Siriとの会話が盗み聞きされた件、Appleに制裁なし? と内部告発者が訴える

  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • R.Mitsubori
Siriとの会話が盗み聞きされた件、Appleに制裁なし? と内部告発者が訴える
Image: Victoria Song (Gizmodo)|気持ち悪い…

さみしい、ってつぶやいたの聞かれた!?(恥)

昨年の夏、「Apple(アップル)の請負業者が、ユーザの個人的な会話を盗み聞きしている」と、匿名の業者から告発がありました。これに対し、Appleは「録音はしてたけど、わざとじゃない!」と釈明しています。同社いわく、Siriの機能を改善するための「グレーディング」システムの一環で、「知らないうちに録音してしまった」とのこと。

しかし、内部告発者はこれで納得しませんでした(そりゃそうか)。人々のプライバシーを侵害しておきながら、Appleに何の処罰もないのはおかしい! と非難しています。彼がヨーロッパのデータ保護規制当局あてに送った手紙が公開されたため、内部告発者の素性が明らかになりました。

内部告発に関してAppleが謝罪

トーマス・ル・ボニエクさんは、アイルランドのコークにあるAppleの欧州本社で、下請業者として働いていました。英The Guardianによると、当時彼はユーザーからの要望をフランス語と英語に書き換える仕事をしていましたが、「倫理的な懸念がある」として昨年退職したそうです。

彼の告発がニュースになると、世間は怒り心頭。Appleが謝罪文を出す事態になりました。それがこちら:

私たちがSiriのクオリティを評価するプロセス(私たちはグレーディングと呼んでいます)の一環として、Siriで録音された音声を人が聴いているという最近の報道にお客様が懸念を抱かれていることを知っています。

私たちはお客様の心配の声を耳にし、すぐにSiriへの頼みごとを人間が聴いて行なうグレーディングを停止し、私たちのやり方と方針を徹底的に見直す作業に入りました。

結果的に、Appleはこの問題に関連する300名の請負業者との契約を打ち切り、2019年秋までグレーディングシステムを一時停止すると発表しました。システム再開後も、グレーディングシステムは各ユーザの選択制(オプトイン)とし、録音された音声もAppleの従業員以外は聞かない、と約束しました。また、「誤って」収集された音声は、削除されるとのこと。

Appleに対しての懐疑は消えない

でも、基本的に、それだけでした。だからこそ、ル・ボニエクさんは不満だったです。 ル・ボニエクさんは、「Apple(と、その関係会社)が今も基本的人権を無視・侵害し、大量のデータを収集し続けているのでは、と懸念している」と手紙に記しています。

ヨーロッパの市民は、EUには世界で最も強力なデータ保護法があると聞かされている。にもかかわらず、大手ハイテク企業が全市民を盗聴していることを、心から憂慮している。法律を議会で通すだけでは足りない。プライバシーを侵害した者に、それを執行する必要がある。

ル・ボニエクさんは自身の手紙のなかで、彼が毎日「数百件もの録音データ」を聞いていたと語っています。これらはすべてiPhone、Apple Watch、iPadなど、あらゆるAppleデバイスで録音されたもの。

自分がしゃべったことが文字起こしされているなんて、Appleデバイスのユーザーはまったく知りません。しかもユーザー自身だけじゃありません。その親族や友人、子供、同僚、さらにはデバイスの近くにいた人の声までが、しっかり録音されているわけです。

名前や住所、検索履歴や話し合いの内容、映画視聴や薬物使用、さらには男女のあんなことやこんなことなど、デリケートな情報がAppleの請負業者に筒抜けだったとは…。中には、Siriを起動するつもりがなかった、というケースもあったでしょう(ご存知のとおり、Siriはちょっとおバカなので…)。

Appleは「プライバシーに配慮した大手ハイテク企業」を自称していますが、この一件で有名無実の状態に。公式に謝罪し、Siriの評価方法を変更したとはいえ、ル・ボニエクさんの言うように、長年こんな行為が横行していたのにお咎めなしというのは、なんとも…。罰金もなければ、規制当局の調査も入っていませんから。

Google(グーグル)Amazonでは同時期に、外部業者が音声録音を聞いていたというスキャンダルを起こしていますが、いずれも処罰や調査を受けていません。

音声アシスタントは根本的な欠陥がある

規制当局がル・ボニエク氏の抗議行動を深刻に受け止め、調査を開始するのかどうか、まだわかりません。一方で、音声アシスタントのテクノロジーには、プライバシーにかかわる根本的な欠陥があるという厳しい現実があります。マイクを常時オンにしておくと、必然的に録音されちゃいけないものまで録音されてしまいます。しかし残念ながら、これらの音声アシスタントを改良するにはまだまだ人の手(耳?)によるチェックが必要。でないと、彼らは私たちのこと、ちゃんと理解してくれませんから。

個人的な会話が、名前も顔もわからない誰かに「レビュー」される可能性は低いものの、ゼロではないわけです。そうなると、プライバシーを鉄壁ガードするなら音声アシスタントを完全にオプトアウトするしかないってことですね。

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