なるほど、味のシンセサイズ!
VRが視覚情報の仮想化ならば、味覚の仮想化はどうなのか? 明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の研究者たちが開発した「Norimaki Synthesizer」は、その答えに近づける発明かもしれません。
味を再現できる「味ディスプレイ」
Norimaki Synthesizerは任意の味を表現することができる、いわば味ディスプレイ。人の味覚は基本味と呼ばれる、甘味・苦味・酸味・塩味・うま味の5種類からなると言われており、これら5種類の電解質のゲルがNorimaki Synthesizerには組み込まれています
あとはNorimaki Synthesizerを舌にあてながらゲルに電気をかけると、ゲル内部でイオンが電気泳動し、舌が味を感じ取る…という仕組み。かける電気量を調節すれば、塩味を強めたり苦味を弱めたりと、自在に味を合成できるワケですね。未来のキャンディーだこれ…!
味が共有できる!
研究者たちは、この技術によって遠隔地に味の情報を正しく伝えたり、ウイルスなどの感染リスクにさらされることなく味を共有できると説明しています。料理や味に再現性をもたせる術として、こうした科学的な記録方法が今後は出てくるのかも。
ただ、人は基本味以外にも味を感じることが近年明らかになっています。それに香り、風味も味に欠かせない要素です。香りのVR化はすでに着手されているジャンルですから、味ディスプレイ×香りVRの組み合わせで、三つ星レストランの味を再現したり、あるいは昔の食事を再現したりできたら、なんだか人類史的に捗りそうな気がしますよ。