『あつまれ どうぶつの森』の島が理想郷すぎて、戸惑っています

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  • author Yessenia Funes - Gizmodo US
  • [原文]
  • Rina Fukazu
『あつまれ どうぶつの森』の島が理想郷すぎて、戸惑っています

「まただなも!」

世界中で売り切れ続出中の『あつまれ どうぶつの森』は、現実世界に問題意識がある人たちにとって、"言いがかり"をつけたくなるゲームなのかもしれません。ちょっと前には「タヌキたちに借りを返さなければいけない構図がツラい」と嘆く声があったと思いきや、今度は環境問題を中心に取り扱う米Gizmodo EartherのライターYessenia Funesが「もっと現実世界の島みたいにしてくれたらなぁ...」と唸っています。

あつ森プレイヤーでもある彼女は、このゲームを通じて得られる"学び"に着眼しています。その主張はもしかすると、環境問題を気にする人なら特に理解できるものではないでしょうか...?




わたしの島は「タイムレス」という名前にしました。ココナッツの木、真っ赤なチューリップ、蝶々たちに囲まれて、それはもう複雑な現実世界と比べたら、完璧すぎるくらい完璧な世界。

現実世界はというと、世界中の島で海面上昇、異常気象、生態系の崩壊という危機に直面しています。でも『あつまれ どうぶつの森』ではそんなことがひとつも起きていないんですよね。...なんて言いつつ、わたしもわかっているんです。ビデオゲームにそんな要素をあえて求める必要ある? って。現実世界の苦い部分を忘れるためにゲームで遊ぶことだって普通にありますよね。

でも、でも。『あつまれ どうぶつの森』のゲーム開発者は、ものすごく大きな機会を逃したのではと考えずにはいられないんです。もし、現実で起きている環境問題をどこかに追いやることなく、そのままゲームに反映していたら、世界中のプレイヤーが何かしら学ぶ機会を得られたかもしれないのに、って。

地球上で何百万人という人々が生活拠点にしている島は、あと何十年で住めなくなるという状況です。そういう気候危機が切迫する世の中では(『どうぶつの森』のようなビデオゲームも含めて)環境リスクに対する認識を高めるために力を合わせる必要があると思うんです。


ふくろうの豆知識に、ゴミ集めでDIYに...

基本的に『あつまれ どうぶつの森』では、荒涼とした島を開発していきます。他のキャラクターたちと島を共有しながら、タヌキたちが生活に必要なものを指示してくるので、枝を集めたり果物を摘んだりしてゲームを進めていきます。

そんななかで、自然保護に関してちょっとした学びが得られることもあるんです。

たとえば、捕まえてきた虫や魚を博物館に持っていくと、ふくろうの学者がその生き物にまつわる豆知識を教えてくれます。さらにゲームのなかでは、ゴミを集めてDIYのレシピをひらめくことも!釣りをしようとしたらブーツが引っかかって、新しいブーツにリサイクルする...といった展開は、まちがいなく環境保護活動の一端を担うものですよね。


アイテムをそろえる

では、DIYですべてのものを作れるのかというと、そうではありません。ゲームの中では(実際の世界と同じように)衣類、レコードプレイヤー、トイレットペーパー、ソーラーパネルなど島で手に入らないアイテムは入荷を待つ必要があります。ゲームでアイテムを集めること自体は楽しいです。でもその多くは正直いって、本当に必要なものじゃないんですけどね。現実の世界でも、たとえばハワイでは家具が輸入品の大部分を占めています。食品の約80〜95%は輸入品に頼っています。

リソースマネジメントという観点でも、ゲームと現実世界とで一致していないところがあります。

本来、島にある資源には限りがあって、持続的に管理しなければ底を尽きてしまいます。『あつまれ どうぶつの森』の世界には魚や虫が無限にいるので、捕まえても捕まえてもいなくなることはないでしょう。また、こうして無限に捕まえられる虫や魚は基本的に商品として売ることができます。

いっぽう、資源の枯渇、乱獲、生態系の崩壊など、地球温暖化と併せてどんどん深刻化していくのが私たちの住んでいる世界です。地球では昆虫たち絶滅の兆候を示しています。


生き物たちへのリスペクト

人間の経済的利益のためだけに生き物が存在するのはけっして、けっして良いことじゃありません。しかも、マダガスカルのように、多くの島の動物に生息するのは固有種であって、世界中どこに行っても同じ生き物が見つかるというわけではありません。だからこそ環境を保護することは重要で、気候変動はこうした生き物にとって大きなリスクとなります。

良くも悪くもその観点が『あつまれ どうぶつの森』の世界にはなくて、人間の行動が野生生物に与える影響を捉えることが難しくなっています。ほかの島から竹を移植したら在来種はどうなるのかも、ゲームのなかでは心配無用になっています。


もっと学べることがある

何が言いたいのかというと、やはり『あつまれ どうぶつの森』はこのような島生活での環境問題について学ぶうえでかなり大きな役割を果たせたのではないかと思うんです。

ゲームのなかで雨が降ると、植物に水やりができるのが単純に嬉しいですけど、実際の島生活では、大雨暴風で実家が崩壊しないか、それこそ死活問題になることもあるんですよね...。

「突然の嵐で木々や家屋が倒壊することもある」とか「リソースが有限だから持続可能な島生活を目指す」といった要素が少しでもゲームに組み込まれているだけで、私たちの認識は変わるものだと思います。後者に関しては、ネイティブハワイアンの人たちが実際に、古来の技法で土地を維持する方法に取り組んでいます。

でも『あつまれ どうぶつの森』のようなゆったりとしていてキュートなゲームに、現実世界のサイクロンや海面上昇といったシビアな問題を含めるのはやはり現実的ではないのでしょうか...?

冒頭で紹介した通り、わたしの島の名前は「タイムレス」です。実際、『あつまれ どうぶつの森』の鍵となるのは時間だったんですけどね。島の外から出荷された洋服は午後9時まで購入可能で、見つけたトンボやスズキ、恐竜の化石は午後10時まで売ることができます。

結局、島生活は全然タイムレスではなくて時計の針が進むばかり。もちろんそれはゲームの世界だけでなく、私たちが住む世界でも同じことです。でも、実際の世界が抱えるリスクがいかに大きいものかは、もっとリマインドされる機会があっても良いのかもしれません。

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