5万円の自転車を買うつもりが気がついたら20万円出していた。でも、僕は満足してるんだ…

  • 47,438

  • author ヤマダユウス型
5万円の自転車を買うつもりが気がついたら20万円出していた。でも、僕は満足してるんだ…
Photo: ヤマダユウス型

もっと自由に、もっと遠くに。

ここ5年ほど、自転車を持っていませんでした。バス停も近いし、歩いて私鉄とJRにも行けるし。ひとり暮らしで初めて買った買い物専用ママチャリを「これ別にいらないのでは?」と数年前に処分してからは、長らく自転車レス生活をしていた僕です。

でも、2019年末になって自転車欲が湧いてきました。『弱虫ペダル』の影響がゼロではありませんが、なんせカメラをもって散歩する場所が毎回同じ過ぎて、飽いてしまって。またあの公園か、あの動物園か、あの樹か。

もっと遠くへ行きたい、でも公共交通機関は使いたくない。

身一つで行ける行動範囲を広げたい…!

そんなわけで、行動範囲の拡張+日々のスナップ撮影で行ける場所を増やすため、本格的に自転車を検討することになったのが去年。結局、当初考えていた予算の倍以上の自転車「ブロンプトン」を買ったのですが、その経緯を編集部の人に話したら「それ面白いので記事にしてみてください」と。

200328brompton_02

この記事はカメラ特集に入るのか、あるいはいち消費者の物欲変遷ドキュメンタリーになるのか。果たしてわかりませんが「あぁ、欲の連鎖はかくもおそろしいな」と、学び的なサムシングがありましたらば幸甚。あと偶然にもこの記事を書いてる現在、ミリシタに真の新曲「自転車」が追加されました。これはもう運命。ドッキドキするね。


序:とりあえずチャリを求むる

徒歩以上電車未満、散歩のスケールアップのための自転車ということで、当初は予算5〜7万円のクロスバイクを探していました。「自転車メモ.txt」に気になるモデルをリスト化して、近所のサイクルベースに実物を見に行ったり、動画レビューをチェックしたり。

あと、予算は大幅に上がってしまうけど、e-BIKEも気になってました。クラウドファンディングサイトには高頻度でコンパクト&パワフルなe-BIKEが登場してるし、こんなの乗れたらカッコいいな〜。まぁこっちはいずれ、いずれね。

ある日、編集部に行く機会があったので、自転車に詳しい人に相談してみました。このくらいの予算でこんな用途で自転車探してます、オススメありますか?


…思えば、これがすべての始まりでした。


破:その名は「ブロンプトン」


200328brompton_03

自転車に詳しい人、K氏としましょう。K氏には色々なモデルを教えてもらいました。いずれも予算内あるいは10万くらいのもので、どれも僕の求める使い方には合っているように思えました。餅は餅屋、はっきりわかるのです。

そんな流れで、K氏がこれまでの口調とは少し違う、やや重めのトーンで話し始めました。

「山田さん、ブロンプトンって知ってますか?」

「えぇ、聞いたことは。折り畳み自転車でしたっけ?」

「そうですね。あれはね……自転車のライカなんですよ」

「自転車のライカ?」

K氏はブロンプトンにまつわる様々なサイトを見せてくれました。ブロンプトンについて、軽く紹介しましょう。

ブロンプトン(BROMPTON)。英国製の歴史ある小径車(ミニベロ)で、究極のコミューターとでも言うべき走行性、携行性、カスタム性をもつ。世界中にファンコミュニティがあり、形状は同じままで毎年限定カラーが発売されている。いくつかのモデルがあるが、おおむね19万円〜。

Video: bromptonbicycle / YouTube

なるほど、良いものなんですね。僕の利用シーンではミニベロは想定外でしたが、自転車を電車に持ち込んで(輪行)、見慣れぬ街や海岸沿いを走るのも気持ちよさそうです。写真もはかどりそうだ。でも、今回の用途には合わないかもな。

編集部を後にして、K氏から教えてもらったモデルを改めて調べてみました。いずれもレビューもよく、デザインも悪くなく、まぁこのあたりのクロスバイクで手を打とう。何より、早く自転車が欲しい。今はそんな気持ちです。

…しかし、僕の頭の中、あるいは胸の柔らかい場所には、K氏のあの言葉がジャッジメントチェーン(律する小指の鎖)のように突き刺さっていました。

「自転車のライカ」

…そんな自転車、この世にあるのか…? 一体どんな乗り心地なんだ…?


急:触ってしまえば、後はもう─

一度気になり始めたら、あとはライク・ア・ローリング・ストーン。僕はブロンプトンについて調べまくっていました。国内代理店のミズタニ自転車のブログは過去ログまですべてチェックし、ブロンプトンの折り畳み自転車やアクセサリー類、ポタリングの楽しみ方などを動画で確認しました。

不思議なもので、調べまくっていると始めは他人事だったブロンプトンという存在は、いつしか「もし自分がブロンプトンを持っていたら…?」と、極めて自分ごとの妄想として考えられるようになってくる。こうなると極めて危険です。自分ごと化は現実味を帯びてくるのです。危険です。

この物欲熱をおさえるには、実物を見るしかない。それですべて判断しよう。試乗できるところはないかと調べてみると、代官山のBROMPTON JUNCTION TOKYOなるブロンプトン専門店は、国内でも随一の品揃えだとか。よし行こう、すぐ行こう。

…。

乗ってきました。

乗り心地、坂道性能、変速、折り畳み、デザイン。何一つ期待を下回るものがナッシン。ミニベロ初体験ゆえの新鮮さもあったけど、クロスバイクより姿勢も楽で、気兼ねなく乗れるなと感じました。気兼ね無さ、自転車に乗る心理的ハードルとでもいいましょうか、そこがストレスフリーだと乗る機会も増えるかもね。なるほど、これがミニベロの良さね、完全に理解。

その他にも店員さんに色々と教えてもらい、2020年限定カラーや現在残ってる限定モデルの話なども一通り聞いて、お店を後にし、暖まった体と頭を冷やすため渋谷駅まで歩きました。

2019年12月、鈍色の空の下、僕の頭にあったのは、たったひとつの単純(シンプル)な答え。

「買うな、これ」


謎:予算超えまくりだけど良いの?

200328brompton_04

当初の予算5〜7万円、実際に買ったのは20万円。キットレンズを買うつもりが大三元ズームを手にしていたようなバジェットアッパーは、ただ事ではありません。それでも僕が払ってヨシと思ったのは、人生で初めて、自転車に愛着を持てそうだと感じたからです。

思えば、今まで使ってきた自転車はどれも愛着という愛着がなく、あくまでも足のための自転車でした。PeakDesignの三脚レビューでも似たことを書きましたが、愛着のある(得てして高価になりがちな)モノは、何かと理由をつけて使いたくなる。もし愛せる自転車を手に入れたなら、もっと外に出るのが楽しくなるかもしれない。

200328brompton_05

自転車の価格は抑えて、その分レンズを生やす選択(この考え方がもうダメ)も、もっちろん考えました。でも、この判断はまた自転車を使い潰してしまう気がして、結局行動範囲は一時的に広がるだけになるのでは? 5年ぶりに買う自転車、もっとこうなんかこう、ヤっちゃっても良いのでは?

かくして僕は、自転車のライカなるブロンプトンを手に入れるに至りました。こうなると、輪行でもっと余暇が楽しくなるかもしれない。今まで知らなかった自転車体験が待ってるかもしれない。ここまで気合いれて自転車を買ったからには、さすがに自転車の情報やメディアなんかも気にするようになりました。またも自分ごとが増えましたね。


今:大満足のブロンプトンライフ

ここからはブロンプトンのミニレビューと参りましょう。偏見に満ちた僕の折り畳み自転車への印象は、別に折り畳まなくても良い&車持ちがソトアソビに使うもの、だと思っていました。ですが、折り畳まれたブロンプトンは玄関に置けるほどの省スペースさ。折り畳んで使う意義を見出せました。

200328brompton_06

自転車置き場に置いておくのも防犯的にアレなので、結果的に風雨に晒さなくて済みますしね。ブロンプトンと並列で語られることの多いミニベロには「Birdy」「Dahon」などがあり、それぞれ折り畳みの機構が異なります。このうち、ブロンプトンはもっとも省スペース。

また、自転車で行ける圏内にどんなスポットがあるかなと調べるようになりました。近所なのに存在を知らなかった喫茶店や植物園にも行くようになったし、これはバスや電車を使うだけでは多分知れなかったんじゃないかな。クロスバイクだと街中をウロウロするにはちょっと仰々しいところもあって、ミニベロのこじんまり感はそこも良い。

ブロンプトンはハンドルタイプ、変速タイプによってモデルが変わります。僕が選んだのは横長ハンドルに6段変速のS6L。ストップ・アンド・ゴーの多い都内では、ミニベロゆえの加速性と変速による最高速度は好相性です。

200328brompton_07

スタンドはデフォルトでは付属していません。自立させる際は折り畳み過程の途中で止める、おすわりと呼ばれる状態にします。リアキャリアを付けるとこの状態でも移動させやすくなったりと、カスタムという名の沼もまた魅力。ブロンプトンは専用のラゲッジも様々なサイズがあって、なかにはショルダーバッグにできるものも。

200328brompton_08

折り畳み状態で持ち上げるとこんな感じ。この状態で袋に入れれば電車に乗って入れるワケです。暖かくなったらやってみたいですね。


結論:値段の価値は自分で見つけていくっきゃない

一連の化学反応をまとめると、写真を撮りに行きたい=地元の写真ばかりになってる=行動範囲を広げたい、でも電車に乗らずソロ感を大事にしたい=自転車を買おう=ブロンプトンなんてあるのね、誰が買うんだこんな高いの=高いものには理由があるのじゃ(完成)、という次第。込み入っている。

買ってしまったからにはもうどんな論法を使ってでも買って正解に持っていかざるを得ないのですが、金額ってある意味覚悟じゃないですか。20万円の自転車を買う、買ったからには外を楽しむ。もしこれがセール品の2万円自転車だったら、僕の外への意識はもっと低かったと思います。道具としては使うけど、愛は芽生えない。

200328brompton_09

結果的に外に出る回数は増えましたし、むしろ「理由をつけて外に出たくなる回数」が増えた気がします。要は、ただ乗りたいんですよ、自転車に。そのお供にカメラがあれば季節を閉じ込めたり、喫茶店を見つけたら紅茶を味わったり。平凡なレジャーですが、動機と過程、そのすべてをまるっと楽しめるようになりましたとさ。

以上、如何にして僕が予算の心配を止めて自転車を愛するようになったか、でした。まだまだサイクリング・ラブ、とまではいきませんが、アウトドア趣味を自分ごととして捉えられるようになったのは大きな変化だなと。きっかけをくれたK氏にはドドメ色の感謝と米粒程度の責任転嫁を捧げます。ゆるさない、でもありがとう。


Source: BROMPTON, YouTube

ブロンプトン ほしい?

  • 0
  • 0

シェアする

    あわせて読みたい

    powered by