孫さんのコロナ検査100万人分寄付に非難轟々。イタリアの医療崩壊は検査のせいじゃないのにね…

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  • author satomi
孫さんのコロナ検査100万人分寄付に非難轟々。イタリアの医療崩壊は検査のせいじゃないのにね…
Image: Koki Nagahama/Getty Images News/ゲッティ イメージズ

…あ、あれ?

自宅採取で簡単にできるコロナウイルスPCR検査を100万人分寄付する!と孫さんが久々にツイートしたら、「医療崩壊になるだけだ」というコメントの嵐で、みるみる弱腰になっていますよ…。

WHOがパンデミックを宣言し、善意はいくらでも大歓迎と思いきや、難しいものですね…。

検査やるなら受け皿も

反対意見の背景には「検査数世界一の韓国も全員の入院は無理で、けっきょく自宅療養が必要になっている」現状がある模様。また、検査の精度も完全ではないので、偽陰性 (ほんとは感染しているのに、感染していないという検査結果が出る) が爆発的に増えると感染しているのに陰性と出た人が大手を振って出歩くので、逆に感染が広まってしまうパラドックスも懸念されます。

そんなこんなで歓迎のコメントがある一方で、「検査を爆発的に増やすよりワクチン、マスクを!」というリクエストが数多く集まっているんですね。(とは言ってもまだワクチンはありませんが...)

Video: 上念司チャンネル ニュースの虎側/YouTube

ベルガモのICUで働く医師の悲痛な叫び

北イタリアの猛威を奮っている地域では集中治療室(ICU)がパンクして人工呼吸器の数が追い付かず、生存率の高い人を選別しなければならない段階に一気に進んでいます。 その現況については、ミラノの近郊ベルガモの集中治療室で働くダニエレ・マッキーニ医師が イタリアのL'Eco di Bergamo紙で報告し、大きな反響を呼んでいますので、以下に翻訳しておきますね。

現場の様子を公表すべきか何度も逡巡したが、声を挙げないのは無責任だと思うので、遠くの人にもパンデミック最前線の現状を伝えたいと思う。パニックは避けなければならないけれど、この怖さがわかっていないのもどうかと思うので。

自分もこうなる前は、病院全体が準備に追われるのをぼーっと見ていた。病棟を空け、不要不急の用事は中断し、集中治療室に病床を最大限確保する。すべてがあっという間の出来事で、静まり返った病棟は空っぽで、本当に猛威を奮っているのかと怪しむほどだった。

それが今はどうだ。昼夜ノンストップで戦闘モードだ。ベルガモの人は急患にはめったにこない。今回も「外出を控えて7~10日間自宅待機」という指示を全部守った。それでも息ができなくなって酸欠で運び込まれてくるのだ。病床は空ける端から埋まっていく。スワブ検査 (鼻や喉の粘膜から検体を採取する検査) の結果ひとつでドキドキしていた1週間前の自分が嘘のような変わりようだ。

患者名と処置を記載したボードは赤一色で、手術の目印はない。「急性間質性肺炎 (肺が線維化して柔軟性が失われ、呼吸が困難になる肺炎) 」という忌々しい病名があるだけだ。

風邪とは全然違う。普段の生活を変えたくないがために、こんなの怖くないといって言うことを聞かない人もいるが、今はまさに疫病の危機的状況にある。現場では外科医も泌尿器科医も整形外科医もみな区別なく一丸となって津波に立ち向かっている。

症例は倍々に増え、1日15~20人が運び込まれる。スワブ検査の結果は陽性、陽性、また陽性。救急医療はたちまち崩壊である。

病院に担ぎ込まれる理由はみな同じ。熱、呼吸困難、熱と咳、呼吸停止。レントゲン検査の結果もみな同じ。急性間質性肺炎、急性間質性肺炎、急性間質性肺炎。全員入院だ。

すでに気管挿管で運ばれてそのまま集中治療室に入る人もいれば、もう手遅れの人も…。命綱の人工呼吸器は金の宝のように扱われ、今やオペ室も集中治療室として使われている

スタッフは疲労が極限に達している。ただでさえ医療は重労働なのに、これまで見たこともない憔悴しきった表情を浮かべている。それでも少しでも力になろうと内科医の同僚に声をかけるのを忘れない。ものすごい団結力だ。

患者をベッドに乗せて押す医師はみな、なす術もなくセラピーに徹している。全員の命はとても救えず、看護師が目に涙を浮かべる。複数の患者が並んだとき運命を決めるのは、バイタルサインの数値である。

シフトもない。勤務時間もない。外の付き合いもない。家族に伝染するのが怖くて面会もできない。スタッフの中には感染予防プロトコルに従っているのに感染してしまった人もいる。そこから親戚に広がって、親戚の人が生死の境を彷徨っているケースさえある。

そんな状況なので、みんなも映画館、美術館、ジムに行けなくて不便だけど、しばらくは我慢我慢。 ほんの出来心のつもりが周りの命取りになることもあるので、周囲のお年寄りのためにも外出は控えよう。このメッセージを一人でも多くの人に広めてほしい。ここで起こっていることがイタリア全土に広まらないように。

寝不足で免疫力が低下すると、中国湖南のように若い医師でも続々と過労死に追い込まれることもあるので、本当に心配ですね…。

「検査を増やす=医療崩壊」?

マッキーニ医師の証言からもわかるように、イタリアの人たちは自宅に篭って回復を待ちます。それでも呼吸が苦しくなって、のどにチューブを挿入して呼吸をかろうじて確保した状態などで病院に運ばれているんですね。

だから「家で寝てれば治るような人まで無闇やたらに検査したから、軽症者殺到で病院がパンクして死人が増えている」という批判は当たりません。人工呼吸器レベルの患者がICUにどっと押し寄せているのであって、検査数は関係ない。あれだけ検査・隔離・封鎖を徹底しても広まるほど、感染力がすさまじいという、それだけのことです。

英米元首、検査を断る

検査キットがいくらあっても世の中には断る人もいるようで、イギリスでは保健担当閣外相が陽性と出ましたが、国際女性デーでは保健担当閣外相の思いきり隣に立っていたジョンソン首相は検査をしていません。アメリカでも、ガスマスクでコロナ緊急予算審議に参加した議員が9日、濃厚接触で自宅隔離に入りましたが、議員をフロリダから首都までエアフォースワンで送ったトランプ大統領は検査を頑なに拒んでいます

どっちみち米国は、検査をサボっている間に「もう全土的に広まっている」という声も前線の医師からは漏れ聞こえていますしね。あ、なんか今、家族が騒いでる。え? トム・ハンクスも夫婦揃ってコロナ? ひゃー。

ドイツの首相「国民の7割に感染リスク。時間稼ぎがカギ」

WHOがずっとパンデミック宣言をずるずる先延ばしにしていたのもパニックを避けるためであって、世界中があなたもコロナ、私もコロナ、みんな揃ってコロナという疑心暗鬼に包まれることを危惧しているわけですよ。ドイツのメルケル首相は「全ドイツ国民の最大70%に感染リスク」があるとの見方を示し、これからは「時間稼ぎ」に集中すると宣言しました。とてもプラグマティック(実利的)な人だと思います。

もはや時間稼ぎのフェーズでしょ、というのは全世界のコンセンサスになりつつあり、こんなGIFがネットで拡散中。

「こんなのただの風邪かインフルエンザでしょ」→「パニックは禁物だけど、油断も禁物」

せっかくの善意を無駄にしないように、医師のキャパにも気遣いながら、みんな各々できることをやって、ピークを分散していきたいですね。

2020年3月13日 9:30追記:イタリアで行なわれている自宅待機の情報について追記しました。

2020年3月13日 19:30追記:「偽陰性」「スワブ検査」「間質性肺炎」の解説を追記/ワクチンに関する記述を追記/マッキーニ医師の発言掲載メディアを追記しました。

Sources:Twitter〔1 (@masason) , 2 (@masason) 〕, L'Eco di Bergamo

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