なんでガジェットってこんなに修理しにくいの? わざと? 財布にも環境にも悪いのに…

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  • author Dharna Noor - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
なんでガジェットってこんなに修理しにくいの? わざと? 財布にも環境にも悪いのに…
Image: Getty

修理する権利があるということは、企業には修理させない権利もあるということ?

ちょうどこの記事のインタビューをしているときに、私の携帯電話は一気に壊れはじめました。私のiPhoneは数年前のものということもあって、バッテリーの持ちが以前とは別物。他の部分は正常に動作しているので、バッテリー交換が論理的な解決策のはずですよね。ところが、そうはAppleが卸さないのです。同社は修理業者に厳しすぎる制限を課して、Apple Storeで79ドル(約8,500円)かけてバッテリーを交換するよう勧めてきます。

修理できないために埋め立てられる「電子ごみ」が社会問題に

これは、消費者にとってはウザくてコストがかかるだけという問題ではありません。環境への影響もとてつもなく大きいんです。でも、このヘンテコな状態は、変えようと思えば変えられます。企業は、長持ちする製品をつくって、ユーザーに自分で携帯電話を修理する権利を与えることもできるんです。そしてそれは、あふれかえっている電子ごみ対策にもなります。企業イメージがよくなって、ユーザーのお財布にも優しくて、環境にも優しくて、ウィン-ウィン-ウィンじゃないですか。

電子ごみ(e-waste)は、世界で最も急速に増加している廃棄物で、アメリカでは毎日約41万6000台の携帯電話が廃棄されています。電子ごみのうち、リサイクルされるのは約20%にすぎません。ほとんどは埋め立て地に直行して、そこから有毒な汚染物質が水路や土壌、大気中に放出されてしまいます。修理がほとんど不可能な製品は、生産量の増加をうながして、温室効果ガスを大量に排出させてしまうのだとか。

修理させたくない企業たち

そんなことはどこ吹く風といわんばかりに、企業は消費者がガジェットを安い値段で修理するのを邪魔したり、寿命が短すぎるガジェットをつくったりしています。でも、「もっとも修理しにくい」テック製品を市場に出しているのは、Appleだけではないらしいですよ。例えば、任天堂はスイッチのジョイスティックが交換できないようにしているため、消費者は新しいコントローラを買うしかありません。また、ニコンは5月からサードパーティーの修理業者を認めなくなるため、壊れたカメラの修理が難しくなります。どういうわけか、こんなに消費者と地球を困らせているというのに、これって完全に合法なんですって。へんなの。

Open Markets Instituteの政策アナリストであるDaniel Hanley氏は、Eartherにこう話しています。

これはまさに独占管理の問題です。これらの会社はあからさまに修理できないようにしています。

独禁法で対処できるはず。だけど…

Hanley氏が共同執筆した新たな報告書の中で、Open Markets Instituteは、企業による妨害と汚染のサイクルを断ち切るための最善の方法は、規制の強化だと主張しています。議員や規制当局は、「修理市場を再開し、支配的な企業とサードパーティーの修理業者、そして消費者の間のバランスを再調整する」ために、独占禁止法を使うことができるのだそうです。

既存の独占禁止法や判例を利用して、企業が保証をどのように利用しているかを問うことだってできます。一部の企業は、1975年の法律で禁じられているにもかかわらず、消費者が自分で修理しようとしたガジェットの保証を無効にしようとしています。

Hanley氏はこう言います。

米連邦取引委員会は独禁法を使えるはずなのですが、使うつもりはないようです。

トランプ政権がどうするつもりなのかはまったく不明です。米国議会図書館は2018年に、消費者と修理業者がサードパーティーのソフトウェアを使って機器のメンテナンスを行なうのは可能という判断を下し、連邦取引委員会は2019年7月に、修理する権利に関するワークショップを開催しました。反トラスト法の行使は、連邦レベルでは下降気味になっています。一方、米民主党の大統領予備選でバーニー・サンダース氏とエリザベス・ウォーレン氏が支持したものの、議会が修理の権利を法制化する可能性は低いと思われます。でも、反トラスト法は別に連邦レベルじゃなくてもいいかもしれないそうですよ。20の州が修理する権利の法制化を検討していて、もしかすると近いうちにマサチューセッツ州が、最初にこの原則を実施する州になるかもしれません。

もちろん、修理する権利ができたところで、電子ごみの問題が完全に解決するわけではありません。

Hanley氏はこう述べています。

電子機器あるところに電子ごみあり、です。でも、問題は消費者がどれだけのごみを出しているか、ではありません。かなり悪質なことに、電子ごみは修理をさせないために意図的に生み出されているのかもしれません。こんなことになっているのがとても残念です。


近頃は、携帯電話の値段がパソコン顔負けになってきているので、もしも修理して使い続けることができるのなら、訳者は2代目なき初代Essential Phoneを使い続けたいところなのですが、修理する権利関係なく、それはかなわぬ夢かも。それが無理なら、ずっと恋い焦がれている環境に超優しい「Fair Phone」にしたいのだけど、いったいいつになったらアメリカにやってくるんだろう…。

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