恐怖はかくも人を変える…。
「5Gの電波で新型コロナウイルスが広まる」と本気で信じる英国民が地球人類を守ろうと基地局に火をつけ、敷設作業の邪魔をしてネットが落ちる被害が多発し、英政府が全土に警戒を呼びかけています。
拡散元は?
事態を重く見たYouTubeはコロナ5G原因説を要注意コンテンツ指定に加え、おすすめ表示回数を減らしたんですが、 陰謀論者のDavid Icke氏が性懲りもなくライブ配信で「ワクチンにナノチップが組み込まれて人間が支配される。開発を支援しているビル・ゲイツは投獄すべき」などと流布していることから、削除も辞さない構えを新たに示しています。
信者はほかにも3月半ばにサンフランシスコのThomas Cowan氏が行なった講演を多数引用しており、ここが今回の騒ぎの出元かなあ、という印象です。氏はシュタイナーとプライスを神と崇め、ホリスティック医学の本を書いた人。「スペイン風邪が広まった1918年はラジオ波が広まった年で、電波とウイルスには因果関係がある」と語ってますが、ラジオ波の一般利用は1920年代からだったりします。奇病が広まるたびに電波原因説が広まるのは毎度のワンパターン、と欧米では言われていますよ…。
作業員がいじめられる
ただ今回のコロナでは反対運動が急進化しているのが特徴です。イギリスでは自宅待機命令の影響でネットの利用が倍以上に増え、通信ケーブルの敷設作業が急ピッチで進んでいるのですが、敷設作業員が無茶苦茶なじられているのです。
たとえばこんな風に。
This is the consequence of those bonkers Facebook conspiracy theories about 5G. Key workers getting harassed on the street. pic.twitter.com/5z35r6sabp
— Charlie Haynes (@charliehtweets) April 2, 2020
最初は猫なで声なのですが、だんだん雲行きが怪しくなっていき…
「なんで2m離れて作業しないの?」
「保健所職員でもないのに外出していいの? そんなことも知らないの?上の人はどこ?」
「その5Gで人が死んでるんだよ。それでみんな病院建ててる。知らないの?」
「子どもいるの? 親は? 『バイバイ、ママ』でいいの?」
まるで小学生を叱るかのような詰問が延々と続きます。通信事業は基幹インフラなので、自宅待機命令の対象外なんですけどね…。感染リスクを承知で国民のために身を挺して働いている外国人ワーカーは戸惑うばかりです。「みな5Gが必要ですからね」とやっと笑顔で答えると…
「みな死ぬんだよ」
とキッパリ。取り付く島もありませんよ。お…おまわりさ~ん…。