「どうしても必要な外出を除いて、自宅で待機するように」。
新型コロナウイルスCOVID-19の拡散防止策として、スペインのペドロ・サンチェス首相が非常事態宣言とともに全土封鎖を発表したのは3月14日土曜日のこと。
すでに外出中の人々に対してこのニュースを知らせるべく、首都マドリードの警官たちは大型ドローンを採用。街ゆく人々に向かって、自宅待機のアナウンスを流しました。
15日間の自宅待機を
市警察は「市民の安全を確保するため使える手段は惜しみなく使う」との意向を示しながら、公式Twitterアカウントを通じてその様子を公開しています。
No dudaremos en utilizar todos los medios de los que disponemos para velar por tu #seguridad y la de tod@s, aunque algunos todavía nos lo pongan difícil...#YoMeQuedoEnCasa#COVID19#EstamosPorTi#DronPMMpic.twitter.com/8mKYaAekhB
— Policía Municipal de Madrid (@policiademadrid) March 14, 2020
スペインの航空航法を管理するENAIREもまた、マドリード警察や空軍と協力していることをツイッターで発表しています。彼らによると、ゴールはシンプルに「人々に自宅待機をリマインドする」こと。
サンチェス首相によれば、全土封鎖は現段階で15日間という期間が予定されています。新型コロナウイルスから4700万人の人々を守り、感染拡大を阻止し、国の医療制度を強化するための措置であるといいます。
各地で新たな措置が発表された週末
ヨーロッパで全土封鎖が発表されたのは、これで二カ国目。スペインの決断は、中国の次に多くの感染者を抱えるイタリアが全土封鎖を発表してから数日後に行なわれたものでした。
同週末は、ヨーロッパ各国が大きな決断に迫られていました。フランスでは小売・飲食・娯楽施設の営業停止、ドイツやポルトガルでは一部の国境封鎖を発表しています。私が暮らすスイスの一部地域でも、スーパーやレストラン、薬局を除くお店の全面封鎖が言い渡されました。(これによりいつもはスカスカだったスーパーにも買い占め客の襲来が。スーパーは営業を継続するというのに、この様とは…)。
スペイン保健省や地元メディアによると、執筆時(3月15日)の時点で、スペインで確認された症例数は7,753人、死亡者数は288人。ほぼ半数は首都マドリードエリアで起きているとのこと。WHOによると、イタリアで確認された症例数は21,157人、死亡者数は1,441人に達しています。
スペインでは、全土封鎖を発表する前から公園などの公共スペースにいる人々への声かけを行なっており、保健当局のガイダンスに遵守することを促していたといいます。また、隔離措置に従わない人には最大60万ユーロの罰金のほか、刑務所に送られる可能性もあるとのこと。
現時点でイタリア、スペイン、フランス、ドイツにつづきヨーロッパで五番目に多くの感染者が確認されているスイスでは、たった数週間前には感染者数がゼロでした。それが今では、一日に数百件という勢いで感染が拡大しています。
「休校」や「在宅勤務」など日本のニュースで目にしていた措置がすぐ身近にもやってきて、さらに今後はスイスでも「全土封鎖」という新たな対策に踏み切るのかは…まだわかりません。いずれにせよ陸続きのヨーロッパでは、自国に限らず隣国の動向からも引き続き目が離せずにいます。