外出自粛で人が減った町に「野生生物たちの帰還」

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  • author Brian Kahn - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
外出自粛で人が減った町に「野生生物たちの帰還」
Image: Earther Gizmodo US

野性動物が地球の未来を教えてくれる。

人間とは、自然界にとってどんな存在なのでしょうね。動物たちが、新型コロナウイルスがその答えを見つけるチャンスを与えてくれるかもしれません。

新型コロナウイルスは、私たちがどれだけ自然から遠い存在だったかを教えてくれました。世界中で10億人以上が外出を制限されているおかげで、空気はきれいになって、野生生物は繁殖しています。

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Image: Earther Gizmodo US
バンクーバー沖を泳ぐシャチ


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Image: Earther Gizmodo US
コロラド州ボルダーの木の上でくつろぐクーガー


米コロラド州ボールダーの木の上でのんびりしているクーガーや、カナダのブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーにある地下鉄の近くで水上パトロールをしているシャチを見ると、なんだか不思議な気持ちになります。私は別に「人間はウイルスだ」とばかげた主張をしたいわけじゃないんです。なにがしっくりくるでしょうね? エコファシストみたいな感じでしょうか

「恐怖の風景」という概念

新型コロナウイルスによる外出禁止を自然界の利益のために選択したわけではありませんが、これを機会に、私たちの生活が自然界からどのように切り離されてきたかを考えてみませんか、と私は言いたいんです。さらに重要なのは、封鎖が解除されたときに、私たちが自然から離れた生活を続ける必要はないんだと、動物たちが示してくれていることです。

生態系には「恐怖の風景」という概念があります。これは、ある環境の中で、意図せずにつくられる捕食者と獲物の関係を指します。道路は、かつては動物たちが自由に移動していた小さな風景を切り崩していて、そこを突っ走る車は本質的に捕食者ということになります。この「恐怖の風景」が動物たちの捕食本能を刺激し、行動を変化させます。つまり、ある風景(環境)に捕食者(車や人間)がいると、動物たちがその風景を避けたり、風景の中での行動が不活発になったりします。ところが今は、新型コロナウイルスのおかげでこうした脅威がなくなったため、動物たちはすぐにそれほど危険ではない環境に適応したというわけです。

「動物たちが安心しているように見えるのも不思議ではありません」と、サフィナ・センターのフェローで、ユーコンのCPAWSの保全科学者であるKatarzyna Nowak氏はEartherに語っています。

人間を避ける動物たちと共存するために必要なこと

私たちは、新型コロナウイルスが落ち着いたあとに、これまでにつくりあげてきた環境を見直す必要があります。動物のために道路をなくしたり、動物のための迂回路をつくったりすることもできます。野生動物の通路を兼ねる緑の墓地のような、さらに新しいアプローチだってあります。新型コロナウイルスが沈静化したあと、もっと緑を増やしたりする事業を推し進めていくことが雇用につながると同時に、地球の再生を促すことになるかもしれません

また、動物への恐怖を軽くするだけでなく、動物がのんびりできる場所をもっと魅力的にすることだってできるはずです。たとえば、生態学的にはあまりよろしくない庭の芝生を、ハチやチョウのような花粉を運んでくれる生き物のために野生の花に置き換えたり、公園内に渡り鳥が羽を休める場所を確保したりして、昆虫や動物にとって優しい環境を提供できます。

健全で回復力のある生態系と人間の幸福がつながっていることを、人々に思い出してもらういい機会です」と、研究者らはBiological Conservation誌の新しい分析記事で述べています。本当にそのとおりです。

地球温暖化の時代にあって、人間と自然との関わりを見直す必要性はますます高まっています。気候危機は動植物にさらに大きな圧力をかけ、最大100万種が絶滅するリスクがあります。

そんな状況の中で、これからも私たちを支えてきた生物圏を破壊する道を歩き続けるのか、それとも再びバランスのとれた未来を築くのか。新型コロナウイルスは、人類に未来を選択するチャンスを与えてくれたような気がします。

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