Apple、コロナ禍でリリースに困っていたソニーから新作映画をお買い上げ

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Apple、コロナ禍でリリースに困っていたソニーから新作映画をお買い上げ
Image: Sony Pictures Entertainment/YouTube 今オフィシャルトレーラーを見たら、すでに「Apple TV+で配信」と書いてありました

これを皮切りに、ハリウッド映画の大セールは始まるのか...?

新型コロナウイルス蔓延の影響を一身に浴びる映画業界。先日には、ストリーミング配信業界との抗争勃発で「映画はもはや、映画館ありきのビジネスではないのかも」といったレポートがありました。

そして新たに、Apple TV+を抱えるApple(アップル)が、コロナの影響でリリースできずにいた新作映画の買い取りに踏み切ったことが明らかになっています。

アップルとソニーの契約

Deadlineによれば、トム・ハンクス主演の新作映画『Greyhound (グレイハウンド) 』をめぐり、アップルはSony Picturesから7000万ドルで配信権を取得。同映画は、もともとアメリカで父の日に公開を予定していましたが、新型コロナウイルスの影響で脱線状態になっていたとか。今後の配信予定日に関しては、アップルやソニーに問い合わせましたが、現時点で回答がありませんでした。

CNBCによると、ソニーが今回オンデマンドへの移行を決めたのは、リリースの遅延に対する懸念があったからとのこと。今年後半から2021年に後ろ倒しされた映画も溜まってきていたのでしょう。映画のライセンスについて、ソニーのほうからアップルやネットフリックスに話を持ちかけていたという情報も。製作費は約5000万ドルと噂されていて、15年間の契約で7000万ドルというアップルの商談はソニーにとっても美味しかったのかもしれません。

新たな時代の始まりか

今回の契約が注目すべき理由はいくつかあって、ひとつは、アップルが外部スタジオによって制作された上質なコンテンツを寄せ集めようとしていることがさらに明確化したこと。おそらく競合ストリーミングサービスの(増えゆく)コンテンツ量に対抗策の一環なのかもしれません。

ふたつめは、CNBCによるとトム・ハンクス自身が契約を承諾する必要があったこと。映画館で公開することなく、製作後にそのままストリーミング配信することをOKしたのは、彼にとっても初めての試みだったはず。これまでにハリウッドの大御所たちがNetflix、Hulu、HBOなどのプラットフォームに参加してきたことはありましたが、それでも大きな決断だったことには間違いないでしょう。

最後に最も重要なのは、今回の契約を皮切りに、多くのスタジオが大規模な予算の作品を買い求めることが予測できます。映画館の未来は今後どうなるのか、今のところはまだ確かなことを言える段階ではないかもしれません。ただ、たとえば最近では『トロールズ ミュージック☆パワー』が新型コロナウイルスの影響で映画館公開を諦め自宅配信に移行して大ヒットを記録。NBCユニバーサルの最高幹部の一人が、今後の映画は映画館とオンデマンドで公開する見込みだと発言し、映画配給会社AMCとのあいだに大きな亀裂を生みました。

『トロールズ ミュージック☆パワー』のデジタルリリースが成功したのには、コロナの影響で家族時間が増えたことを想像しただけでも納得できる部分があります。これに続き、Disney+からは映画『アルテミス・ファウル』が近日公開予定です。デジタル配信に関心があるのは、もちろんファミリー層だけではありません。最近の調査では、約1000人の回答者のうち70%が、コストがほぼ同じでも両方の選択肢があれば、新作を見るなら映画館よりも自宅が良いと答えたのだとか。

残る疑問は...

ひとつ気になるのは、映画製作スタジオが自社ストリーミングサービスを抱えている場合にはどうするのかということ。アマゾンやディズニーのような大手スタジオであれば、多くのサービス加入者数を擁する(パンデミックの影響でさらに増加傾向にある)ことを踏まえても、独自のプラットフォームで映画を公開するのは理にかなっています。

一方、映画館向けに作られた高予算の作品を、登録者数の少ないサービスで限定的にリリースするのはあまり賢明ではありません。たとえばソニー・ピクチャーズを母体とするCrackle、NBCユニバーサルが今年7月からローンチ予定のストリーミングサービスPeacockなどがあります。NBCユニバーサルのような大手が、ユニバーサル・ピクチャーズの作品をプライムビデオなどで広範にリリースするのか、それとも公式にローンチされていない自社のPeacockでリリースするのかは、今後のニュースに注目する必要がありそうです。

おそらく理想的なのは、今回のアップルとソニーの契約のように、製作費を上回る取引ができることかもしれません。新型コロナウイルスの影響で製作が中断するなか、アップルのように作品を買い取る意向のある企業も少なくないはず。

ちょっと言い換えると、新型コロナパンデミックを機に、ハリウッドでは大作のセールシーズンを控えていて、ストリーミングサービスは買い取りの準備状態。...ともなれば、私たちのおうち時間に選べる作品も(新作を含めて)今後増えることになりそうです。

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