Avastが売っていたユーザーデータは「個人を特定できない」としているが、それは何の意味もない言い訳

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  • author Shoshana Wodinsky - Gizmodo US
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Avastが売っていたユーザーデータは「個人を特定できない」としているが、それは何の意味もない言い訳
Image: Robert Avgustin/Shutterstock.com

セキュリティソフトすら信じられないこんな世の中じゃ…。

Avast Softwareの分析部門・Jumpshotが、アンチウィルスソフトウェア「Avast」の無料ブラウザアドオンをインストールしている何百万人のユーザーデータを売っていたことが判明した件で、AvastはJumpshotの閉鎖を決定しました。

ユーザーのプライバシーとパーソナルセキュリティを第一に掲げ、自称「サイバーセキュリティのグローバルリーダー」なAvastにとって、ユーザーのデータを使って利益を得るというのはイメージ的にちょっと問題があったようです。

AvastのCEOであるOndrej Vlcek氏は、プレスリリースにこう記しています。

ユーザーを守ることがAvastの最優先事項です。私たちが企業として行なうことのすべてがその理念に基づいていなければならず、それに反する事は一切、私たちは容認しません。そのため、私と役員はJumpshotのデータ収集を中止し、直ちにJumpshotの運営を停止することを決定しました。

アドテック企業の多くがそうであるように、Jumpshotもサードパーティ(この場合はAvast)を通じて得たデータを頼りにしていました。Avastのアドオンをインストールしていると、ユーザーがクリックした箇所ブラウジングの趣向などのデータをまとめてパッケージ化し、たとえばNike(ナイキ)などに、ユーザーがNikeのページのどこをいつクリックしたかなどのデータを共有していたのです。

Vlcek氏は、こういったデータでは「個人を特定できない」としていますが、それは何の意味もない言い訳です。とくにユーザーのブラウジング履歴すべてが関わっているなら尚更です。

Jumpshotが閉鎖することで何百人もの従業員が職を失うわけですが、今回に限って言えばそれは正しいと思います。Avastは「常に法の下に行動」し、アドオンのユーザーにプライバシー規約を提供していることを誇りにしていますが、データ業界に関わっている人に言わせれば、肝心の規約がほぼ解読不能である以上何の意味も為さないのです。それに、その言い分ではすべての責任をユーザーに委ねていますが、安心感を得るためにセキュリティアプリを使っているような人たちが、そんなプライバシー規約を読むわけがないでしょう?

Jumpshotに関する「メディアの憶測」について投資家宛てに送られた手紙によると、Avastの書記であるAlan Rassaby氏は、Jumpstartのみで3600万ドル(約39億円)の収益が見込まれていたこと、その収益が大手企業ー初期の報道によればPepsi(ペプシ)、Home Depot(ホーム・デポ)なども含まれるーパートナーによるものであることが明かされました。さらに追加のメモによると、これはAvastが去年稼いだ4億ドル(約430億円)のほんの7%に過ぎないことも判明しました。

Source: Avast

2020年02月06日 訂正:一部金額の円換算に誤りがありました。謹んで訂正いたします。