横向きにしたクワッドコプターみたい。
ヘリコプターを作るBell社が、テールローターを大きな1枚から小さな4枚を並べた構造に再デザインし、しかも電動にしたので燃費向上にも貢献することになりました。
一見すると地味な技術革新ですが、これは世界初の画期的な試みで、騒音も低下することに繋がる…と良いこと尽くめなのです。
テールローター の役割と危険性
皆さんご存知、ヘリコプターは機体の上にある大きな回転翼(ローター)の力で空を飛びます。ですがシングルローターの場合、回転翼は1方向にしか回らないので、反作用によって機体も(逆方向に)回転してしまいます。そこでテールローターは、機体が回転しまわないようにカウンターのトルク(回転力)を発生させ、機体を安定させる役目を担っています。
機体上部にある回転翼は人の身長より高い位置にあるため、首を飛ばされる心配はありません。ですがテールローターは剥き出しの扇風機の羽のように、90度直角に付いていることから、これに巻き込まれる事故が起こり得るのです。枠の内側で回る小型のローターなら、その事故を防ぐことに繋がります。
利点だらけの電動反トルク機構
ということで作られたのが、Bellの「429 EDAT」。「EDAT」は「Electrically Distributed Anti-Torque」の略で、「電力によって分散された反トルク」という意味合いになります(ひとつのテールローターの役割を4つの電動テールローターに分散)。
Verticalいわく、これはメインのタービン・エンジン経由で発電された電力で回るとのこと。従来だとメインのエンジンからギアとドライヴ・シャフトを尾部まで伸ばし、それに操縦席からペダル操作するパーツも繋げていたのですが、電線と電動ファンに置き換えたことでそれらが不要となり、機体が軽くなるメリットが生まれた、とも伝えています。燃費も改善しそうですね。
On Feb.19, 2020, Vertical Magazine shared the story of our latest innovation, electrically distributed anti-torque (EDAT) with the world.
— Bell (@BellFlight) 2020年3月5日
Check out how the story unfolded ↓https://t.co/EV83jzoCGS
モーターが4つあるメリット
テールローターがダクテッド・ファンになっているヘリコプターもありますが、「429 EDAT」は4枚の羽が独立したモーターで動くのも特徴です。
これは何らかの故障により、モーターがひとつだけになっても機体は安定するとのこと。だからといって「だったら最初から1枚でイイじゃん」とならず、もしものときの保険が3つあるのは良いですよね。
各国ではドローン型のeVTOL(垂直離着陸)機の開発も目立ってきていますが、旧式のヘリコプターも電動にできるところは変更して、環境に優しいハイブリッド方式で頑張ろうとしているのですね。そのおかげで騒音が抑えられるのなら更にナイスです。
とはいえ見た感じ、これはドローンみたいに甲高いモーター音が響きそうですけど…どんな音がするのでしょうか?
Source: YouTube, Vertical via SLASH GEAR, Twitter