新型コロナの影響で温室効果ガスの排出量がかつてないほど減少中

  • 12,946

  • author Yessenia Funes - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
新型コロナの影響で温室効果ガスの排出量がかつてないほど減少中
Image: Willian Lopez / Shutterstock.com|新型コロナの影響で空っぽなサンフランシスコの道路

こんな減り方、望んじゃいない。

新型コロナウイルスの影響で、世界はスリープモードに入っています。その影響で大気汚染が劇的改善したことはわかっていますが、いくつかの分析結果によると、温室効果ガスの排出量も減少しているそうですよ。もしかすると、新型コロナウイルスの大流行が、過去最大の年間排出量削減につながるかもしれません。

新型コロナによる経済活動停止で排出量が16億トンも減少

イギリスを拠点とする環境ニュースサイトであるCarbon Briefがデータを分析したところ、新型コロナウイルスの世界的大流行が、今年の炭素排出量を16億トン減少させる可能性があるのだそうです。これは、3億4500万台以上の車が道路から消え去ることに相当し、これまで記録された中で最大の年間排出量の減少になるのだとか。パンデミックの影響を受けている他の国や部門からの多くのデータを待っている状況でもこれなので、実際はもっと減少するかも。

ジョンズ・ホプキンス大学のデータ(米時間4月24日現在)によると、新型コロナウイルスによって世界で19万人以上が死亡し、270万人以上が感染しています。なので、排出量が大幅に減るのを手放しでよろこぶわけにはいきません。The Washington Postによれば、アメリカの失業率は20%に跳ね上がり、トランプ大統領による国家非常事態宣言以降に2200万人以上が失業保険を申請しています。この問題は悲しいほどリアルで、新型コロナウイルスが経済や公衆衛生に与える悪影響は、今後何年も続くと思われます。そんな中で、今回の温室効果ガス排出量の減少予測は、現在の状況がどれだけ前代未聞なのかを示すものでもあり、社会が新型コロナウイルスにどう対応してきたかを反映しているともいえます。

多くの人が在宅勤務をしている影響で、オフィスビルでは化石燃料の使用量が少なくなっています。外出自粛によって自動車の交通量が減り、航空機のフライト数が激減したことで、排出量はさらに減少しています。Reutersは、産業活動の鈍化によってエネルギー需要が16年ぶりの低水準になったために、排出量の減少傾向がさらに強まっていると伝えています。2020年を迎えたときはまったく違う世界にいるみたいですよね…。

壊滅的な気候変動を避けるには22億トンの排出量削減が必要

しかし、減ったといってもこの程度では危険な気候変動を回避するために必要なレベルには程遠いようです。Carbon Briefの分析によると、壊滅的な温暖化を止めるには、気温上昇を産業革命前比で1.5度以下に抑えなければいけないとのこと。そのためには、今後10年間で1年あたり22億トンの二酸化炭素排出量を削減する必要があるようです。ちょっと待って。新型コロナウイルスでこんなことになっても16億トンしか減らないのに、経済活動を再開したら22億トン削減なんて夢のまた夢なんじゃ…。

年間22億トンの排出量は、自動車4億7500万台以上に相当します。これだけの数の自動車が走らなくなれば、石油の消費量を50億バレル削減できるのだとか。私たちは、そこにたどり着くためにありとあらゆることをしなければいけません。ところが、世界のリーダーたちが気候危機の深刻さを真剣に受け止めるのを拒絶しているので、パンデミックによる世界規模の排出量減少が必要な削減量に最も近いという、とても残念な結果になっています。

感染力の強いウイルスに対応した結果として排出量が減っても、意味のある気候変動対策の代わりにはなりませんし、そもそもちっとも持続可能ではありませんよね。米エネルギー情報局(EIA)は、エネルギーに由来する二酸化炭素排出量が2020年には2019年比で7.5%減少するとの予測を発表しましたが、世界経済がちょこっと回復する2021年には、排出量が3.6%増加すると予想しています。増えちゃダメじゃん…。

排出量がサクッと減るような世界的危機を待つわけにはいきません。そうじゃなくても世界は危機だらけなのに。リーダーたちは一刻も早く行動を起こす必要があります。だって、気候危機への対応だけでもいっぱいいっぱいなのに、2つの災害同時に乗り越えるなんて困難なうえに致命的なんですから。お願いしますよ、本当に。


新型コロナウイルスに光を探すとすれば、大気汚染の改善、自然環境の回復、動物たちが自由を取り戻しつつあること、そして温室効果ガス排出量の減少などがあげられますが、こうした結果から私たちが「あれ? 気候変動対策を進めればこうなるんじゃ…?」と考えて、世界中が協力しあって惜しみなく努力すれば、別の方法(ウイルスはもう勘弁してください)でそこにたどり着けるような気がします。

Reference: The Washington Post

    あわせて読みたい