新型コロナウイルスの医療者感染がイタリアで2,000人突破、米国も2人が重体

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新型コロナウイルスの医療者感染がイタリアで2,000人突破、米国も2人が重体
Photo: Getty|死者29名の感染源となった特別養護老人ホーム「Life Care Center」の消毒作業(2020年3月12日・米ワシントン州)

医療のプロが次々と…。

新型コロナウイルスの治療に当たる医師・看護師ら3,000人余りが感染(うち4割は院内感染)し、46名が殉職した中国湖北省の後を追うように、イタリアでも医療従事者の感染数が2,000人を超え、カルロ・パレルモ医師会会長がANSA通信に「空恐ろしい数であり、医療現場を苦境に追い詰めている」と発表。これを補うため、大学相は本年卒業の医学生約1万人を医師試験免除で8~9か月前倒しで現場投入し、一般診療とシニアの訪問診断に充てる計画を明らかにしました。

そのほかにも、あれだけ静かだったスイスがたった10日で病院のキャパシティをオーバーしかねないと報じられていますし、米国でも医療従事者の感染数は不気味な上昇を続けています。

米国の先端技術をもってしても…

米国で医療従事者の感染が確認されたのは、アーカンソー州マサチューセッツ州ニュージャージー州カリフォルニア州サンフランシスコサンディエゴワシントン州、ペンシルバニア州、ウィスコンシン州で、救急医2名が重体

米国救急医学会(ACEP)の声明によると、重体の1名はシアトル郊外カークランド市のエバーグリーン医療センターの救急救命医(40代男性)で、院内感染か市中感染かは不明。もう1名は、病院で緊急対応の指揮を執っていたニュージャージー州パターソンの70歳男性とのことですが、「こんなのは氷山の一角だと誰もが思っている」とACEPのLiam Yore理事はWashington Postに話しています

特養ホーム「Life Care Center」から大量の感染者が運び込まれたエバーグリーン医療センターでは、集中治療室のワンフロアすべてをコロナ対策に充て、下記動画のような厳重な個人防護具で相互点検しながら治療にあたっています。ここまでしても重体者が出るのが新型コロナウイルスの怖いところです。

特養ホーム側も職員180人の3分の1が感染し、救急搬送などに関わった消防署員42人と警官数人が自宅待機中です。市内の消防署員100人中42人がコロナで待機って、これだけ手薄になると治安のほうも心配ですよね…。

スタッフの自宅待機で休診、採用急募も

マサチューセッツ州のバークシャー医療センターでは、濃厚接触の160人が自宅待機を余儀なくされ、代打の看護師54人を急きょ採用し、CT技師3人、呼吸器専門医5人、レントゲン技師2人を急募中です。同州のハーバード大学医学部ブリガム&ウイメンズ産婦人科病院も1人、マサチューセッツ眼科耳鼻科病院も1人が陽性でした。後者勤務のナースは「防御マスク、ガウン着用で、外来患者の数も減らしているのに…」とショックを隠せない様子

フィラデルフィアのセントクリストファーズ小児病院ではドイツ出張後の医師1人に感染が確認され、ICUの新患受付停止、救急救命ユニット一時閉鎖に追い込まれました。アーカンソー州の3人はジェファーソン地域医療センターが感染源ですが、接触時の個人防護具(PPE)の種類は不明です。

医師が感染したミルウォーキーの小児科医院では200人が検査中。検査キットは「医療従事者と65歳以上優先」と国が呼びかけているので、がん患者に付き添いの親御さんまで行き渡らず、ものすごく怒っています。

逆に院外の可能性が高いのは、UCサンディエゴの2人(14日)とUCサンフランシスコの2人(15日)。院内感染だけではなく、院外感染にも気を付けなければいけませんね。

救急搬送も命がけ

院内もたいへんですが、患者さんを運ぶ救急隊員はもっとリスキーな状況に置かれています。たとえばサンタクルーズの消防署で働く救急救命士(36)は、3月はじめに検査を希望したのですが、国の検査基準に合わないからと断られ、同僚が9日に感染してようやく夫婦揃って検査が認められました。陽性とわかったのは第2週後半で、「検査キット不足で夫は後回しにされた」と奥さんはカンカンです。

山を挟んだサンタクララ郡(住民138人が感染し、52人が入院、4人が死亡)はカリフォルニア州内でもっとも被害が多いシリコンバレーの中心地。こちらもやはり郡内サンノゼの消防署員10人から感染が確認されています。

「症状が現れても病院に来ないで電話診断を」と、米国でも日本と同じように院内感染予防に協力を呼びかけてはいるのですが、救急隊員に検査をケチってるようじゃ、怖くて救急車も呼べません…。

緊急の医療用テントが建つ

Video: AFP News Agency/YouTube

イタリアでは、国内初感染の38歳男性を渡航歴ナシで無検査で処置して院内感染を広めた苦い教訓を生かし、今は病院前に野戦のような緊急医療用テントを設け、ここで検査・選別しています。まあ、後の遺伝子解析で、その男性よりずっと前に独ミュンヘンで上海出身者から病気をもらって帰国したイタリア人が本当のペイシェント・ゼロ(感染第1号)らしいことがわかっていますので、検査基準の抜け穴から侵入して1か月も院内・院外問わず広まっていたことになりますが…。本当にあっという間に国民の死者数が中国を追い越しそうな勢いです。

フランスやアメリカでも緊急医療用の部屋確保とドライブスルーの動きは広まっています。歯止めになってくれるといいのですが…。

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