カメラが微妙なのが逆に信頼できる。
最近のスマートフォン業界は、新たなフェーズに入ってます。スペックやスクリーンの美しさ大きさ、カメラの性能はひと段落で、各社それぞれのガジェガジェしさが面白い時。折りたたみスマホや飛び出すカメラなど、別に今に始まったわけでもありませんが、ここにきていよいよ現実的になってきたという雰囲気。創意工夫がわくわくします。2画面スマホもその1つ。今回、米Gizmodo編集部がレビューしたのは、LGの2画面スマートフォンLG V60 ThinQ 5G。問題はまだ山積みながらも、これがどうしてなかなか面白い端末だそうで。
非日常の今、不安になったり怖くなったときはガジェットに癒しを求めています。最近のお気に入りはSamsung Galaxy Z Flip。クールすぎて、触ってると秒で不安が吹き飛びます。そんな安定の癒しガジェットZ Flipを横に置き、今回触って見たのは「LG V60 ThinQ 5G」、2画面スマホです。触ってみてよかった。正直に言うと、問題ありまくりの端末です。しかし、同時になんか憎めない不思議な魅力のある端末でもあるんです。
何が問題、何がしやすい?
これで仕事しようと思ったら問題ありまくり。一方で、これで遊ぼう、ゲームしようと思ったら急にできる奴になります。2画面なので画面1つをゲームのコントローラにできるところがミソ。何より900ドルという価格が魅力。900ドルで画面が2つです。Galaxy Foldほどエッジでスマートではないかもしれない。でも、Foldの半分の値段と思えば、まぁそんなもんでしょ。価格半分なら、それなりに足りないところもある、そんなもんでしょ。
LG V60 ThinQ 5G

これは何?:LGのハイエンドフラッグシップ端末、2画面スマートフォン。
価格:900ドル
好きなところ:1台分の価格で画面が2つ。良マルチタスク。バッテリー長持ち、条件がそろえば良カメラ。
好きじゃないところ:照明しだいでカメラがダメダメに、ケースつけると重いし分厚い。
2画面スマホ、ぱっと見はいまいち。正直、ちょっと不恰好です…よね…。ケースつけるとますます不恰好な上に重い。6.8インチのOLEDディスプレイ(フルHD+、2,460x1,080px)が2枚、それを保護するケースですから、そりゃそこそこ重いのは当然。ケースつけなきゃいいじゃんって言われればそれまでですが、画面2枚あるからこそケース必要な気もするし。
大きめ端末が好きという人は、これに勝るスマホはないと思います。お家で使ってみると、なるほど2画面がゆえの使いやすさ、自由さがあります。調べ物も、メモ書きも、ベッドにゴロゴロしながらでも、きちんと椅子に座っても、なかなかどうしてやりやすい。手軽に仕事もできるこの使いやすさには驚かされました。通知がきてもささっと返信して、さささっと仕事に戻れましたけど、これは絶対2画面のおかげ!
仕事中に、デスクでラップトップ+モニターを使って、調べ物とライティング作業してたんですが、ラップトップとモニターの画面2つを交互に見てたら首が痛くなってしまい…。そこで、V60に切り替えてベッドに寝転んでやると、2,3タップで同じ作業ができてしまいました。首コリなしで!

残念ながら、ZTEが2017年にリリースした2画面スマホAxon Mのように、同アプリを2つ表示することはできませんが、例えばアプリ自体が異なればメッセージアプリを2つ同時表示(Facebook MessengerとWhatsAppなど)することはできます。ここはユーザーの工夫しだいで、例えば僕は、WordのスタンドアローンアプリとOffice 365のアプリをそれぞれ起動して、横に並べて2つのドキュメント同時作業を可能にしました。これに加えて、1画面はChromeでウェブ見つつ調べものするのもあり。
この形、ゲームで使ってみたら…?









2画面デザインは、タブレットよりも人間工学的に持ちやすいと思います。ほぼ同じサイズのiPad miniで同じ作業しようと思いましたが、いまひとつ。Miniはマルチタスクの使い勝手が悪いという問題以前に、そもそもV60は2画面ゆえにあるヒンジのおかげで持ちやすいんです。ちょっと角度つけて置いておけるのもいい。
物理的には手に馴染む一方で、2画面のOSは慣れが必要。一瞬ではありますが、縦/横表示やマルチタスク切り替え時にラグが生じます。マルチタスクのアニメーションもスムーズとは言いがたく。これを思えば、2020年の各社フラッグシップ端末スペックのRAM 16GBだったらなと思わずにいられませんね。せめて12GBなら。8GBはちょっとキツかったな。しばらく使っているとこの一瞬の間にも慣れはしますけどね。
仕事使いはさておき、1番楽しめるのはゲームです。コントローラ対応のモバイルゲームなら、自動でLGのGame Padソフトウェアを認識してくれます。2つ目の画面いっぱいに表示されるコントローラ最高! コントローラ対応じゃないゲームは、Game Padを使って自分で作ることもできます。

好きなゲーム『Gods of Boom』用のコントローラ作ってみました。けっこう骨が折れましたが、1度作って設定してしまえば満足感がすごい&動作もよし!
ディスプレイのリフレッシュレートは60Hzなので、もちろん120Hzでやるゲームのスムーズさはなし。画質フルHD+なのでゲームのテキストは若干つぶれているかな。一方、プロセッサは、最近のフラッグシップ端末に見合うQualcomm Snapdragon 865が採用されておりパフォーマンス上々。全体的には、コントローラ対応も含めゲームでそこそこ使える端末になっています。
画面の1つをコントローラとして使用しない場合は、ウェブ観覧したり動画流したりで、ゲームの手を止めることなく複数作業できるのが嬉しい。特に、広告が挿入されるゲームの場合、2画面は本当ありがたい。
次にカメラ。最高!とは言えません。メインカメラ64MPに13MPのワイドアングルカメラ、そして深度データ用のToFカメラセンサ。照明など最適条件が揃えば、非常に美しくディティールの細かい写真を撮ることができます。ただ、暗いとか眩しいとかライティングにちょっと難条件が加わると限界あり。
昼間太陽の下で撮ればよし。64PMのフル画質撮影のオプションがありますが、デフォルトは16MPなので要注意。フォーカスがスピーディなのでさっと撮影できるのもよし。以下、参考までにスライドショー。
どこを取ってもカメラが微妙…

















撮影テストでは、iPhone 11 ProとPixel 4と比較。望遠レンズなしなら、2倍ズーム撮影でも、光学2倍ありの端末と大差ないように感じました。V60でもそこそこシャープでクリア、ただ色はちょっと鈍くなるかな。5倍ズームだと、V60とiPhoneは同じようなモヤっぽさを感じるものの、Pixel 4は綺麗。ちなみに、3倍、5倍、10倍ズームなら、(比較画像はないけれど)Huawei P40やGalaxy S20のほうが綺麗でした。
メインカメラでもワイドアングルでも、良ライティング条件下なら、比較的リアルに近い色を捉えられていましたが、寒色が得意という印象あり。暗いところだと、緑や紫がかったり、黄色味が強くなることしばしば。体感的には色がうまく撮れるのは3枚に1枚という感じ。
ダイナミックレンジもベストとは言えず、夕日の写真を数枚撮ってみたものの、明るいところはけっこう白飛びしてしまいました。カメラのクセとして、明るい部分にフォーカスを合わせがちなので、ほぼ毎回フォーカス微調整してましたね。
V60には暗所モードのNight Viewという機能が搭載されていますが、どうもいまひとつ。iPhoneやPixelほどうまい暗所撮影はできず。満足のいく写真になることのほうが珍しいというレベル。美星空写真なんて無理ですね。Apple、Google、Samsung、LGなら、暗所撮影では間違いなくLGが最下位決定です。


















10MPのセルフィーカメラの写りもいまひとつ。背景ボケはいいんですが、肌トーンが黄色味が強すぎるような。カメラ問題は動画でも同じ。太陽光の下での撮影は色味もディティールも問題ないのに、暗くなるととたんにクオリティが下がります。手ブレ補正は、iPhone 11 Proに近いとも言えますが、それも数歩遅れている感じあり。暗所での動画撮影では、iPhoneのほうが何をとっても勝ち。色、ディティール、手ブレすべてiPhone圧勝でした。LG端末の8Kは、iPhone 11 Proの4Kに劣ります。

バッテリーは5,000mAhで、1度の充電で1日半いけました。軽めに使えば2日はいけると思います。Gizmodoの動画再生バッテリーテストの結果は12時間。ちょっと本来の使い方とは異なりますが、2つ目のスクリーン外して使えば21時間もちました。
「2画面スマホ」として接すると文句が出ちゃうかも
個人的にスマートフォンで仕事するのは好きではないので、なるべくしないようにしてます。しかし、スマホ仕事タイプの人ならV60はありだと思います。V60は、仕事してて「あぁっ、もう! やっぱラップトップでやろ!」って、僕が唯一ならなかった端末です。遊び使い=ゲーム好きにも、2画面の1つをコントローラとして使えることからV60はありです。マルチタスク使いが常な人も、2画面で900ドルなことを思えばありです。絶対になしなのは、スマホで写真撮るのがメイン使いの人ですね。最大の懸念点はカメラですから。
V60 ThinQのレビューは非常に楽しかったです。でも、そもそも僕は大きなスマホが好きになれない人間なので、やっぱり個人的ベストはZ Flip。V60はデカイ、ケースなしでもデカイ。しかしiPhoneやPixelと比較するのではなく、いっそ折りたためるタブレットだと思えばiPadやKindle Fireの代替案としていいかも。てことで、折りたためるタブレットが欲しいんだ!という人以外は、今、900ドルは他のことに使ったほうが賢明ですね。
まとめ
・2画面でのマルチタスクがやりやすい!
・ユニバーサルゲームコントローラは嬉しいけど、プレイのパフォーマンスを考えるとリフレッシュレート120Hzでもっと画質のいい端末は他にもあるというね。
・最適条件がそろえば稀にいい写真がとれることもある。ただ、ちょっとでも暗くなるとカメラダメダメ。
・大きめ端末好きなら、この値段でこのサイズは嬉しい。
・バッテリーもちがいい!