忘れてはいけない、Apple Watchは医療機器ではないことを。心拍モニタには限度がある

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忘れてはいけない、Apple Watchは医療機器ではないことを。心拍モニタには限度がある
Image: Alex Cranz/Gizmodo US

あくまでも日々の健康のバロメータとして、ね。

スマートウォッチ界のトップApple Watch。ユーザー数も多く、機能も充実。ライバル達とは一線を画す位置にあり、業界をリードする存在なのは間違いなし! Apple Watchのおかげで命拾いしたというエピソードがAppleイベントで語られましたし、健康面でも本当に頼りになる相棒です。…でもね、過信したらダメだよ。Apple Watchの心電図(ECG)アプリには限界があることをApple自身が認めているんですから。

Apple Watchの限界

Circulationに先日掲載された論文で、Apple Watch Series 4で心房細動を正しく検知できたのは、90件中34件=41%だったと報告されました。が、このレポートで気をつけねばならないのは、Apple Watchの心電図アプリでは、1分間に心拍数120回を超えると不整脈の一種である心房細動と判断することができないということです。そもそも初めからそういう仕様なんですよ。Appleが米食品医薬局(FDA)に提出した書類にも、120bpmより上/ 50bmpより下は「Unclassfied(分類不可)」として処理すると明記されています。

心房細動を患う人の1/3はbpmが120を超えているという2015年の研究結果や、心房細動は100bpmから175bpmまでの幅があるため、Apple Watchではその大部分を取りこぼしてしまう可能性があるというMayo Clinicの指摘を踏まえると、つまり、「Unclassfied」結果がよく出る人は、不整脈の可能性があり、医師の診察を念のため受けた方がいいということになります。

限界がある≠ダメ

ネタ元のFortuneも、これらの研究報告も、何もApple Watchを否定したいわけでも、貶めたいわけでもありません。手首の心電図アプリを過信している人に注意をうながしたいだけなんです。

Appleも心電図機能における制限は十二分に理解しており、心電図機能が搭載されたSeries 4もSeries 5も、診断機器ではないことが強調されています。さらに一言添えるならば、Apple WatchのFDA認証もデノボ認証であり、これはリスクが大きくはない新型機器でよく適応されるもの。つまり、やっぱり心配すべきはユーザー側の誤解や過信なのですね。

ウェアラブル端末と医療機器には明確な線引きがある。これはあって然るべきであり、重要なことなのです。個人が気軽に導入できるウェアラブルという存在だからこそ、膨大なデータを収集することができ、パートナー機関とより研究を深めていけるのです。この点において、Appleの功績は讃えられるべき。先日も、Appleは、高齢者の脳卒中に予兆はあるのかという心房細動の研究において、超大手製薬&医療機器メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンとの提携を発表しました。一方で、研究の名の下にでてくる疑似科学の存在や、ウェアラブル端末データの研究で明らかになったことをどのように活かしていくべきかなど、ヘルス系ウェアラブル端末の存在によって生まれる問題もあれこれありますが。

ウェアラブル端末における健康モニタリングは、まだまだ始まったばかり。今後、よりプラスに働いていくことは間違いないでしょう。ただ、現段階では、各ユーザーの正しい認識があってこそのウェアラブルです。

Source: Fortune