生態系の崩壊、あと10年のうちにはじまるかもしれないって…

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  • author Dharna Noor - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
生態系の崩壊、あと10年のうちにはじまるかもしれないって…
Image: Getty

新型コロナが落ち着くまでに何年かかかるとすれば、あと10年なんてあっという間なんじゃ…。

世界は6度目の大絶滅の危機に直面しています。また、多く報告示すように、地球温暖化によって絶滅が危惧される種も増えています。Nature誌に発表された新しい研究は、生態系全体の変化と危機の全容がどのようなものか、深い部分までみせてくれています。

気温上昇によって生命種絶滅の規模が限界を超えると、生態系全体が崩壊してしまう恐れ

内容をみると、生態系の先行きは真っ暗という感じです。生物多様性を失う様は、積み木崩しゲームのジェンガみたいなもの。地球が生態系に大きな影響をおよぼす温度を超えることで、生態系全体に影響する数の生命種が絶滅すると、それによってすべての構造がある時点で突然崩壊するかもしれないのだそうですよ。研究は、気候危機によって、生態系が数年のうちに突然この限界値を超える可能性があることを示しています。ああ、これはまた気がめいるパターンの研究だ…。

研究者が1850年から2005年までの気候データを分析したところ、鳥類、ほ乳類、爬虫類、両生類、魚類、植物を含む30,652種が、これまでで最も高い年平均気温の中で生きていることを特定しました。そして、2100年までの気候変化の予想に基づいて、生物種がいつ絶滅する恐れがある温度に直面することになるのかを予測したそうです。

これまで行なわれてきた研究では、「個々の種の軌跡だけを経時的に示すか」や、「将来の特定の時点でどれだけの種を失うか」を表すことに焦点が当てられてきました。今回の研究は以前のそういう研究とは違って、特定の生態系内の多くの種が同時にかつてない高い気温の影響を受けると、「生態系を完全にひっくり返しかねない『急激な』崩壊を引き起こすこと」を示しています。

筆頭著者でもあるロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのAlex Pigot研究員は、論文についてメールでこう述べています。

ある地域では、ほとんどの種はしばらくの間、これまでに経験した気温条件の範囲内で生き延びることができるはずです。しかしながら、ある種にとって気温が過去に例のないレベルまで上昇すると、種の存続が可能であることを示せるだけの証拠がほとんどありません。

すでに生態系崩壊の兆候はあちこちに…

今後も温室効果ガス排出量が増え続けて地球温暖化が進めば、早ければ2030年にも熱帯の海洋が生態系全体を崩壊させるような気温のしきい値に達してしまう可能性があるのだそうです。また、産業革命からこれまでの気温上昇は約1度ですが、すでにそれによる被害が生じている兆候もみられるのだとか。

前出のPigot氏はそのことについてこう語ります。

私たちの研究は、潜在的に危険な温度に生物種がさらされてしまうと、グレートバリアリーフでほぼ毎年起こるようになったサンゴ礁の大規模な白化みたいな現象が、熱帯の海洋ですでに進行していることを示唆しています。

たしかに、4月はじめに発表された研究では、いまサンゴ礁に起こっている前例のない大規模な白化現象がくわしく説明されています。また、熱帯林や低緯度地域の生態系は、一般的に高い気温に耐えることができますが、このような地域でも、2050年までに同じようなの影響がみられる可能性があるようです。どこもかしもダメっぽい。

最悪のケースを避けるには気温上昇を2度以下に

望みがまったくないわけではありません。もしも(現時点ではものすごく大きなもしもですが)世界がひとつになって、気温上昇を産業革命前比で気2度以下に抑える方向に進むことができれば、生態系崩壊の大部分を防げるかもしれません。この場合、突然のシステム全体の変化に直面するのは、地球全体の生態系の2%未満で、20%以上の種が失われるのだそうです。

Pigot氏はこう説明しています。

気温上昇を2度以下に抑えることで、時間とともに蓄積する気候リスクのカーブを効果的に「平坦化」すれば、最もリスクの高い種が限界を超えた高い気温にさらされるのを何十年も遅らせることに繋がり、それによって何千もの種が高温に直面するのを完全に回避できます。


私たちが忘れがちなのは、人間も「生態系」の一員で、多様な生物種を大量に失えば、その影響からは逃れられないということです。生態系が健康な状態を保って、回復力を維持することが、私たちの健康で幸せな生活にもつながっているんだという意識をいつも忘れずに持っていたいですね。生態系を守ることで、生態系に守ってもらう。自然と人間が共生する環境をつくっていくことが大切なんだろうな。

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