最新ウォークマン NW-A105レビュー:心を鷲掴みにされた! でもストリーミング派なら買わないほうがいい

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  • author Carlos Zahumenszky - Gizmodo US
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最新ウォークマン NW-A105レビュー:心を鷲掴みにされた! でもストリーミング派なら買わないほうがいい
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

よりニッチな方向で進化するWalkman。

私たちの音楽との付き合い方を変えた伝説のデバイス、Walkman(ウォークマン)ですが、mp3形式が台頭してからはイマイチ影が薄くなってしまいました。さらにストリーミングが主流になってもその状況は変わらず、今はスマートフォンに完全に場所を奪われてしまいました。そんな昨今、Walkmanを買いたいというのはどういう状況なのか?GizmodoのCarlos Zahumenszky氏が、新しいWalkmanをレビューしています。


このストリーミングの時代に、誰がWalkmanなんて欲しいんだろう?」小さなSony NW-A105をいじりながら、私は考えていました。しかし1カ月後には、その問いに対する答えがたくさん見つかりました。SMSや電話などの余計なノイズを排除し、高音質の音楽を流す小さなデバイスを受け入れるのもアリなんです。WalkmanとしてAndroid(アンドロイド)を搭載したNW-A105の用途は音楽だけに止まりません。長いバケーションのお供に、スマートフォンの代替としてもバッチリ使えますよ。

NW-A105はWalkmanファミリーの最新モデルです。SonyはこのデバイスをIFA 2019で初公開しました。価格は350ドル(約3万8千円)で、妙な感じはするかもしれませんが、Walkmanのモデルでは最もお手頃な値段です。例えば、Sony WM1ZはWalkmanのハイエンドモデルで、1,200ドル(約13万円)します。更にシグネチャーシリーズをお求めなら3,200ドル(約35万円)もかかります。

これは何?

伝説のWalkmanシリーズの最新作。今度はAndroid 9搭載。

価格

350ドル

好きなところ

至高の音質。物理ボタンと優秀なサウンドコントロールオプション。思わず持って行きたくなる小さなAndroidデバイス。

好きじゃないところ

音量は最大でもあまり大きくない。電池の持ちは残念。予備のチャージャーとMicroSDは欲しくなる。

NW-A105に話を戻しましょう。これは小さなスマートフォンのような見た目で、サイズは55.9mm x 98.9mm x 11.0mmです。重さは3.6オンス(約102g)と軽量で、デカい携帯の持ち運びに慣れた人には特に最適です。Walkman A45とA55はA105とほぼ同じサイズなので、どちらかを持っていた人には大きさの見当がなんとなくつくと思います。しかし違うのは、フロントの殆どを占めるタッチスクリーンで、こちらのサイズは3.6インチで1280 x 720の解像度です。

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新しいNW-A105はSpotifyには不向き
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

音楽プレーヤーに関してはスクリーンは重要ではありませんが、このスクリーンは優秀です。どの角度からでも、例え太陽が反射していてもハッキリ見えますし、画面上の文字の視認性は抜群です。

本体の右側には複数の物理ボタン(電源、音量、再生/一時停止、曲の前後スキップ)と、ポケットに入れた時に誤って押すのを防ぐロック用のスイッチが付いています。これらのボタンにはひとつ注意点があります。ボタンは基本、SonyのWalkmanアプリで使うように設計されているため、サービスによって対応にバラつきがあります。例えばスキップボタンがSpotifyやGoogle Musicでは使えないのに、Tidalでは使えたりします。一方、音量、再生、一時停止のボタンは、すべてのサービスで使えました。

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サイドのボタンは実に使い勝手がいいです。
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

Walkmanの下の部分には3.5mmのヘッドホンジャックと充電用のUSB-Cポート、それに最大2TBまでのMicroSDカードを入れるスロットが付いています。不思議なことに、パッケージにはUSB-Cケーブルも含まれているのですが、アダプターは付いてきません。オーディオケーブルやヘッドホンも付いてきませんが、それには後述する理由があります。

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普通の音楽好きには必要なポートがすべてそろっています。
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

内部にはARM Cortex-A53クアッドコアプロセッサ(Sonyはメーカーを公開していません)と4GBのRAMが積まれています。これだけ小さなスクリーンならそれで十分でしょう。Androidの動作は基本的にスムーズですが、たまに重いアプリを開くのに時間がかかります。

内部ストレージは16GBですが、Androidがその半分以上(ほとんど10GB)を使ってしまいます。ハイレゾなDSD音源のアルバムが容易に2GBはいってしまうことを考えると、これは問題です。つまり、Walkmanの内部ストレージだけで外に持っていけるアルバムはかなり少ないということです。microSDHCやmicroSDXCカードを買えばこの問題は解決しますが、結局更にお金を使わねばなりません。64GBのもので大体10ドルから20ドルくらいです。

ストリーミング音楽 vs 音楽ファイル

言ってみれば、NW-A105はAndroid携帯のようなものです。なので、Androidに対応しているストリーミングサービスはどれでも使えます。しかし、ここにも大きな問題が。Philwebでも報告されていますが、SonyはWalkman以外のアプリからの音質を48 kHz/16-bitに制限することにしたのです。

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クラシックなカセットテープを表示するスクリーンセーバは格好いい
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

とは言ってもNW-A105の音質が悪いわけではありません。Spotify、Tidal、Google Musicで、可能な限りの最高音質で試してみましたが、どれも素晴らしい音でした。ただ、質の良いオーディオチップを搭載したスマートフォン(つまりハイエンドなスマホならなんでも)と変わらない音質であるというだけです。

音楽を聴くのに主にストリーミングサービスを使うという方は、もう読む必要はないです。ジョギングなんかをする時に、音楽に特化した小さなデバイスがどうしても欲しいというわけでないなら、NW-A105を買う理由はありません。でも、それなら内部ストレージがあるか、Spotifyに対応したスマートウォッチを買ったほうが良いと思います。

Walkmanを例えるなら、超高音質で音楽を聴くことに徹底的に特化したスマートフォンです。なので、Spotify、Apple Music、あるいはTidal用としては意味がありませんが、そのかわりに無圧縮の音楽ファイルに特化しているわけです。NW-A105は、mp3は320kbpsまで、WMAは192kbpsまで対応し、他にもFLAC、AAC、MP4(Apple Losslessを含む)、AIF、DSD(PCMへの変換再生)に対応しています。

オーディオアプリの良い所、悪い所

Sony Walkmanには3つのアプリが付いてきます。まずは音楽プレーヤー。こちらは上記のファイル形式すべてに対応しています。これと言って特筆することはなく、これまでのWalkmanと同じプレーヤーをAndroidアプリにしただけです。ストレージに保存した音楽を再生でき、プレイリストを作れて、アルバム、アーティスト、音質などから曲を選択できます。シンプルで使いやすいアプリです。

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Music Playerアプリ
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

次のネイティブアプリは、使い物になりません。「NC/外音取り込み設定」というのですが、これはアンビエントモード(外音取り込み機能)とノイズキャンセリング機能を調節するアプリです。ここでちょっと疑問が…。ヘッドホンから独立して、どうやってノイズキャンセリングを提供してるの?ヘッドホンがノイズを消せなかったらどうするの?私はいろいろなヘッドホンを繋げて機能を使おうとしてみましたが、まったくダメだったのでオンラ インで調べてみたところ、Head-Fi Forumに答えがありました。

実はこの機能、Sonyが日本でしか売っていない特定のヘッドホンが必要なのでした。Sonyに問い合わせたところ、必要なモデルはIER-NW510Nだと答えが返ってきました。Sonyのノイズキャンセリングヘッドホン、安いものならWH-XB900N、ハイエンドならMH-1000XM3などを持っていれば、Sony Headphones Connectアプリを使ってノイズキャンセリングの調節が行えるわけです。しかし、日本限定のヘッドホン用のアプリを、欧米用のデバイスにまでインストールしておくというのは、ちょっとお粗末です。

Sonyの提供する最後のアプリが「音質設定」です。これは文字通り音質を調節するもので、設定は複数のスクリーンに分けられており、スクリーンを左右にスワイプして切り替えます。しかし、すべての設定にひとつの共通点があり、それはBluetoothのヘッドホンでは使えないということです。つまり、より細かい設定をいじるときは、ケーブルで繋がったヘッドホンが必要になります。以下が設定の詳細です。

  • イコライザー:音を自由に変えたり、7つのプリセットから選ぶことができます。Sony Headphones Connectで使われているイコライザーシステムと同じです。
  • DSEE HX:CDの音質を向上させ、よりハイレゾにする設定。
  • DCフェーズリニアライザー:アナログアンプと同じ位相特性を再現します。
  • ダイナミックノーマライザー:すべての曲で音量が一定になるように調節します。
  • バイナルプロセッサ:バイナルとはレコードのこと。つまり、伝統的なレコードの音質を再現するものです。
  • クリアオーディオプラス:デジタル信号の処理を向上させます

何をどういじればどう変わるのか、それを理解するだけでも一日かかりそうですが、イコライザーを除けば、どれもそこまで重要ではありません。個人的には、NW-A105で必要なアプリはミュージックプレーヤーとSony Headphones Connect(Sony製ヘッドホンを持っていれば)だと思います。もしSonyのヘッドホンを持っていないなら、ブランド毎に関連しているアプリをインストールする必要があります。

ワイヤレス接続

ワイヤレス接続に関しては、NW-A105は他のデバイス(主にヘッドホン)とNFCやBluetoothを通じて接続できます。それ以外に関してはWi-fiは使用できますが、SIMカードのスロットはありません。最初、私はこれをスマートフォンと呼びましたが、それは私の使い方に起因しています(補足すると、私は自分の携帯で通話とSMSを一切使っていないのです)。

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スクリーンは小さいのですが、NW-A105は使いやすいです。タイピングもできます。
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

NW-A105は、携帯関連のサービスを除くとまるでスマートフォンのように使って、大抵同じことができます(例えば、WhatsAppはインストールできませんが、Telegramは可能です)。Android 9を搭載しているので、Wi-fiを通じてほぼすべてのアプリをいれて使うことができるのです。ある意味ではこれは旅行に持っていくときに最適です。オープンなネットワークに繋がっているときだけネットに繋がるわけですからね。うっかり飛行機モードをオフにしてた、なんて心配もありません。

音楽ファイルのサポートに関しては、NW-A105のBluetoothはなかなかのものです。対応しているのはA2DP、AVRCP、SPP、OPP、そしてDIDでaptx、aptx HD、SBC、LDAC、そしてAACコーデックに対応しています。このアルファベットの羅列が何を意味しているかというと、良いヘッドホンを持っているなら、問題なく高音質のサウンドを楽しめるということです。まぁ、良いものを持っているというのは大抵のことで重要になってきますけどね。

NW-A105に合うヘッドホンはどれ?

NW-A105にはヘッドホンが付属していません。一見理にかなっていないように見えますが、実は賢明な選択です。上でも述べたように、このデバイスは非常にニッチな層に向けて作られています。特に、おそらく既にハイエンドなヘッドホンを持っているであろう層です。それに、NW-A105から出る音を最高に楽しむためには、大抵のスマホに付いてくるようなヘッドホンではまったくダメなのです。となるとSonyは相当ハイエンドなヘッドホンを付属させなければならず、それでは大幅に値上がりしてしまいます。例えそうしたとしても、一定の人数が付属のヘッドホンを気に入らず、苦情をいれてくるかもしれません。

おそらくSonyはそれらを計算に入れ、ヘッドホンを付属せずに価格を下げた方がいいと判断したのです。ということはユーザーに残された問題はひとつ:どのヘッドホンを買えばいいのか?

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コード式のヘッドホンの方がいいです。
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

これは重要な問題です。コード式のヘッドホンなら、周波数の帯域が広い(コネクタは20から40,000ヘルツまでに対応しています)もので、気に入った音質のものがあれば、それで大丈夫です。実際のところ、コード式のヘッドホンであれば、電池の消費を制限でき、ハイレゾ音質の再生で問題を回避し、ネイティブアプリで細かく調整することができるので最適だと言えます。

ワイヤレスヘッドホンの場合、SonyはWH-H910Nを推薦しています。これはSonyがレビュー用に一緒に送ってきたモデルです。これも決して悪くはないのですが、私はDali iO-6Skullcandy Crusher ANCヘッドホンの方がもっと好みです。ここで一番考慮しなければいけないのは、NW-A105の内蔵アンプがあまりパワフルでないということです。最大出力は35+35キロワットで、電気抵抗は16オームです。古いハイエンドモデルのZX-300と比較すると、こちらはミニジャックコネクタなら50+50の出力に、バランスコネクタなら200+200になります。

これらが意味するのは、Walkman NW-A105は若干ソフトなサウンドだということです。なので、ソフトなサウンドのヘッドホンでは相性が悪いかもしれません。コード式の場合はFiiO Q1などのポータブルアンプで解決できますが、ただでさえヘッドホンを買わなければいけないのに、さらにコストがかさんでしまいます。

Android vs 電池

NW-A105のあらゆる欠点のなかでも最も大きいのは、電池耐久時間です。私がスマートフォンに慣れているからかもしれませんが、この新しいWalkmanの電池の持ちは短すぎる気がします。一番の問題はAndroidとWi-fi接続のコンビです。例えば、Walkmanを一晩放置(Wi-fi接続をオンにして、デバイスを使用しない)したとします。すると、それだけでも30〜40%の電池を消費してしまいます。通知をオンにしたアプリは GmailとTelegramだけで、通知自体ほとんど来ていませんでした。

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NW-A105と普通の携帯(Huawei Mate 30 Pro)の比較
Photo: Carlos Zahumenszky (Gizmodo US)

この問題はファームウェアアップデートで部分的に改善されました。今はアイドリング状態での消費はかなり減っています。しかし、それでも電池の持ちは良くありません。

Sonyは電池の持ちの悪さを公式ウェブサイトで説明しようとしましたが、結果は芳しくありませんでした。Sonyのやたら長くて難解な文章によると、電池は8〜26時間持つそうです。そして持ち時間に影響するのは再生時の音質、ノイズキャンセリングを使っているかどうか、どんなワイヤレス接続(BluetoothかWi-fiか)を使っているかなどです。

私の経験では、持ち時間は26時間よりは、8時間に近いと感じました。Walkmanを飛行機モードにし、ローカルに保存した曲だけを再生して入れば、電池は15〜16時間持ちますが、ワイヤレス接続を使った途端、6〜7時間と一気に減少しました。

過去のWalkmanのモデルに比べると大幅な減少ですが、これは音楽に特化したプレーヤーにAndroidを導入する代償とも言えます。旅行に持って行くなら外部の充電用電池を持つか、毎晩こまめに充電する必要があります。

結論

NW-A105において、SonyはAndroidを導入して一般層にも魅力的にすることで、過去のモデル(NW-A45やA55)からのモダン化を計りました。確かにNW-A105はいろいろなことができるようになったので、携帯を家に置いて旅行に持ち歩きたくなります。しかし、問題は電池。Androidが推奨するようにワイヤレス接続を行うと使用時間が非常に短くなります。さらに、ストリーミングのときだけ音質を制限するのも理解できません。しかし、音楽ファイルを再生したときの音質は、見事です。私の唯一の疑問は、そんなことを気にする人がまだどれだけいるか、です。

  • 携帯に邪魔されることなく音楽を旅行先で楽しめるデバイス
  • 電池の持ち時間は改善の余地が大幅にあり
  • ストリーミングの音質が制限されている。音楽ファイルを保存すべし
  • 対応している形式の広さは見事
  • Spotifyを使うだけなら買わないほうがいい

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