OnePlusはついにメインステージへ。
OnePlusの最新フラッグシップ、OnePlus 8(以下OP8)とOnePlus 8 Pro(以下OP8 Pro)が発表されました。アメリカでの正式発売は4月29日ですが、米GizmodoのSam Rutherford記者がすでに実機をしばらく使って先行レビューしていますので、以下、どうぞ!
OnePlusがスマホ市場に飛び込んできた2014年、彼らは自らをフラッグシップキラーと位置づけ、SamsungやGoogleといったハイエンドスマホと同等のスペック・性能を持つスマホを、彼らの約半分の価格で打ち出しました。その後成熟するにつれ、OnePlusは価格面では初期ほど激安ではなくなったかもしれませんが、素早いアップデート、クリーンでよりすっきりしたOS、高リフレッシュレートのディスプレイなどで大手ブランドを脅かすようになってきました。かつては荒くれたチャレンジャー風だったOnePlusですが、LGやHTCといった大手が失速・消滅しつつある今、OP8とOP8 Proはもはやメインステージに立った感じです。ここまでよく来たね、と感慨深いものがあります。
とはいえ、挑戦者だったプレイヤーがメジャー入りすることにはデメリットもあります。今の状況は、OnePlusがもはや一部のナードやコアなファンをターゲットとする小規模メーカーを卒業したってことでもあるし、価格面でもOP8 Proは900ドル(約9万7000円)で、OnePlus 7T Pro 5G McLarenと並んでOnePlus史上もっとも高い端末です。スタンダードなOP8 は700ドル(約7万5000円)〜ですが、2019年のオールラウンドベストのひとつだったOnePlus 7Tの600ドル(約6万4000円)と比べると一段高くなってしまいました。
OnePlus 8・OnePlus 8 Pro

これは何?:OnePlusの新しいメインストリームスマホ
価格:OnePlus 8は700ドル(約7万5000円)、OnePlus 8 Proは900ドル(約9万7000円)
好きなところ:洗練されたデザインでカラバリも美しい、コスパ高い、ソフト・ハード両面の有意義な最適化、リフレッシュレート120Hzのスクリーン、OP8 Proの高速ワイヤレス充電
好きじゃないところ:ミリ波帯の5Gをサポートしてない、OP8(Proじゃないほう)ではワイヤレス充電も望遠レンズもない、マクロカメラとカラーフィルターカメラがあんまり意味ない
スペックとデザイン
そんなわけで価格も一歩上がってしまったとはいえ、その分中身も充実してます。とくにGalaxy S20と比べると、あっちは最安モデルでも1,000ドル(約10万8000円)、S20 Ultraに至っては1,400ドル(約15万円)もします。OP8もOP8 ProもプロセッサはGalaxy S20と同じQualcomm Snapdragon 865で、RAMは8GB、128GBのストレージ、画面内に光学指紋センサー搭載です。ここに100ドル(約1万1000円)足すと、RAMを12GBに、ストレージを256GBにできます。
OP8・OP8 Proともにガラスでサンドイッチしたデザインで、サイドは金属のバンド、ディスプレイはGalaxy S20よりもっと丸みを帯びています。去年僕らをざわつかせたポップアップセルフィーカメラは廃止になったようで、代わりに前面左上に1600万画素のパンチホールカメラが入りました。

あとは色展開がOnePlus史上ベストだと思います。OP8はGlacial Green(氷河のグリーン)とInterstellar Glow(星間の輝き)、こちらは虹色の仕上げでオレンジから紫に変化します。OP8 Proはブラック、グリーン、そして僕が気に入ったウルトラマリンブルーという展開です。
OP8は6.55インチ・2400 x 1080・90Hzのディスプレイにバッテリーは4,300mAh、背面カメラはトリプルで4800万画素のメインカメラ、1600万画素の超広角カメラ、200万画素のマクロカメラという布陣です。いっぽうOP8 Proは6.78インチ・3168 x 1440・120Hz(Galaxy S20ラインと同じ)のディスプレイ、バッテリーは4,510mAh、背面カメラはクアッドで4800万画素のメインカメラ(センサーはソニーのIMX 689)、800万画素で3倍ロスレスズームの望遠カメラ、4800万画素の超広角カメラ、そして「カラーフィルターカメラ」なるものです(詳細は後述)。

OP8 Pro、ワイヤレス充電が超速
でも今回最大の驚きは、これまでOnePlusが孤高を保つかのように対応してなかったワイヤレス充電を、ついにOP8 Proには導入したことです。ワイヤレス充電方式はQiですが、OnePlus独自のワイヤレスチャージャー・Warp Charge 30用にチューニングされています。なので一般的なワイヤレス充電パッドにOP8 Proを置いても使えるんですが(5W)、OnePlusの純正スタンドと組み合わせれば、今ある中で最速のワイヤレス充電が可能ということです(30W)。
OnePlusいわく、Warp Charge 30は低電圧と複数のチャージポンプを組み合わせ、驚異の伝達効率97%前後を実現できているそうです(従来のQi充電パッドは75%〜85%ほど)。なので、ものすごい充電力で、10%から56%まで30分で一気にチャージできます。でも純粋な充電スピードはもちろん有線のほうが速く、同じ30分で10%から76%まで急速充電できます。他社よりワイヤレス充電対応が遅かったOnePlusですが、その分OP8 Proでは良い形で入っています。
パフォーマンスの理想形
速度とヌルヌル感はずっとOnePlusの最大の強みで、OP8・OP8 Proもそれを最大限に発揮しています。いろんなOS最適化技術と90Hzまたは120Hz(本当にきれいです)のディスプレイによって、使ってうれしいスマホに仕上がっています。すべてが信じられないほど素早く感じられるし、OnePlusはソフトウェアアップデートも早いので、Google製を除けばAndroidの中でベストな体験が可能です。
とくにOP8 Proの120Hzのディスプレイは、本当にご褒美級の美しさです。OP8 Proより100ドル高いGalaxy S20+と同じくらい美しく、明るくなめらかで、Oxygen OSの高速化されたアニメーションと240Hzのタッチサンプリングレートも相まって、このディスプレイを愛さずにはいられません。
さらに8GBまたは12GBのRAMとSnapdragon 865のおかげで、OP8もOP8 Proも非常にパワフルで、ゲームをしていてもソーシャルメディアやビデオ動画でも快適です。

あと個人的には、壁紙が周りの明るさとか本体のナイトモード設定とかに合わせて明るさや色調を調節してくれるのがすごくいいと思います。これで余計なブルーライトを軽減できて、睡眠パターンを邪魔しにくくなります。
逆に今回OnePlusがうまくできてないのは、動画のモーションスムージングです。これは24fpsとか30fpsの動画を見ているときでも90Hz/120Hzという高いリフレッシュレートを活かすためのものなんですが、YouTubeやAmazon Primeビデオで確認したところ、その効果はまちまちでした。それにモーションスムージングを素早くオンオフする方法がなく、いちいち設定メニューを開かなくちゃいけないので、僕はもうずっとオフにしてしまいました。
追い上げてきた、カメラクオリティ
これまでOnePlusが他のハイエンドAndroidに追いつけずにいたのは、カメラのクオリティでした。それが買わない理由になるほどひどくはなかったんですが、ウリにもなりませんでした。最近の2世代、OnePlusのカメラは競合に大きく近づいたものの、(ポップアップとか)上っ面の新機能まで放り込んでまれています。

OP8・OP8 Proともに、日中明るい環境では明るい色でシャープな画像が撮れました。それぞれの4800万画素メインカメラセンサーは違うものなんですが、画像の違いはホワイトバランスや色彩度といった細かなところだけでした。でも多くのハイエンドスマホと同様、真価が問われるのは暗めの環境で、ここはSamsung Galaxy S20とPixel 4の牙城となっています。
撮り比べたところ特に気になったのは1枚だけ、夜に教会の外観を撮ったときでした。OP8がホワイトバランスをかなり間違えて、写真がやたら黄色っぽくなってしまった(下のスライドショー8枚目)んですが、でも明らかにひどいのはそのときだけでした。
夜に人気のない道を撮ったときはもっと接戦で、OP8 ProはOP8よりも露出が良く影のディテールがもっと出てました。でもOP8・OP8 Pro両方とも、その写真をGalaxy S20+と比べれば、どうしても改善の余地が見えてしまいます。













本当にくらーい場所では、Pixel 4 XLのNight Sightがまだまだ最強で、夜に撮った花の写真では、露出時間が長いので真ん中に若干のブレはでてしまったんですが、それでもはるかにディテールが撮れてました。
残念ながら、OP8とOP8 Proにそれぞれ付いてるボーナス的カメラ(前者はマクロカメラ、後者はカラーフィルターカメラ)は、どうにもギミック感が拭えませんでした。OP8のマクロカメラは、被写体によってはフォーカスを合わせるのが難しいし、すごく近づこうとすると、OP8のサイズが大きいので光がだいぶ遮られます。OP8 Proのカラーフィルターカメラは選択肢が4つしかなく、全体的に大したプラスにならないので、OnePlusが何か追加してこない限り存在を忘れてしまいそうです。
記録的なバッテリー保ち
OnePlusではいろんな最適化技術が使われてるんですが、そのの最大のメリットのひとつは、動画を見たりするときのバッテリー消費がすごくゆっくりになってることです。僕らのバッテリー消費テストでも記録的なバッテリー保ちを見せてくれて、OP8のほうは16時間9分、OP8 Proは16時間45分でした。どちらもPixel 4 XLの12時間36分よりはるかに長く、Galaxy S20+の15時間56分さえも上回っています。

ただ、実際に5Gにつながっていって、90Hzとか120Hzモードをオンにしていたら、このテストより2〜3時間短くなると予想できます。とくにOP8 ProのQHD+解像度をオンにして120Hzモードだと消費は激しいことでしょう。
買うならどっち?
OP8とOP8 Proには200ドルの価格差がありますが、どちらも今ある中でベストなスマホのひとつだと言えます。プレーンなOP8は700ドル(約7万5000円)で、OnePlus 7Tの正統な後継者的な位置を占め、SamsungがGalaxy S20eを作らなかったことでできた市場の穴を埋めてくれます。パフォーマンスとスペックがうまくブレンドされていて、大きく明るい90Hzの有機ELディスプレイと、丸みを帯びつつすっきりしたデザインです。Galaxy S20sの1,000ドル超えの価格にひるんでしまった人には、OP8こそ手に入れるべきAndroidスマホです。

いっぽうOP8 Proは、Galaxy S20+の廉価版を一番うまく作ったらこうなった、という感じです。価格はGalaxy S20+より300ドルも安くて、プロセッサは同じだし、ディスプレイは6.78インチ・120Hzで美しく(しかもGalaxy S20と違ってフル解像度で120Hzが可能)、ワイヤレス充電は超速だし、カメラもしっかりしていて、防塵防水のIP68レーティングを取得しています。逆に、入ってないものは主に5Gの全帯域サポート(6GHz帯のみ)です。OP8のほうがお値打ち感がありますが、OP8 Proの3倍望遠カメラとワイヤレス充電、そして防塵防水にはそそられます。
でも今回、個々の機能とか性能より大事なことがあります。それは、OnePlusがついにSamsungやGoogleと同じ土俵で戦えそうになってきたこと、そしてOP8とOP8 Proが、その実力を証明してるってことです。
まとめ
・OP8 ProはついにQiワイヤレス充電に対応、OnePlusの30ワットチャージャーと組み合わせると本当に高速です。
・OP8 Proは、Galaxy S20+の良い意味での廉価版のように感じられます。
・OP8のマクロカメラとOP8 Proのカラーフィルターカメラは一見良さげですが、そんなに使えません。
・プレオーダーはすでに開始、発売は4月29日です(アメリカ)。