見た目からは想像できないほどパワフル。
4月24日の金曜日に発売されたiPhone SE(第2世代)。発表前は、SEなの?9なの?小型に戻るの?などなど様々な噂や予想が飛び交いました。たった400ドルで発売されたこの新型iPhone SEに、米Gizmodo編集部のCaitlin McGarry記者はどのような印象を受けたのでしょうか。iPhone SE (第2世代、以下iPhone SE)のレビューをどうぞ。
まず初めに思ったのは、iPhone SEの見た目がiPhone 8にそっくりってこと。4.7インチのRetina HDディスプレイ、太めのベゼル 、ホームボタンの指紋認証証「Touch ID」などなど。
外見はたしかに似ていますが、中身はちゃんと違いますよ。iPhone SEには、iPhone 11シリーズと同じ「A13 Bionic」が搭載されているのでより速く快適に使えるのもポイントです。また、iPhone SEのカメラはiPhone 8と同じものが使われていますが、「A13 Bionic」のおかげでカメラもアップグレードしています。(あとでiPhone 11 Pro Maxと比較した写真をいくつかご紹介しますね)。
正直な話、私はこのiPhone SEを、初代SEの後継機だとは思っていません。なぜならそれは、あの頃の「小さなiPhone」ではなくなってしまったから...。大きさにこだるのはさておき、実際にこのiPhone SEを使って感じたのは、予想よりも優れていたこと、ほとんどの人にとってこれが現時点で、最高のiPhoneであるということです。
iPhone SE(2020)

これは何?:最も安くて、小さい、最新のiPhone。
価格:400ドルから。(税込49,280円〜)。
好きなところ:片手でも使いやすい大きさ、パワフルな処理能力、便利な指紋認証「Touch ID」、素晴らしいカメラ、お手頃価格のiPhone。
好きじゃないところ:大きいスマホに慣れている人は、小さなスクリーンが窮屈に感じる。バッテリーの持ちがそれほど良くない。
「A13 Bionic」のおかげでカメラがパワーアップした
iPhone SEを受け取った時、私はあることに気がついたんです。いつもなら多くの人で賑わうビーチや観光地などで写真を撮影し、カメラ性能についてレビューするわけですが、この状況ですと不可能です。なので、今回はいつもと違いますが、アパートの周りやバルコニーで写真を数枚撮影してみました。
肝心なiPhone SEで撮影した写真は、想像以上のクオリティに思わず感動しました。iFixitの完全分析結果によると、iPhone SEの背面カメラは3年前に発売されたiPhone 8と同じシングル12 MP カメラ(広角)で、フロントカメラも同じとのこと。
「A13 Bionic」はまさに、魔法のよう。ISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)とNeural Engine(ニューラルエンジン)とiOS13の最強の組み合わせが、ハードウェアの足りない部分を十分にカバーしています。(iPhone 11シリーズと比較して、センサーやフロントカメラが違ったり、望遠・広角レンズが無かったりなどなど)。

iPhone 11 Pro Maxにも引けを取らないクオリティ
先日、私はiPhone SEのカメラをiPhone 11 Pro MAXのと比べてみました。結果は、400ドルのiPhoneでも、ポートレートモードで綺麗に撮れましたし、スマートHDRのおかげで逆光でもちゃんと綺麗に撮れてることに驚きました。
逆に弱点だったのは、iPhone SEには「ナイトモード」や「Deep Fusion」がないので、暗い環境での撮影や明るい場所で撮影した写真を見ても、明るさや色合い、鮮やかさに差が出ていました。また、iPhone SEは、最大5倍のデジタルズームが可能ですが、iPhone 11 Pro Maxと比較するとシャープさは劣れど、それなりに撮れていました。比較した写真を見てもらえればよく分かると思いますが、iPhone SEで撮影したほとんどの写真は綺麗に撮れてます。ただ、夜景をもっと綺麗に撮りたい、望遠レンズも欲しい!って場合は、もうちょっとお金をかける必要がありますね。(もうちょっとじゃなくて、もっとかな。)

iPhone SE(第2世代)のポートレートモードで撮影。

iPhone 11 Pro Maxのポートレートモードで撮影。

iPhone SE(第2世代)で撮影した逆光のヤシの木。

iPhone 11 Pro Maxで撮影した逆光のヤシの木。

iPhone SE(第2世代)の5倍デジタルズームで撮影したグリフィス天文台。

iPhone 11 Pro Maxの5倍デジタルズームで撮影したグリフィス天文台。

iPhone SE(第2世代)で夜間に撮影した花。

iPhone 11 Pro Maxの「ナイトモード」を使って夜間に撮影した花。

iPhone SE(第2世代)のポートレートモードで撮影した自撮り写真。

iPhone 11 Pro Maxのポートレートモードで撮影した自撮り写真。

iPhone SE(第2世代)で明るい時間帯に撮影した写真。

iPhone 11 Pro Maxで明るい時間帯に撮影した写真。
これらの比較写真を見て分かるように、iPhone SEとiPhone 11 Pro Maxを比較しても、いろいろなシーンにおいて素晴らしい結果を残しています。400ドルで販売されている他のスマートフォンを見回したところで、フラッグシップモデルに対抗できるのは、ほんの僅かです。唯一頭に浮かんだのは、こちらもお手頃価格で有名なGoogle Pixel 3aくらいですね。
個人的にTouch IDは時代遅れと思ってましたが、Face IDと違ってマスクを付けててもロック解除ができるので、大変便利でした。

Apple Payを使ってお店で代金を払う際、Face IDの場合はマスクを着けていたことから毎回パスワードを入力する必要がありましたが、Touch IDの場合は、ただ指を載せるだけで決済が完了するので本当に助かります。
ディスプレイはちょっと窮屈に感じるかも
iPhone SEのベゼルは、数日使っても特に気になりませんでしたが、ディスプレイは窮屈に感じました。以前使っていたiPhone XS(5.8インチ)やiPhone 11 Pro(5.8インチ)の大きさに慣れていたのもあって、もう少し大きめのディスプレイがいいなって...。ですが、iPhone 8(または、それ以前のモデル)から買い替えを検討している場合は、そこまで気にならないと思いますよ。

パフォーマンスに関しては、「A13 Bionic」の存在がかなり大きいですね。綺麗に写真を撮ることも、ARアプリを使うことも、スムーズなゲーム体験も可能にしてくれるわけですから。
500ドル未満のスマートフォンではかなり珍しいことなんですが、iPhone SEはワイヤレス充電に対応しています。(Google Pixal 3aは非対応)。気になるバッテリーですが、日中YouTubeで動画を見て、Slackでメッセージを送って、運動中に音楽をストリーミングで再生して、インスタグラムをチェックした結果、約16時間使うことができました。編集部のバッテリーテスト(動画を再生し続ける)では、9時間ちょっとでiPhone 8とほぼ同じ結果となりました。もしもバッテリーにこだわるなら、Proモデル一択に限ります。
また、700ドルのiPhone 11も優れていますよ。編集部のバッテリーテストでは、12時間ちょっとを記録しています。iPhone SEに300ドル足すことで、より長いバッテリー、大きなディスプレイ、デュアルレンズ(広角と超広角)、ナイトモードとDeep Fusionが手に入りますが、6.1インチの本体を持った時のズッシリ感はありますのでご注意を。

新型コロナウイルスの影響で、今も多くの人々が自宅待機、テレワークなどを実施しています。そんな状況の中、高価なフラッグシップモデルに手を出そうとする人も少ないはずです。そこで登場したiPhone SEは、低価格でありながらたくさんの機能を備えたiPhoneです。
この時代スマートフォンを持たずに生活を送るのはなかなか困難です。新しいスマートフォンが必要で、できるだけ予算は抑えたい。といった人にとって、iPhone SEは最高のスマートフォンです。
まとめ
・400ドルのスマートフォンで撮影したとは思えないクオリティの写真。
・ワイヤレス充電に対応。
・手が小さい人にはちょうど良いサイズ感。大きいディスプレイに慣れていると、窮屈に感じる。
・「A13 Bionic」は、iPhone SEをより上質なスマートフォンへと変えてくれた。