわけです。

そこで「PNIPAm」と呼ばれる、温度によって疎水性と親水性に変化する温度応答性ゲル(N-イソプロピルアクリルアミド)という素材をロボットのアクチュエータ(指の部分)に採用しました。約30度を超える温度になれば、自動的に開閉して、圧縮保存されている水をまき散らすようにしました。その結果、人間や馬に見られる、発汗によって身体を冷やす能力以上に効率的で、ロボットアームでグリップする物体をも冷やせるシステムが完成したとされていますね。

冷却効率は6倍

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Image: Mishra et al., Sci Robot. 5, eaaz3918 (2020) via Gizmodo US

また実験では、汗をかくロボットを扇風機の風にさらしました。すると、汗をかく機構を備えていない通常のロボットと比べて、冷却効果は6倍になりました。同研究論文の著者たちは、ヒトや馬と比較しつつ「汗をかくロボットの温度調節性能を測定すると、動物界に存在する発汗によって身体を冷やす能力よりも、はるかに優れていることが判明した」と記しています。

しかしながら、まだあくまでも実験段階に過ぎず、実際の作業下では、発汗を模して流れ落ちる水分のせいで、グリップ性能低下したり、長時間の作業では冷却水不足してしまったりする問題点などが判明。今後は、人間が汗をかくと、水を飲んで水分を補給するように、自動で補給能力を備えさせることや、ロボットの性能を落とさずに発汗作用をキープする手法の考案が課題とされています。汗かきロボットのこれからの開発の行方が気になるところです。

Source: Science Robotics

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