トランプ大統領「月は何してもいいんだ! 邪魔すんな!」

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トランプ大統領「月は何してもいいんだ! 邪魔すんな!」
Image: shutterstock

気持ちいい程のジャイアン主義。

何百年もの間、人類にはひとつの目標がありました。それは、月をぶっ壊すことです。そして先日、ドナルド・トランプ大統領はその夢に一歩近づきました。彼は、米国の月破壊活動を他国が邪魔することは許さないとする大統領命令を発令しました。

月の採掘の権利を主張する大統領命令を発令

世界中がパンデミックの真っ只中に世界保健機関(WHO)への資金提供をやめると脅してみたり、ハガキによる投票は「不正」だと言ってみたりと、ここ数週間でもトランプ大統領はいろいろひっかきまわしていました。にも関わらず、同時に彼は「月は世界の共通資源ではない」とし、米国と民間企業が月面を含む全てを採掘する権利があると主張する大統領命令を発令したのです。

令状によると、月で得られる資源を世界中に平等に分け、月面の所有権を主張することや、宇宙物質の軍事利用、宇宙空間を生物的、あるいは工業的に汚染することを禁じた国際協定、「月協定」に関して、米国は「署名もしていなければ、批准もしていない」としています。大統領命令は、月協定とは別の宇宙協定に基づき、米国およびその他の国々や民間企業は自由に月の資源を採掘すべきだという米国政府の立場を改めて強調しています。つまり、米国のものだとまでは言いませんが、誰もが好き放題に掘りまくっちまえ! ヒャッハー! ということです。

米国人は、適用される法にあるとおり、宇宙資源の商用採掘、回収、利用をする権利を有するべきである。宇宙は法的にも物理的にも人類の活動において特異な領域であり、米国はこれを世界で共有する物と見なさない。よって米国は、適用される法に則り、公的、あるいは民間の機関による宇宙資源の回収と利用を世界的に支持すべきであるとの立場を採る。

また令状は、米国の採掘を国際法を使って阻止しようとする場合は断固反対するとし、全ての国が同じ立場を採るよう勧めています。

月にあるとされているめぼしい物

そもそも、月に採掘する価値がある物があるかどうかは不透明です。Space.comによると、核融合に使えるかも知れないヘリウム3が大量にあるとは考えられています。ですが、量は有限だしどれくらいあるのかもわかりません。もありますが、これは持って帰ってくるより、月に人間が長期移住するときに非常に役立つでしょう。それ以外だと、ウラニウムトリウムなどの希土類元素や、衝突した隕石に含まれるプラチナグループメタルなどもあります。

Popular Scienceによると、月の表土の20パーセントがシリコン、最大8パーセントがチタニウム、10パーセントから18パーセントがアルミニウム、それにかなりの量の鉄が含まれているそうです。

NASAの月採掘計画

NASAだけでなく、欧州宇宙機関(ESA)も月採掘には興味を示していますが、これらの物質を採掘して地球に持ち帰るためのコストはまだハッキリわかりません。持ち帰るよりは、月に産業を作るほうが効率的でしょう。NASAは、2030年代の火星ミッションの中継地点として、2024年以降に月の南極にベースキャンプを設置し、月採掘の可能性を調査する予定です。しかし、過去何十年もの間、月の植民地計画は何度も提案されてきましたし、月産業の誕生はもちろん、この計画のタイムライン自体も曖昧です。

CNBCによりますと、月を誰もが自由に採掘すべきという立場にはカナダ、オーストラリア、アラブ首長国連邦、中国が賛同している、と米国は主張しているそうです。元植民地で原住民を抑圧して来た国か、人権的に怪しい国しかないという…。