ECサイトはもう古い?
いま小中高の“Z世代”は、検索も売り買いもInstagram(インスタグラム)で、もう完全な“中抜き”がデフォらしいですよ? 宿題や部活の合間に写真をアップしてフォロワーを増やし、友達感覚でモノを売り買いする彼らの稼ぎは、大人も顔負けレベルなんだとか。
そんなルポがINPUTに掲載されていて、へーーーー! 娘もやってくんないかな!!! 交通違反で罰金もらってる合間に!となりました。
ファストファッションの反動
アメリカの古着女子は何がすばらしいって、モノを捨てちゃもったいないという感覚で、互いにワードローブを交換して服をシェアしてるところです。日本と同じですけど、安物買って捨ててまた買う…を繰り返すファストファッションがあれだけ広まっていたことを考えると、時代は確実に動いてるんだな…と感じます。
ファストファッションといえば、今日、米デラウェア州の裁判所でフォーエバー 21(FOREVER 21) の破産法適用申請が正式に受理された模様です。今後はモールオーナーらが8100万ドルで買いあげて店舗を減らし、再建を図る計画とのことですが、環境活動家グレタ・トゥーンベリさん世代の子たちに、この先どこまで受け入れられるのかは大きなクエスチョンと言えそうです。
どうやって売るの?
アメリカの古着女子たちの日常は、たとえば…
1. 朝起きたら自然の柔らかい光で写真をパシャっと撮って登校
2. 休み時間に返信や注文状況のアプデを行なう
3. 放課後に梱包とラベル貼り、またはリサイクルショップを仕入れに回る
といったもの。
インスタに写真をアップするときには、上のポストのキャプションにあるように、「超古い!」「文字がすり切れてる」「下にシミもあるよ(最後の写真で見てね)」といった説明と一緒に、次のような入札データをコメントにつけます。
bid(入札最低価格):5ドル
bin(buy it now:即決価格):送料込みで28ドル
shipping(送料):8ドル
size:M
すると次々と入札がはじまるので、人気の投稿として扱われ、目立つ位置に表示される効果も得られるというわけ。ジーニアス!
買い手が決まるとDMで決済情報(通常は Venmo、PayPal、CashAppなど)と郵送先を交換して、コーデのアドバイスなんかもします。もちろん未払いの人もいますが、それはブロックするなりケースバイケースで対応するみたい。
インスタ公式のショッピング機能は使っていない
InstagramはEC各社と試験運用を重ねて、2018年に日本でもショッピング機能を正式にリリースしていますけど、あれは投稿画像からECサイトにジャンプして購入、ですよね。利用するにはビジネスアカウントに移行するなど、もろもろの要件をクリアしなければなりません。
アメリカの古着女子は、ショッピング機能は利用していません。年代的にそこまでビジネスアイデンティティは確立していないし、あくまでも同級生みたいな子たちと古着を交換してすり切れるまで使おう、という友だち感覚なので。もちろんティーンのふりした大人、ティーンを看板に立てて大人が副業とかもありそうなので、そのうちあまりにも目立つようだと、公式から類似の機能が登場して手数料がかかりはじめるかもしれませんけど、今はまだピュアな直販です。
いくらになるの?
古着女子ふたりによる@funkyythriftsの場合、2019年5月からスタートして、これまでに400点余りを売りさばき、だいたい月400ドル(約44,000円)ぐらいの小遣い稼ぎになっています。もっとアクティブな人ともなれば、多いときで月1700ドル(約18万7000円)の収入になることもあるんだそうですよ?
なぜフリマアプリ離れ?
古着は、eBay、Craigslist、米版メルカリのPoshmark、ロンドン発のフリマアプリDepopなんかを使えばシームレスに売れます。ただ、なぜか去年の夏ぐらいから、古着売りの子たちが続々とInstagramに動いているのだといいます。その理由として、INPUTは、「Depopで売ってみたけど、人が多すぎて、1対1というのとは違った(@funkyythrifts管理人)」「Instagramなら使い慣れているし、仲間を見習ってストーリーやFAQも簡単に用意できた(@happyy.thrifts管理人)」といった声を紹介しています。
キッズの賢さに舌を巻く
記事で一番驚いたのは、Instagramのあの限られた機能をフルに使って、ちゃんと商売できちゃってるってこと。利用の流れやルール、反響なんかは、楽しいビジュアルのストーリーハイライトで紹介されているので頭に一瞬で入るし、古着女子同士でストーリーを作成して(約5ドル)互いをPRし合う広告バーターも盛んに行われていて、だてに毎日朝から晩までInstagramとTikTokとSnap眺めてるわけじゃないんだなティーン、と感心することしきり。
アメリカでは古着のほかにも、インフルエンサーがひとりでブランドを立ち上げてモノを売るのが新たなトレンドになっています。個人がウェブプレゼンスを確立できるプラットフォームを手にした今、直販の流れはもう止められないのかも。
Sources: INPUT, @funkyythrifts