いままでで一番地球っぽい太陽系外惑星、発見。

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
いままでで一番地球っぽい太陽系外惑星、発見。
Image: NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter via Gizmodo US

アルゴリズムが否定したデータの中から人手で拾い上げた、ってとこも胸熱。

太陽系外にある地球と似た惑星を探していたケプラー宇宙望遠鏡が退役してから1年半ほどになりますが、そのミッションが残した膨大なデータはいまも分析が続いています。当初の分析にはアルゴリズムが使われていましたが、その後専門家のチームが、アルゴリズムの見落としを洗い出すべくデータを再精査してきました。その努力が実を結び、アルゴリズムが「惑星じゃない」と判定した星の中から、これまでに見つかった系外惑星の中でもっとも地球っぽい星が見つかりました。

Astrophysical Journal Lettersに発表された新たな論文は、地球から300光年離れたところにある赤色矮星「ケプラー1649」の惑星「ケプラー1649c」について説明しています。ケプラー1649cのサイズは地球の1.06倍ほど、つまりほとんど同じです。しかもこの惑星はハビタブルゾーン内、つまり岩石惑星であれば地表に液体の水が存在しうる領域にあるんです。地球外生命体発見も遠くない…?

今回の発見は、アルゴリズムが分析したケプラーのデータを人間が再確認することで可能になりました。詳しくは後述しますが、まずはケプラー1649cがどんな星なのかを見てみますね。

サイズも温度も地球に酷似

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Image: NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter via Gizmodo US
地球とケプラー1649cの比較。

この論文によると、ケプラー1649cが主星から受け取る光は地球が太陽から受ける光の75%ほどで、平衡温度は234ケルビン(摂氏マイナス39度)前後です。「平衡温度」とは恒星から入ってくる放射線だけを純粋に考慮した温度で、アルベド(反射性)とか大気の影響を排除したらその星がどれくらいの温度になるか、を示しており、地球の場合は278.5ケルビン(摂氏5度)です。ただケプラー1649cの大気がどんな構成なのか、というかそもそも大気があるのか、といったことがわからないので、実際の地表温度がどれくらいなのかは不明です。ということは、マイナス39度はちょっと寒そうですが、大気の具合とか惑星内の位置によっては半袖でも過ごせるとかかもしれません。

「サイズと予想される温度に関しては、ケプラーに関連して発見された中でもっとも地球と似ている惑星です」論文の共著者、Jeff Coughlin氏はSETI Instituteのプレスリリースの中で言っています。

他の主要な系外惑星には、サイズ的に地球に似ているTRAPPIST-1fとか、温度的に近いTRAPPIST - 1dTOI 700dなどがあります。でも、ケプラー1649cのようにサイズと温度の両方が似ている星は初めてだそうです。

ケプラー1649cは、主星の赤色矮星・ケプラー1649を周回するのに19.5日しかかかりません。軌道を一周、つまり1年が19.5日ということは、主星からの距離がだいぶ近いということになります。ただケプラー1649は我々の太陽の4分の1のサイズしかないので、それほど強力でもありません。

このことは、生命体がいる可能性という意味ではバッドニュースかもしれません。赤色矮星は銀河の中にものすごくたくさんありますが(天の川銀河の中で4つに3つの星が赤色矮星)、彼らはしょっちゅうかんしゃくを起こし、文字通り爆発しています。なので宇宙生物学の専門家は、赤色矮星系には生命が存在できないのではないかと懸念しています。

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Image: NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter via Gizmodo US
ケプラー1649cのイメージ画像。主星である赤色矮星と、前から存在を知られていたもうひとつの惑星が見える。

アルゴリズムの見落としを人間がすくい取る

これまでケプラー宇宙望遠鏡は2,400近い系外惑星の発見貢献してきましたが、その中にはケプラー1649cは入っていませんでした。

数年前、Robovetterというアルゴリズムがケプラーデータを分析し、ケプラー1649cのデータも惑星候補として捉えていたんですが、「やっぱり惑星じゃないやつ」と自動判定してたんです。ケプラーは2009年から2018年まで運用されていましたが、この間に何十万という観測を行なっていたので、自動化システムは不可欠でした。

この自動化システムではまずトランジット法といって、星の明るさが下がるポイントを探します。つまり惑星が光を遮って一時的に暗くなったと考えるのです。次にRobovetterが外部要因による誤検知を判定、「やっぱり惑星じゃなかった」として排除します。外部要因とはたとえば、光度が変化する変光星や、近くを通過した物体、ケプラーの電子機器が発生するノイズ、といったものです。

でもこのシステムは、完ぺきじゃありませんでした。「もしアルゴリズムの判断結果を人手で点検していなければ、見逃していたでしょう」テキサス大学オースティン校の研究員で論文主著者のAndrew Vanderburg氏は、NASAのプレスリリースで言っています。人手での点検にあたった専任チームは、3年前に「惑星じゃないやつ」と判定されたデータを再精査し、今回の大発見に至ったのです。

「この発見が強く示しているのは、自動化手法が向上したといっても、惑星候補を人手で調べることが重要だということだ。また地球型惑星は、巨大な恒星よりも、中期から晩期M型矮星(訳注:「赤色矮星」に近い概念でケプラー1649もこれ)周辺に多い可能性があることも示唆している」上の論文にはこう書かれています。

ただ、地球っぽい星が見つかったからとはいえ、そこに地球外生命体がいそうなのかはまだまだわかりません。地球外の仲間を探す人類の旅は、これからも続きます。

Source: IOP (1, 2), SETI, NASA (1, 2, 3, 4, 5), Caltech

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