Pixelといえばカメラ、でしたが…。
Google(グーグル)のハードウェア担当チーフであるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏はかつて、同社は「5年後にはハードウェアで大きな売り上げを上げているだろう」と期待していました。しかしPixel 4の売れ行きは期待外れとなり、Pixelチームの経営陣が刷新される中で、グーグルの野望は大きく後退しているのかもしれません。
Pixelカメラチームリーダーが退社
The Informationによると、著名なエンジニアであり、またPixelカメラチームのリーダーのひとりであるMarc Levoy(マーク・レボイ)氏が今年3月、Google(グーグル)を退社していたことが伝えられています。これは、Pixelスマートフォンの戦略に大きな影響を及ぼす事態かもしれません。
Googleに入社する前、Levoy氏はスタンフォード大学の教授を務め、その後にGoogle ストリートビューに関連するプロジェクトに携わっていました。彼はこの分野を発明したわけではありませんが、アルゴリズムや機械学習、コンピュータ処理を使って伝統的な写真を強化する処理の「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」という言葉を生み出したことでも知られています。Levoy氏は2014年にグーグルに入社し、Pixelカメラチームのトップのリーダーのうちのひとりに就任しました。
Pixelシリーズのカメラの強いところ
Pixelシリーズの発売以来の最大の強みのうちのひとつは、GoogleのHDR+処理や低照度でのNight Sight(夜景)モードなどの機能による、カメラ画質の向上です。昨年、米ギズモードはLevoy氏とPixelカメラ部門でプロダクトマネージャーを務めるIsaac Reynolds(アイザック・レイノルズ)氏にインタビューする機会がありましたが、当時でもGoogleのスマートフォンによる写真に対するアプローチが、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)、Huawei(ファーウェイ)を含むライバルのスマートフォンメーカーに、影響を与えたことは明らかでした。
専用のナイトモードのような機能は、今ではハイエンドやミッドレンジのスマートフォンでは標準的な機能となっており、さらに最近は低価格のスマートフォンでも採用され始めています。同じことは、HDR撮影についても言え、つい最近までオプションの拡張機能だったものが、ここ数年ではほとんどのスマートフォンでデフォルトの撮影機能となりました。しかし外から見る限り、Levoy氏が去ることは、Pixelカメラチームにとって大きな損失のように思えます。
Pixelシリーズは決して失敗作ではない
なお、次期モデルのPixel 5ではミッドレンジ相当のプロセッサやスペックが噂されています。Googleは古典的なハイエンドモデルから、Pixelスマートフォンを差別化しようとしているのかもしれません。
グーグルのPixelスマートフォンは、同社が望んでいたような大成功を収めることはできなかったかもしれませんが、たとえ才能溢れる人材を失ったとしても、判断を下すのは時期尚早でしょう。Nest HubやGoogle Nest Mini 2のような他のグーグルのデバイスは成功していますし、同社が魅力的なデバイスのポートフォリオを作ることに本当に苦労しているようにはみえませんから。