古き良きあの頃を懐かしむ人たちへ。
スマートウォッチを使うようになってからというものの、通知が止まない忙しさに嫌気が差したことがある…という人もいるのでは? それとは対照的に、シンプルに時間をチェックするためだけの機能を備えた腕時計に改めて注目が集まっています。
1969年にセイコーアストロンが世界初のクォーツ腕時計を発表したのにつづき、Hamilton(ハミルトン)が世界初のデジタル腕時計パルサーをリリースしたのは1972年のこと。あれから約50年の時を経ていま、復刻版が登場しました。
ロジャー・ムーア演じるジェームズ・ボンドが『007 死ぬのは奴らだ』のオープニングシーンで身につけていたことから有名になった「Pulsar P2 2900 LED」モデルです。Hamilton Watch Company と Electro/Data Inc.の共同開発により復刻が実現しました。

機能は当時と変わらず、ボタンを押すと画面が光ります。日付の表示やアラーム機能はなく、時刻が表示されるのみ。変わったのは、70年代初頭には最先端であったLEDの代わりにハイブリッド液晶OLEDディスプレイが採用されたこと。
aBlogtoWatchのハンズオンによれば、普段はクラシックセグメントLCD画面で、ボタンを押すとOLEDがオンになり、オリジナル版のパルサーを見事に再現しているのだとか。ただ、明るさやコントラストが改善されて屋外の明るい日光の下でも見やすくなっているといいます。
約50年前は、2,100ドル。(現在でいう約1万3000ドル→約140万円…!)あれから約50年経ち、飛躍的な技術革新を経て復刻したパルサーは少しお手頃になりました。とは言っても安くはありません。スチールブレスレットを備えて生まれ変わった「Pulsar P2 2900 LED」は約750ドル(約8万円)。1,970台まで限定モデルのゴールドは1,000ドル弱です。
当初のパルサーがラグジュアリー層向けであったとしたら、復刻版は古き良き70年代を懐かしむ人たち向け。個人的には、黒地に赤く浮き出る時刻とか「Hamilton」のフォントとか、素材感が気になります。レトロ感漂う腕時計はどんなファッションに合うのかしら……。いや、もしかするとコアなファンは使わずに飾っておくのでしょうか。