一番の感動はストラップ。
シンプルで洗練された佇まいが印象的な北欧ブランドSkagen(スカーゲン)のスマートウォッチ「Falster 3(フォルスター3)」。このスマートウォッチの本体でも機能でもなく、なぜかストラップをとても気に入ったという米GizmodoのVictoria Song記者によるレビューです。
市場はオシャレなWear OSウォッチであふれています。これは時計メーカーであるFossil(フォッシル)の存在が大きいです。市場にあるAndroid向けスマートウォッチの大半を作っているのは、同社とそのデザイナーブランドたちですからね。
問題は、機能的にはありふれていて、尖ったものがないってこと。同じソフトウェアで動いて、同じ機能を搭載していて、「これは新しいぞ」と思わせるような専用アプリが1つや2つあるかどうかといった具合…。
これはSkagen Falster 3でもほとんど変わりません(あ、SkagenはFossilのブランドですよ)。でも、1つだけこのスマウォに関してメチャクチャ気に入っている点があります。それはストラップ。
そう、ストラップです。
なぜかって? まず初めに、ストラップは数種類から選べるのですが、私の言うストラップとは片面がレザー、もう片面がシリコン製のものです。表側は上質なミディアムブラウンのレザーで、裏側はスポーツブランドで使われているのと同じタイプの素材。FossilがCES 2020でお披露目したときに興味を持ったんですが、実際に10秒以上はめてみると、なぜ他のスマウォメーカーが後に続かないんだろうと疑問に思いました。
Skagen Falster 3

これは何?:Fossilお気に入りのデンマークブランドからの3代目Falster
価格:295ドル(日本価格4万6200円)
好きなところ:ストラップがほんとに最高
好きじゃないところ:それ以外の部分はまあまあ良い。Wear OSは未だに人気のない、パッとしないスマウォのプラットフォームのまま。
個人的に、一般的なシリコンストラップの見た目があまり好きじゃありません。美しいハイエンドのスマートウォッチでさえもどこかチープに見えてしまうのが嫌で…。織物やレザーのバンドのほうが上品に見えて、日常的に身につけるアイテムとしてもう少し汎用性があると思うんですよね。
一番問題になるのがワークアウト中。私は手首ですら汗まみれになる、汗っかきです。1時間の強化トレーニングをした日には、滝のように汗が流れ出てきます。面倒くさがりでもあるので、ランニングの時だけ引き出しからスポーツ用のバンドを引っぱり出して使うなんてこと、できません。
Falster 3をおよそ6マイルの屋外ランニングと1時間のジムで試してみました。劣化せずに長く使えるかどうか判断するには時間が足りませんでしたが、運動中はとても快適でした。
シリコン製の裏面にはたくさん溝が入っていて風通しがよかったのがありがたかったです。そしてベルトについた汗をきれいに拭えることにも感動。上司がわざわざ写真まで撮ってくれた、下の画像のストラップのようにはならないでしょう(念のために言うと、コレは上司の私物であって私の物でありません)。表側は上品、裏側は汗びっしょりでもOK。面倒くさがりでも使えるストラップなんて最高です。

さんざんストラップについて褒めたところで言うのは心苦しいですが、Falster 3はデザイン以外には何かがとりたてて特別なウォッチではありません。
インダストリアルな見た目のラグ(ストラップを固定する部分)、側面にはボタンが3つとSkagenならではのミニマリストなデザイン。デフォルトの文字盤もまた、とてもミニマルで洗練されています。
個人的には42mmのケースサイズでも手首が細く見えなかったのがうれしかったです。ちょっとマスキュリンな見た目だけど、決して「男性用の腕時計」だと主張していない点も気に入りました。厚さはたった11mmとつけ心地もよいです。
でもその中身はというと、何かすばらしい機能を搭載しているわけではありません。Qualcomm Snapdragon Wear 3100チップ(いちおう、先代モデル2100チップよりも性能は良い)が搭載されていますが、Wear OSをSamsungのTizen OSやAppleのwatchOSに対抗して生き残っていくライバルにするには物足りません。便利なストラップがあったってそれは変わらないです。
ほかのFossilの第5世代のウォッチと同じように、1GBのRAMと8GBのストレージを備えています。Fossil SportとMisfit Vapor Xよりもサクサク動きますが、それでも画面間をスワイプする際には少しカクつきます。1GBのRAMのおかげでウォッチ上でのアプリのダウンロードは耐えられる程度にはなりました。Falster 3は独立したGPSも搭載しているので、スマホを持たずに音楽を楽しみながら走れるのはいいですね。
バッテリーの持ちは、期待をわずかに上回っていました。それは3100チップとFossilが第5世代で導入したバッテリー「拡張モード」のおかげ。以前のスマートウォッチは、丸1日もったとしても電池切れになる寸前でした。
Falster 3を試したところ、GPSを30~40分ほど使った日でも、バッテリーの残量は24時間分を少し上回るくらい。今ある競合品と比べればひどいもんです。ただし、最新Fossilウォッチはすべて、急速充電に対応しました。充電器を用意しておけば、Falster 3は簡単に充電できます。
たとえば、11%のバッテリー残量から約58分の充電で99%まで復活。他のスマートウォッチだと、ゼロからフル充電まで平均して90分から2時間ほどかかるんですよね。

フィットネストラッキングについては、Falster 3はまさにカジュアルなデザイン重視の性能って感じです。アクティビティをざっくり把握できますが、トレーニングに本気なユーザーにとっては物足りません。
距離は多めに、速度は気前よくレポートする傾向にあります。3.75マイルのゆったりしたランニングでは、スマホは1マイルの平均ペースを10分38秒と記録。Falster 3は同じランニングを、平均ペース10分20秒で3.89マイル走ったと記録したのです。比較してみると、Apple Watch Series 5は3.63マイルを平均ペース10分58秒と記録。さらに短い2.65マイルのランでも同じような誤差がありました。Falster 3は0.2マイル余分にくれて、普段の「ゆったり」ペースと比べて20秒速いと言う傾向にあったのです。
いつものランニングコースであれば1マイル、2マイル、3マイル等の目印を把握していますが、走っている最中にFalster 3を見てみると、通常よりも30~60秒ほど早くそうの距離に達していました。大ごとにはみえないかもしれませんが、スピード重視の運動や時間を経ての進歩を測りたいのであれば、この誤差は競技なんかでは誤解を招く可能性があります。
Falster 3はフィットネス重視の製品ではないので、これは購買意欲を削ぐようなデメリットではないでしょう。もしこれをメイン機にするなら、もうちょっと自分を追い込むだけです。
Falster 3は、心拍数の精度においてはよくなっています。どちらのランニングでも、Falster 3とSeries 5で似たような平均心拍数のグラフが表示されました。同じように、強化トレーニングセッションでは胸ストラップ型心拍センサの「Polar H10」と同等でした。

Falster 3は有能なスマートウォッチです。見た目は最高!
Google Pay経由でのNFC決済の機能もあります(訳注:日本では未対応)。Wear OSはポンコツのままですが、かつての壊滅的な印象はなく、ただ冴えなくてワクワクするようなものではないなという程度。それでも295ドルという価格に対して、本当にめちゃくちゃ気に入っているのがストラップだとしても、最大の特徴はそれ以外の何かだと言いたかったです。
この価格帯であれば、Samsung Galaxy Watch Active2の40mmモデルなら280ドルで買えて、もっといいスマートウォッチ体験ができます。タッチスクリーンが苦手でも洗練されたウォッチをご所望なら、FossilのHybrid HRは100ドル安くて、基本的な通知はほとんど届きます。
価格が予算内で、インダストリアルでミニマルなデザインが本当に好きなのであれば、Falster 3も悪くないでしょう。
まとめ
- この表面がレザー、裏側がシリコン製のストラップこそ面倒くさがりな私が求めていたもの
- Falster 3はシックなスマートウォッチです。デンマークのミニマリストな雰囲気が最高
- ハードウェア面では、Fossilの第5世代フラッグシップモデルと同じでQualcomm Snapdragon Wear 3100チップセット、1GBのRAM、8GBのストレージ
- NFC決済やGPS搭載、そして常時オンのディスプレイなどステキな追加機能も
- 急速充電のおかげでそこそこのバッテリー寿命
- 295ドルという価格で、一番良い機能はストラップ以外の何かであってほしい