結局、ベストな運動って何なの? 専門家に訊いてみたら、「好きな運動がベスト」だって

結局、ベストな運動って何なの? 専門家に訊いてみたら、「好きな運動がベスト」だって

あらゆる疑問を専門家にぶつけるGiz Asksシリーズ、今回のテーマは「ベストな運動とは何か?」です。米GizmodoのDaniel Kolitz記者が、専門家たちの考えを取材しました。


ジムでの初日を迎える前に、運動初心者ならば自身に問うべき質問はたくさんにあります。私はそういった質問がどんなものか検討もつきませんが、他のあらゆることと同様に、運動においても、大切なのはムダを省いてひとりの自由な時間を最大限に活用することだと分かっています。そのため、今回のGiz Asksは運動科学の専門家を集め、ベストな運動の種類について議論してもらいました。がっつり筋トレに励む人であれ、疲れを感じやすい人であれ、それぞれに役立ちそうな意見があるでしょう。

Angela Doehring

イリノイ大学スプリングフィールド校、運動科学准教授

アメリカ合衆国保健福祉省の身体活動ガイドライン(2018年版)は、18歳以上の成人は健康のために、最低150分間の適度な運動か、あるいは75分間の激しい運動か、その両方の組み合わせを毎週行うべきとしています。最低週2回の全身のストレングストレーニングに加えてです。それでも残念なことに、こういった基準に達するアメリカ人は25%以下で、よく運動する人への障壁は無限にあるのです。

そのため、ベストな運動とは有酸素運動とストレングストレーニングとの両方を取り入れる必要がありますが、楽しめるものでなくてはなりません。ですから、好きな運動を探しましょう! それがフィットネスセンターでの激しい高強度インターバルトレーニングのブートキャンプを行うグループエクササイズのクラスでも、散歩やガーデニングをしながらアウトドアを楽しむのでもよいのです。

実のところ、個人がどんなタイプの運動が好きだろうと、身体活動ガイドラインに見合う限りは、それがベストなんです。

Kumika Toma

マーシャル大学、キネシオロジー准教授

アメリカスポーツ医学会(ACSM)、アメリカ合衆国保健福祉省、世界保健機関(WHO)、欧州連合は、すべての人々の身体活動に関して「週に最低150分間の適度な、あるいは75分間の激しい有酸素運動と週に2回の筋肉強化トレーニング(障害、加齢あるいは相性などにより、必要であれば変更を加える)」を健康のため推奨するという意見で一致しています。

何をするかは大きな問題ではありません。とりあえず動きましょう。しかし、疑問はいつだって湧くもので、「適度や激しいとは?」という強度については個人の運動レベルによりますし、初心者には難しいところです。十分に運動しなければそれほど効果を得られませんし、やりすぎるとケガをしかねません。

手に入るなら、心拍数モニターがあると便利です。運動の強度を確かめる最も簡単かつお手頃な方法に「呼吸/歌唱テスト」と言うものがあります。運動中の呼吸がほとんど目立たないようであれば強度は低いはず、もし聴いている曲を部分的にでも歌えたり話せたりするなら適度な強度、そして手短になら話せるものの、曲などは歌えないほどなら、やや高強度(激しい)ということです。話すこともできず息が荒いほどなら、超高強度(とても激しい)ということ。

上記はとても大まかですが、私たちのゴールは適度な強度で運動することですからよい指標ですよ。

Evonne Bird

トゥルーマン州立大学、スポーツ健康科学講師

ベストな運動の種類とは、実際にその人が行うだろう運動です。アメリカスポーツ医学会は30分の適度な有酸素運動を週に5回、そして筋力トレーニングを少なくとも週に2回を推奨しています。どんな種類の有酸素運動と筋力トレーニングをするかは、その人の目標と何をするのが好きかによります。もし走るのが好きじゃないなら、ランニング以外の好みの有酸素運動を探すべきです。運動を楽しくする方法を見つけると、喜び、メリット、そしてその運動を行う可能性が高まります。すべての人々にとってベストな運動というものはなく、それぞれが自身のライフスタイルと好みに合う運動を探す必要があるのです。

Marcus Kilpatrick

南フロリダ大学、運動科学教授

ベストな運動とは、長期的に続けられるようなものを指します。これは、合衆国と全世界における運動の参加率と継続率が比較的低いことを踏まえての、批判的な考察です。科学者らは運動の強度、継続期間、モダリティ、そして頻度のどの組み合わせが特定の健康上の懸念と運動上のゴールに最大限のメリットをもたらすかという疑問への答えを求めていますが、定期的そして一生涯を通じて活動的になりさえすればいいというのが最も大事なアドバイスです。運動を継続するための秘訣の一部は、楽しめて満足できる運動体験に携わることです。

Jessica Creasy Peacock

シェナンドア大学、副学部長、アカデミック・イノベーション所長、運動科学准教授

ベストな運動の種類とは、あなたが実際にするような運動です! 合衆国にいるほとんどの人は身体活動のガイドラインに達していなく、そしてその大部分が完全に運動不足です。立派な心構えがあってエクササイズのプログラムを始めようというときでさえ(新年の後ではありがちですよね)、半数が最初の1ヵ月で脱落します。長い間、健康相談という立場で何百ものクライアントと働いてきましたが、その多くは時間不足のようなありがちな障壁に加えて、運動が嫌い、または活動的になることに自信がなかったと大勢が報告しています。

健康への良い効果をもたらそうと、運動をひと続きで終える必要や、ジムで行う必要もありません。ベストな運動の種類とは長期的に続けられる種類のものであって、それが屋外で散歩する、職場で階段を使う、あるいはジムに行くことだろうと、楽しめて意義を見出せるものになります。運動や継続率に関しては「ひとつが万人に当てはまる」というものはなく、自分のライフスタイルに合う運動を見つけるには多くの試行錯誤を重ねるものです。いつだって何もないよりは何かある方がよいので、私はクライアントには小さな運動から始めて、やがては高いレベルに上がれるよう手伝うとともに、何がその人に合うか見るために、あらゆる運動を試しています。

クライアントたちがもっと意味のある運動を行えるよう、気分の向上、エネルギーの増加、ストレス減少、自信の向上といった運動中に経験する内在的なメリットに気を配るように促してもいます。運動をすると気分がよくなる、と気付くことができれば、もっと楽しいプロセスになります。楽しんでいるなら、運動するでしょう!

Nancy Gell

バーモント大学、Rehabilitation and Movement Science准教授

ベストな運動とはあなたが楽しめる、やりたがる、あるいは少なくともやってみようと思っているものです。つまり今日のベストな運動が、明日や来週、1カ月後のベストな運動と同じではないかもしれないということ。強くなりたければストレングストレーニングがベストで、バランス能力を高めたいならそこを鍛えていくのみです。それに基礎体力を上げたいなら、ウォーキングやダンス、自転車など心拍数を上げるものがベストな運動になります。私のすすめるエクササイズのひとつに「座って立って」という運動があります。名前がすべてを語っているように、立ち上がっては座るを繰り返すのです。ストレングスとバランス能力を鍛え、少しやり方を変えれば運動能力と俊敏性に貢献します。難易度は座席の高さを上げ下げして調整できますが、スピードを上げたり、片脚でやったりすれば、さらに難しくなりますよ。どの年齢層にも適した運動で、どこでもできます。

Lisa Ferguson Stegall

ハムライン大学、生物学准教授

それは、個人のゴールや、始めるときの体のコンディションによります。血圧を下げるためのベストな運動は、5km走れるようになるためのベストな運動とはだいぶ異なりますからね。筋肉を増やすためのベストな運動は、減量に最適な運動と完全に異なるのです(ちなみに、運動だけでは減量のベストな方法とは言えません)

もし、ほとんどの項目(心臓血管の健康を改善、体脂肪の維持あるいは減少、骨密度を向上あるいは維持、体力をつける、全体的な基礎体力の向上)にチェックを入れられるような包括的な習慣を求めるとすれば、ベストな運動習慣とは何なのか? ゴールによって変わると繰り返しますが、私の意見としては健康全般と基礎体力のためであれば、有酸素/エアロビベースの運動(適度な強度で長いセッションか、HIIT、高強度インターバルトレーニングという高強度の短いセッション)を週のほとんど行って、ストレングス/筋肉トレーニングを週に1~2回行うのが堅実なプランです(私はより短時間で行えてメリットの多いHIITの大ファンですが、これは高強度に挑める人向きです)。しかし、5km走もしくはマラソンや自転車レースのパフォーマンスを改善したいというのであれば、プランの内容はかなり変わるでしょう。持久力のセッションはもっとキツいものに、そして長時間のスポーツには長めのセッションになる、といった具合に。これは我々がトレーニングの特異性と呼ぶものに関係していて、あなたが行うトレーニングは、あなたが競うスポーツや大会に適しているべきなんです。(週3回30分走っているだけじゃ、マラソン向けに鍛えられませんからね)

もっと哲学的な観点で言えば、ベストな運動や習慣は何かという疑問への答えは、単純なものかもしれません。それはあなたが恐がったり、嫌ったりしていない、実際に行うだろう運動です。走るのは好きですか? なら走りましょう。泳ぐのはどう? プールのあるジムに入って、泳ぎましょう。自転車は? なるほど、自転車を手に入れて鳥のように自由を感じてください。ただ自分が楽しめること、定期的にできそうなことをやるのみ。それがベストな運動かもしれません。

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