海岸線が海に? 2100年にはアメリカで洪水が毎日起こるかも

  • author Yessenia Funes - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
海岸線が海に? 2100年にはアメリカで洪水が毎日起こるかも
Photo: Shutterstock.com

目の前に広がる海が、足元に広がる海に変わっちゃうかもしれません。

一生に一度の洪水が毎日起こるようになるかも

海面上昇によって潮がさらに高くなることで、アメリカはすでに洪水の危機に直面していますが、それでも今がいちばんマシみたいです。というのも、今後数十年のうちに、洪水のリスクが5年ごとに2倍になるという研究結果が発表されてしまったんです。どういう意味かというと、昔だったら一生に一度レベルだった洪水が、毎年、ヘタすると毎日起こるかもってことらしいですよ。もう事態は悪くなる一方です。

Scientific Reportsに発表された新たな研究は、海面上昇の予測とアメリカ国内の200地点以上の潮位計による観測データに基づくもので、潮汐と高潮(「波」じゃなくて「潮」)の現在の傾向から、今後数十年間でどんな変化が起こるかを知れるのだとか。研究チームは、少なくとも10年分のデータがある地点だけを調査したそうです。

海抜が低いマイアミや島しょ国は地図から消える可能性

これまでの研究では、アメリカのほとんどの砂浜が海面上昇によって浸食され、沿岸の保護がままならない状態にあるかもしれないという結論が出ていて、このままだと自然な再生ができなくなる恐れがあります。マイアミのような主要な沿岸都市や脆弱な海抜の低いの島しょ国は、地図上から消えちゃうかもしれません。

どれくらい早く起こるかは排出量削減の時期次第

過去に行なわれたほとんどの研究は、「未来」の範囲を今世紀半ばや今世紀末までに設定していますが、今回の研究は、それよりもはるかに早い時期に海岸がどうなっちゃうのかを調べています。研究チームは、「極端な洪水」の定義を、「現在の海面レベルで、特定の年に特定の場所で2%の確率で起こる洪水」としています。でも、地球が温暖化すればするほど、今後数十年間で海面は上昇すると予測されています。どれくらい上昇するかは、人類がいつ炭素の排出量を削減するかに大きく依存しているそうです。

この研究が用いたのは、二酸化炭素排出量を削減する気があまりない現状維持のシナリオ。その場合だと、2025年以降はほとんどの沿岸地域で極端な洪水が起こる確率は5年ごとに倍増してしまうんですって。つまりこれって、2050年までには極端な洪水が毎年起こるかもしれないということなんです。で、さらに悪いことに、2100年までにはなんと、まいにち満潮になると洪水が起こるようになるんだそうですよ。潮が満ちるたびに洪水ってなにそれもう海なんじゃ…。

たかが1cm。されど1cm

また、海面レベルのわずかな上昇であっても、洪水が起こる頻度に指数関数的な影響を与えることがあります。この研究結果によると、海抜の低い地域では、海面がたった1cm上昇するだけで、極端な洪水の確率が2倍になってしまうらしいです。全体的に見ると、多くの場所ではわずか10cmの海面上昇でも洪水の危険性が倍増すると思われます。いまはたまに起こっている洪水がマイアミやホノルルのような多くの都市で日常になって、沿岸都市生活そのものが災害になってしまいそうな感じです。。

米国地質調査所の海洋学者であるSean Vitousek氏は語ります。

このような厄介な洪水が起こる地域は広がり、頻度や深刻度も増すため、沿岸都市の生活がますます困難になります。将来的には、低地では数十センチの洪水でほとんどの道路が完全に封鎖されてしまうでしょうね。

研究は悪夢の半分しか語っていない

さらにさらに悪いことに、この研究はエルニーニョのような洪水パターンに影響する他の気象現象を考慮に入れていません。また、気候変動による強いストームや降水量の増加が洪水にどう影響するかを予測するためのシミュレーションも行なわれていません。つまり、事態はさらに悪化する可能性があるってことです。悪夢じゃない夢プリーズ…。

先ほどのVitousek氏はこうも述べています。

(気候変動の影響を考慮していない)今回の研究は問題の半分しか語っていないかもしれません。それでもこれだけ深刻なのですから、海面上昇は非常に重要だということです。

私たちは、異常気象に備える時間があまりないことも、海抜が低い沿岸地域では特にリスクが高くなっていることも知っています。そして、分析の結果は、排出量を削減するために思い切った行動をとっても、最も脆弱な海岸都市が安全ではないことを示しています。


海面上昇は、台風やハリケーンが近づくときにもっとも大きなインパクトを与えます。たった1cmでも、台風と高潮、満潮時が重なると、都市機能やそこに暮らす人々の生活に大きな爪跡を残します。貿易や交通の要所で、多くの人々の生活拠点になっている海岸都市を、海面上昇と気候変動の危機から守るのは、世界が抱える緊急の課題です。

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