Q. グライムスとは誰か。
A. AppleのCM「Behind The Mac」に出演していた女性、あるいはイーロン・マスクの彼女。
かなり乱暴な紹介の仕方ではありますが、ギズモード読者のみなさまなら、きっとこう言えばイメージできるのではないでしょうか。
この映像からも分かる通り、グライムス(本名:クレア・バウチャー)の職業はミュージシャン。
では、どんなミュージシャンなのでしょうか?
2010年代を象徴するアーティストのひとり
カナダのバンクーバーを拠点としていたグライムスは、2012年リリースの3rdアルバム『ヴィジョンズ』によって一躍ブレイク。
自身のベッドルームでGaragebandを使って作られたというこのアルバムは、そのジャンルレスでポップなサウンドから「ポスト・インターネット時代のポップ・ミュージック」として、ひとつの時代を象徴するレコードとして高い評価を集めました。
なかでも収録曲「Oblivion」は米ピッチフォークが2019年に発表した「2010年代ベストソング」で2位を獲得。
このことからも、いかに彼女が高い評価と人気を持つアーティストかということが分かるはずです。何せ音楽ファンの間では「グライムスが付き合ってるイーロン・マスクって誰?」という人もいるくらいですから。
シンガーである以前に、プロデューサーである
グライムスの音楽を語るうえで欠かせないのは、彼女が“プロデューサー”であるということ。
そもそもこのグライムスという名義には、彼女クレア・バウチャーがプロデューサーとしてポップ・シンガーを手掛けようとするも適切な人物が見つからなかったという経緯から生まれた“自作自演プロジェクト”という側面があります。
ラップトップなどのデジタルテクノロジーを駆使し、作詞作曲、エンジニアリング、アートワークの作成、MVの監督までDIYする彼女のコアにあるのは、マルチクリエイターとしての姿。アップルが「Behind The Mac」で採用するには、まさに最適な人物なんです。
大友克洋、小島秀夫、セーラームーン。日本発カルチャーからの影響も
そんなグライムスの創作に大きな影響を与えているインスピレーション源のひとつが、ギズ読者にもおなじみの漫画やアニメ、ゲームなどの日本発カルチャーの名作群。
幼い頃に好きだったアニメとして『天空のエスカフローネ』を挙げ、特に好きな作品として大友克洋『童夢』『AKIRA』を紹介する彼女ですが、2020年2月21日にリリースされる最新アルバム『Miss Anthropocene』からの先行シングル「Delete Forever」のMVでは、直接的に『AKIRA』へのオマージュが表現されています。
突然VLOGっぽい動画をアップしたかと思えばPS4『デス・ストランディング』の開封動画だったりと、クールな佇まいの内に潜む熱いオタク気質もまた彼女の魅力。
グライムスさんと。 pic.twitter.com/S3zXCMo7uX
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) February 23, 2018
実際、2018年の来日時には小島監督とも対面しています。
イーロン・マスクとの子どもを妊娠中?
そしてグライムスは先日SNSで妊娠を発表。相手は明言していませんが、コメントのやり取り等からも子どもの父親はイーロン・マスクで間違いなさそうです。
「起業家こそが現代のロックスター」と言われて久しいですが、そう考えれば“2010年代の音楽を作ったマルチクリエイター”であるグライムスと、火星移住を目指すイーロン・マスクのカップルは、21世紀のオノ・ヨーコとジョン・レノンなのかもしれません。
というか、もはや『2001年宇宙の旅』のスターチャイルドが生まれそうな雰囲気すらありますよね。
そして、新アルバム『Miss Anthropocene』のテーマは気候変動です。ベッドルームで音楽を作っていたDIYクリエイターから、2010年代を代表するアーティスト、そして人類の未来を作るかもしれないビッグカップルのひとりにまでなったグライムス。その最新作をぜひリアルタイムで聴いてみてはいかがでしょうか。