仁義なき米大統領選2020:ブルームバーグ陣営は雇われインフルエンサーを活用中

  • author Whitney Kimball - Gizmodo US
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仁義なき米大統領選2020:ブルームバーグ陣営は雇われインフルエンサーを活用中

あなたの周りにも、ブルームバーグ軍団がいるかも知れない

やあ、こんにちは! 君はマイケル・ブルームバーグに投票してくれるかな? いや、別に彼の広報やってるわけじゃないんだけどさ、全ての人に平等な権利を与えるというのは、マイケルの生涯のライフワークなんだよ。知ってた?

いやいや、ただ事実を言ってるだけですよ。他にも、Wall Street Journalによると、 マイケル・ブルームバーグが500人以上の人間をカリフォルニアで雇って、彼らの知り合いリスト皆にブルームバーグに投票するよう呼びかけさせてる、とかね。

このキャンペーンを支えているのは、ディストピアンな選挙キャンペーンアプリ、「Outvote」です。「進歩的な人」や「活動家」のためのアプリと謳うOutvoteは、ボランティアの人々と連携し、彼らの友人や家族に「草の根運動的な」ブルームバーグ支援メッセージを送ることができます。それだけでなく、「ボランティア」は連絡した人たちが誰に投票したかも知ることができます。

代理デジタルオーガナイザー

「代理デジタルオーガナイザー」と呼ばれる彼らは、1週間あたり20から30時間活動し、知り合いに手当たり次第SMSを送ったりソーシャルメディアに投稿することで、1カ月あたり2,500ドル(約27万円)を稼ぐそうです

実はこれ、Grindstone Field Solutionとかいう企業の「代理デジタルオーガナイザー」の求人広告にそっくりなんです。業務内容はというと「Outvoteを通じて個人ネットワークのマッピングを行い、繋がっている人たちとコミュニケーションを行なって、候補の支援と投票登録の仕方を指南し、ブルームバーグを応援するように呼びかける!」だそうです。「マイケル・ブルームバーグの勝利に対する揺るがないコミットメント」は絶対条件です。

えぇ、マイケルは大好きですよ。FuckJerryのミームがそうしろって言ったんですから。しかし、そういったインフルエンサー等に対するスポンサーと違い、Outvoteはかなりステルスなキャンペーンです。ブルームバーグのスポークスパーソンによると、陣営はボランティアたちに、ブルームバーグからスポンサーされていることを開示するよう義務付けておらず、そうする必要もないとのこと。インターネット広告に関する連邦選挙委員会(FEC)のルールは2006年以降更新されていないので、こういった手段に対応していないのです。

遅れているFECの対応

「ソーシャルメディアのインフルエンサーは、現時点では対応できていません」とFECのスポークスパーソンであるChristian Hillandは米Gizmodoに電話で回答しました。FECの情報開示規定は、ソーシャルメディア企業から購入した広告スペースのみに関してテレビやラジオ広告と同じように適用されるので、給料を受け取った個人が「個人の意思で」投稿するものに関しては適用されないのだそうです。しかも、FECは現在規定を変更するために必要な役員4人がいません(FEC副委員長のMatthew Petersenが辞任したので、現在3人。しかし上院はトランプ大統領の選んだ候補に対して投票を行なっていません)。

結果として、広告の情報開示をするかどうかはソーシャルメディアサービスの利用規約次第です。Wall Street Journalが指摘しているように、候補者スタッフによる個人の投稿はFacebook(フェイスブック)で広告として扱われないので、スポンサー開示は必要ありません。Snapchatの政治広告に関するポリシーは、政治広告は許諾を得ているか開示しなければならないという米国自体のポリシーを参照していますが、結局スタッフ個人の投稿については触れていません。Tiktok(ティックトック)とTwitter(ツイッター)はスポンサーつき政治広告自体を禁止しています。

「ユーザが広告マーケットプレイス外で有料プロモーションを行なった場合、弊社ではユーザにガイドラインに従うよう(政治広告では開示が必要なので)指示します」とは、米Gizmodoに返答したSnapchatのスポークスパーソン。しかし、ブルームバーグがインフルエンサーに支払って作ったコンテンツが「有料プロモーション」に当たるかという追加の質問には答えませんでした。

Twitterのスポークスパーソンも、この問題がグレーゾーンであることを示唆しました。

Twitterの政治広告禁止は、Twitter上の有料広告についてです。しかし、このポリシーはオーガニックなコンテンツには適用されません。それは有料パートナーシップので取り扱っています。

つまり、ブルームバーグが「代理デジタルオーガナイザー」を「インフルエンサー」とか「パートナー」と呼んでいたら、状況は違っていたかも知れません。連邦取引委員会(FTC)のインフルエンサーのためのガイドラインは、ブランドと「営利的な繋がり」、つまり「製品の名前を出すことで大小問わず価値のあるものを受け取った場合」は必ずスポンサー投稿であることを開示しなければならないとハッキリ書いてあります。

米Gizmodoは上記の企業から、ブルームバーグのキャンペーンに関してコメントをもらえませんでしたが、きっとマイケルか、友達、知り合い、またはインフルエンサーから何かしらコメントを聞くことになるでしょう。それか2021年までネット断ちして自己隔離し、ゾンビインフルエンサー軍団が候補の脳みそを食べた後で、我らが愛するマイケル・ブルームバーグについてたっぷり聞かせてもらいましょうか。