次の恐慌は気候変動が原因になる可能性あり

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  • author Yessenia Funes - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
次の恐慌は気候変動が原因になる可能性あり
ハリケーン「ドリアン」によって流出した石油を除去する作業員たち Image: Getty

人間社会は、気候よりも速く変わることができるのでしょうか。

天気はますます極端になって、化石燃料企業を標的にした訴訟が相次いでいます。また、エネルギー部門が気候変動に備えないと、経済システム全体が崩壊する危険性があると金融の専門家は警告しています。

Nature Energyに掲載された一連のコメンタリーの中で専門家たちは、エネルギー部門と非常に密接な関係にある世界経済にとって、猛暑や威力を増すハリケーン、森林火災シーズンの悪化がなにを意味するのかという懸念を共有しています。現在、市場はエネルギー企業の価値や化石燃料を考慮する際に、これらの気象現象を考慮に入れていません。これは、経済がいかに化石燃料に縛られているかと、化石燃料によって気候危機が悪化する危険性を示しています。

さらに気候が不安定になるのを避けるためには、今後10年間で化石燃料を急速に削減しなければいけません。最大4兆ドル(約445兆円)の化石燃料資産が取り残されることを意味します。でも、コメンタリーでは、現在化石燃料によって直面しているリスクと、それが世界経済に与える影響について考える必要があると指摘しています。

「多くの場合、リスク要素があります。わたしや他の人たちの研究によると、このリスクは十分に評価されていないため、まだ市場には明らかにされていません」

カリフォルニア大学デービス校経営大学院の著名な教授であり、コメンタリーの著者であるPaul GriffinはEartherに語ってくれました。

エネルギー企業とそれに投資する金融機関へのリスクが明らかになる頃には、業界は大きな打撃を受ける可能性があるそうです。わたしは個々の化石燃料企業についてはあまり気にしていませんが、世界経済の性質を考えると、化石燃料企業が大打撃を受ければ、わたしたちにも深刻な混乱が生じることになるかもしれませんね。

化石燃料産業は現状維持ムード

巨大な化石燃料産業は、現状を維持することに強く執着しています。石油・ガス大手各社は、嘘の広告小手先の気候変動対策で、気候危機解決に貢献しているかのように国民を欺こうとしていますが、今のところ実際に行動を起こす気配はありません。

エール大学の経済学准教授であるKenneth Gillinghamは次のように述べています。

「それが何であれ、変化には真の努力が求められ、利益を削減する必要があります。物事がうまくいっていて、お金を稼いでいるのに、どうしてそれを変えるのでしょう?」

化石燃料産業を標的とした訴訟の頻発

いくつかの出来事がきっかけになって、石油とガスへの投資を続けるエネルギー産業がリスクに直面した結果、大規模な変化が起こる可能性はあります。ひとつめは、さらなる訴訟です。化石燃料産業は、気候危機に備えるための財政支援を求める州や都市の標的にされています。州や都市は、化石燃料産業が故意に生み出して否定し続けてきた問題の費用を、国民が負担する必要はないと主張。まあ、散らかした人が片付けるのは当たり前のことですよね。

今のところ、化石燃料企業は訴訟に勝ったり負けたりしています。でも、もしも原告(州や都市など)が勝訴すれば、業界全体の流れが変わる可能性があります。エネルギー企業を標的にした訴訟が効果的な戦略であると証明されれば、さらに訴訟が続くのは間違いないでしょうね。

「現在進行中の訴訟は、原告を有利にする方向にシフトする可能性があり、その結果として、エネルギー部門にかなりの訴訟債務が生じるかもしれません」

Griffinはこう話しています。

原告と地球にとっては素晴らしいことですが、このような変化があっという間に起きてしまうと、経済は打撃を受ける可能性があります。Griffinは、もしもそれが現実になれば、2008年に世界同時不況の引き金となった住宅バブルのような景気後退に陥ることも想像の範囲に入れているようです。

訴訟は、石油とガスへの投資に伴う真のリスクを避けるために市場を動かす極端な方法のひとつにすぎません。Griffinはまた、メキシコ湾沿岸の化石燃料インフラがストームによって被害を受ける恐れや、昨年カリフォルニア州で起きたエネルギー大手PG&Eの事例のように、電力会社が森林火災のような極端な脅威から市民を守るために大規模な停電を行う可能性も挙げています。森林火災に対するこうした否定的なイメージや企業活動が原因で、PG&Eは破産申請を余儀なくされました。そして、気候危機によって激しいストームや爆発的な森林火災の発生確率が高まるにつれ、さらなる混乱のリスクが間近に迫っています。

問題は認識されつつあるが、市場への反映は長き道のりが必要か

エネルギー関連企業とその投資家はこの問題を認識しつつあるようですが、市場はこの認識の高まりを反映するのに時間がかかっています。ゴールドマン・サックスは、北極圏の石油とガスのインフラへに対する資金提供を停止する措置をとりました。大手資産運用会社のBlackrockも、リスクの高い化石燃料ベンチャーへの出資をやめるための措置を講じています。世界がクリーンエネルギー経済に移行していく中で、これらの措置がすべて化石燃料産業の終焉に役立つことがゴールではありますが、化石燃料への投資がもたらす本当の危険性が市場に反映されるまでには、まだ長い道のりが待っているみたいですね。

市場がリスクを無視する期間が長くなればなるほど、大きな打撃を受ける可能性が高くなります。もしもこれが経済を変えるものであったとしても、例えばグリーン・ニューディールみたいに不公正や格差を是正するような政策を伴うものじゃないとすれば、希望と繁栄に満ちた変化が起こるはずの時代に、世界中の家族が経済的困難に苦しむことになってしまうでしょう。


気候変動対策が遅れれば遅れるほど、経済が受ける打撃は大きくなります。守らなければいけないのは化石燃料産業じゃなくて、地球と人類や生態系だと思うんですけど…。

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