新型コロナで亡くなったおばあちゃん、最期にアレクサに「助けて」と言い残していた

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新型コロナで亡くなったおばあちゃん、最期にアレクサに「助けて」と言い残していた
Image: Gizmodo US

こんな孤独な病気はない…。

新型コロナウイルスで亡くなったおばあちゃんの枕元のAmazon Echo Showから「アレクサ、助けて」という声の録音が見つかり、深い悲しみが広がっています。

ひとりの死

WFLAによると、死亡したのはLouAnn Dagenさん(66)。ピアノ、オルガン、ギター、腹話術をこなす芸達者な人だったのですが、10年前に脳卒中を患い高齢者介護施設「Metron of Cedar Springs」のお世話になっていました。

施設では36人が感染し、3人が死亡。LouAnnさん(肥満と高血圧の持病あり)も陽性反応が出ましたが、発熱はなかったので、施設側の判断で隔離して様子見を続けていました。ところが、喉がすごく乾くのに、水が喉を一切通らない症状に悩まされて点滴となり、その翌日には急患で病院に運ばれて、まもなく帰らぬ人となってしまったのです。

施設では面会が制限されていたので、姉との連絡は、枕元のスマートスピーカーだけが頼りでした。死後見つかった録音は40本におよび、死にいたるまでの3~4日間は、AIアシスタントのアレクサに何度も痛みと不安を訴え、「警察への行き方、教えて」と聞いている日さえありました。残された姉のPennyさんは、無念な思いをたくさんの人に知ってもらいたかったのではないかと考え公開に踏み切ったと、TV局に語っています。

米国初のクラスターの施設は罰金6500万円

シニアは重篤化するので施設は本当に大変ですよね…。米国初のクラスターとなったシアトル郊外の特別養護老人ホーム「 Life Care Center 」(37人死亡)なんて、国と州からの罰金が60万ドル(約6500万円)ですってよ? 業務上過失を問われているのは次のような点です。

・感染予防対策を怠った
・気管系の疾患が急増していながら州に報告しなかった
・適切な看護、感染への対応を怠った

1日 13,585ドル(約147万円)×6週間で6500万円という非常に厳しい措置です。施設(国の昨年の評価も5つ星満点)側は、「季節柄よくある症状で、新型コロナウイルスと結びつける要素は、最初は何ひとつなかった」「2月末に検査で陽性反応が出て状況はがらりと変わったが、その段階になっても対応はすべて施設まかせだった」と訴えています。

確かに市中感染は長らく検査の対象外でしたからね…。地元の大学と病院が何度も国に働きかけてやっと検査にGOサインが出たわけですから、施設のせいにばかりもできないような…。

死者32人をひた隠しの施設に捜査のメス

あまりの罰金に恐れをなしたのか、ボストン郊外の州立退役軍人介護施設「Soldiers' Home in Holyoke」では大量の感染と死者が出ているにもかかわらず行政への報告義務を怠り、闇から闇に葬り去ろうとしていた疑いが浮上。検察の捜査のメスが入ってしまいました。

「3月から入居者59人、職員31人が感染し、死亡25人中17人から陽性反応」(ABC)、「32人が新型コロナで死亡」(USA Today)と情報が錯そう中ですが、なにしろ大変な規模です。

職員が出社拒否する施設も

メリーランド州の「Pleasant View」では98人が感染、17人が死亡。カリフォルニア州リバーサイドの介護施設にいたっては、入居者約80人中34人が感染して職員が出勤拒否し、全員救出される事態に発展しています。

ペンシルバニア州の施設では42人が感染、5人が死亡。入居者は450人、職員は300人余りいるのですが、管理責任者はもう全員が感染しているのではないかとあきらめモードで語っていますよ…。

延命治療を断る病院

病院がパンクしている地域では、助かる見込みのないシニア、助かったとしても苦しみが長引くだけの持病のある方については、入院を受け付けないケースもあると、Washington Postは報じています。

米国の新型コロナウイルス感染者数は56万人を超え、死者2万2935人(2020年4月14日 午前4時時点)。正常化圧力が高まる影で、いくら叫んでも誰も助けに来てくれない部屋でたったひとりで死と向き合い、AIに助けを求める人がいるのかと思うと、なんとも言えない気持ちになります。壮絶な最期を乗り越えたすべての人に、無辺の愛と安らぎがありますように。

Sources: WFLA