気候変動に関するツイートの4分の1はボットで、温暖化懐疑論ツイートが多い

  • author Yessenia Funes - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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気候変動に関するツイートの4分の1はボットで、温暖化懐疑論ツイートが多い
ツイッターで最も有名な気候変動否定論者のひとり Image: Getty

ボーッとしている場合じゃありませんぞ。

このままじゃボットに乗っ取られてしまうかも。研究者たちによると、Twitter上で気候変動を否定するプロパガンダにボットが大きく貢献しているそうですよ。

ボットが発信するツイートの多くは温暖化を否定

ブラウン大学の科学者たちは、研究論文の草稿の中で、1日あたりに発信される気候変動に関するツイートの4分の1がボットによるものと結論づけています。特に、気候変動に否定的なツイートが顕著なのだとか。

未発表でまだ査読が終わっていないこの研究は、2017年5月28日から6月31日までのツイートを対象に分析を行ないました。この期間は、ちょうど同年6月1日にドナルド・トランプ米大統領がパリ協定からの脱退を発表した前後もカバーしています。同期間のデータを分析したところ、「気候変動」「地球温暖化」「パリ気候協定」などの言葉を含んだツイートが650万件見つかったとのこと。さらに、ボットと人間を見分けるために、約167,000件のツイートがランダムサンプルとして選ばれました。

研究では、リアルな人間のフリをして読者を騙したり、特定の方向に世論を導こうとしたりする、自動化されたメディアボットを特定するために、米大学主導でソーシャルメディアの真正性を評価しているBotometerが用いられました。パリ協定からの脱退発表前後は、リアルに気候変動のことを考えている人が増えたせいか、ボットによる投稿はそんなに多くなかったようです。ですが、ボットが投稿したコンテンツの中で多くを占めたのは、気候変動を否定するものでした。

偽科学を拡散するツイートが「気候危機はリアルじゃない」と主張したり、化石燃料産業からの資金を受けて行なわれた事業を継続成長させるための研究結果を、人類へのリスクそっちのけで宣伝したりしています。

ボットは、気候変動に否定的な研究についてツイートする確率が平均で0.5%高かったらしいです。全体的にみると、気候に関するツイートの4分の1はボットによるもの。これは、偽のアカウントが大部分を占めていることを示唆しています。特に、気候変動否定論はボットによって後押しされる可能性が高いと考えられています。

誤情報がもたらす危険性

ジョージ・メイソン大学の気候変動コミュニケーションセンターの研究者で、今回の研究には参加していないJohn Cookは、Earther宛ての電子メールでこう述べています。

誤情報がもたらす最も危険な要素のひとつは、正確な情報を帳消しにする力です。人々が事実とデマの両方にさらされ、どっちが正しいかを判断できなければ興味を失ってしまい、事実かデマかなんてどうでもいいことにされてしまいます。これが、ボットから発信される誤情報を危険なものにしています。誤情報を流すツイートは、特に説得力がある必要も、誰かの説得に成功する必要もなく、ただ正しい情報の価値を貶めるためだけに存在しているんです。

最近では、あっちこっちから誤情報が飛び交っています。そこには、米大統領米政府機関まで含まれちゃっています。悲しいことに、ボットは気候科学をちゃんと理解していない人や、誤情報に触れたことがない人なら簡単に騙せてしまいます。

10人中6人が不安を感じているという調査結果があるくらい、多くの人々が気候危機に関心を持つようになってきていますが、誤情報はそれ以外の人たちから知識を奪い去ることができます。そして誤情報の影響は、化石燃料の利害関係者だけじゃなく、気候危機を危機として真剣に受け止めるまでにはまだまだ時間がかかりそうな共和党にまでおよんでいるみたいで、とてもタチが悪いですね。


Twitterと誤情報やデマはもう切っても切れない関係のようになっているので、確実な解決方法はTwitterをチェックしないことくらいしか思いつかないのですが、Twitterが誤情報を含んだツイートを明るいオレンジ色で表示するテストを行なっているみたいですし、プラットフォームを提供する側の努力にも期待したいところです。