矯正されたい。
iPad Pro 12.9インチ用のMagic Keyboardが届きました。Magic Keyboardはキーボードとトラックパッドが内蔵されたケース型のiPad Proアクセサリで、装着するとまるでMacBookのようなスタイルで作業をすることができます。
実物をハンズオンしたところ、これはかなりiPad上級者向けプロダクトだなぁと思いました。
下記から動画でのハンズオンもご覧いただけます。記事とあわせてどうぞ!
重さは? どこまで開く?

まずは重さ。想像より結構重いです。12.9インチ版Magic Keyboardの重量は703gでした。iPad Pro 12.9インチと合わせると1,344gにもなります。MacBook Pro 13インチの重量は1,370gですから、ほとんど変わりません。
さらにヒンジは上の画像の角度までしか開きません。つまり、Magic Keyboardをつけている間はiPadをタブレットして使うことができません。Apple Pencilで書いたり、読書するときは本体を取り出して裸で使うことになります。かなりラップトップぽいスタイルに振り切られているのが分かります。



しかし、ヒンジの感触そのものはかなり高級感があります。重たいiPad Pro本体を支えるためにかなり硬いヒンジになっていますが、ゆっくりスムーズに可動してくれるのがえらいです。ディスプレイを傾けるための上のヒンジも、中身は金属になっているようで、しっかり本体を支えてくれます。

USB-Cポートは充電専用。あくまでiPad Pro本体に給電するためのもので、Magic Keyboardにはバッテリーは入っていません。
キーボードとトラックパッドはほとんどMacBook

肝心のキーボードとトラックパッドはめちゃくちゃに物欲を刺激してきます。

キーボードはシザーキーを採用していますが、MacBook AirやPro 16インチのものとは打鍵感が違います。少し軽めで、程よいパチパチとしたタイプ音は2015年までのMacBookシリーズに使われていた旧シザーキーに似ているような。一度使ったらSmartKeyboard Folioには戻れなくなりそうな、限りなくMacに近いキーボードです。

トラックパッドもとても使いやすいです。全面が均等に沈み込み、しっかりしたクリック感があります。MagicTrackpad 2 と比べるとやや沈み込みが深く、音も大きいですが、これはこれで心地いいです。
Magic Keyboardってなんだろう、iPadってなんだろう

Magic Keyboardは本当に質感がよくて、iPadが好きなら間違いなく欲しくなるアクセサリです。
でもMagicKeyboardは、SmartKeyboard Folioのように平たく広げることもできないし、iPadの背中側にたたむこともできません。だから読書やお絵かきのようなタブレットとしての使い方はこれを着けたままでは難しいんです。
つまり、iPadにあえてMagic Keyboardを着けることは「キーボードとトラックパッドでバリバリ作業する」ことを意味します。そういう人しか着ける意味がないんです。

もしかしたらMagic Keyboardは、iPadをお仕事デバイスに進化させるための矯正ギプスなのかもしれません。
タップやスワイプ、頑ななシングルタスク、ファイルや拡張子の概念がないシステム…。思えばiPhoneの登場以降、僕たちはAppleにコンピュータの使い方を1から強制されながら、矯正されてきました。
そして僕たちが慣れてきたところで、マルチタスク、ファイル、ドラッグアンドドロップ、トラックパッドにライブ変換…。なんだか仕事に使えそうな機能がもりもり追加されました。
そこに登場したMagic Keyboardは、iPadを一時的にラップトップスタイルに矯正する存在。「ねぇ、そろそろこれで仕事してみない?」っていうAppleからのお誘いです。僕らの矯正が無事成功すれば、トラックパッドで使えるアプリもどんどん増えて、いつかiPadで仕事をするのが普通のことになる日が来るのかも。
誰が買うべき?

とはいえ、値段や重さを考えると(特に12.9インチに関しては)MacBookシリーズを買ったほうがお得なように見えます。
それでもあえてiPad ProとMagic Keyboardを選ぶべき人はこんな人でしょうか。
・iPadでめっちゃ文字入力する人
・すでに仕事の大半をiPadでこなせている人
・iPadだけで仕事をすることに恋焦がれている人(僕です)
逆に、こんな人はSmartKeyboard Folioを使ったほうがいいと思います。
・iPadをタブレットとして使うことが多い人
・Apple Pencilもけっこう使う人
今のところトラックパッドに最適化されたアプリは少ないですから、Appleのこのお誘いに乗るかどうかはゆっくり考えてみてもいいのかなと思いました。
Source: Apple