ライゾマティクス真鍋大度とMUTEK竹川潤一が見せる、“アグレッシブなSTAY HOME”

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  • author 照沼健太
ライゾマティクス真鍋大度とMUTEK竹川潤一が見せる、“アグレッシブなSTAY HOME”


今だからできること。これから目指すこと。

新型コロナウイルスが猛威を振るい、全国的に外出自粛状態となっているこの約1カ月の間にも、数々のクリエイターやアーティスト、企業や個人が、新しい創作や活動の場を生み出し続けています。

日本のテクノロジーやメディアアートを牽引し続けるライゾマティクス代表の齋藤精一さん、真鍋大度さんが、緊急事態宣言前の4月3日(金)から始めたオンラインイベント「Staying TOKYO」もそのひとつ。

そして、国際的な文化芸術イベント/組織である「MUTEK」も、「“MUTEK.SF: NEXUS Experience” Festival」を、日本時間の5月24日(日)、25日(月)のそれぞれ8:00-16:00に、オンラインで開催する予定です。

真鍋大度さんとMUTEK.JPの竹川潤一さんは普段から交流のある仲。お二人にそれぞれの取り組みと現状に対する課題、未来への展望を、オンラインで聞きました。

「Staying TOKYO」からムロツヨシさんとのコラボまで。真鍋大度さんの「STAY HOME」

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毎週金曜に開催されている「Staying TOKYO」公式ページより
Screenshot: Staying TOKYO

──ライゾマティクスで行っているオンラインイベント「Staying TOKYO」について教えてください。

真鍋:外出自粛要請がなされる前の段階で「家にいなければいけないなら、家からできるやり方で発信しよう」と、僕とライゾマ齋藤の二人で相談し、始めたイベントです。具体的には、僕らが普段やっている「Flying Tokyo」という、親交のある国内外のアーティストを招いたトークと音楽を組み合わせたイベントを、ストリーミング環境に乗せるかたちで開催しています。その中でも、「Staying TOKYO」では、イベントをやるごとに何かしら新しいことをするべく毎回実験を行っています。

──具体的には、どのような実験を行っているのでしょうか?

真鍋:僕らが普段使っている、ローカルエリアネットワーク内で音響機器や映像機器をコントロールするプロトコル「OSC」を、ワイドエリアネットワークを超えても使える環境を作って、照明や音響をリモートコントロールできるようにしました。

もう少し詳しく説明するとp2p-like-communicatorというツールを開発して、OSCのメッセージをsocket.io(編注:リアルタイムWebアプリ用のJavaScriptライブラリ) を用いて、ワイドエリアネットワークを超えた相手とやりとりできるようにしたことで、離れていてもいつもと同じ感覚でコラボができます。サーバーサイドはnode.js(編注:サーバーで動作するJavaScript環境)でsocket.ioサーバーを構築し、クライアントサイドはOSCメッセージとsocket.ioで扱えるパケットへの変換を行ったうえで、サーバーとの通信を行うnode.js + electron(編注:HTML、CSS、JavaScriptなどのWeb技術でデスクトップアプリケーションを開発できる仕組み)で構築されたアプリケーションを間に挟むことで、さまざまなOSCに対応したアプリケーション間での通信を可能としています。

僕が普段関わっているようなライブの現場は、照明や舞台美術、特殊効果など、さまざまなスキルを持った人たちがいる大きなチームで作っているのですが、現状のオンラインライブでは、そういう人たちがごっそりと抜け落ちてしまう課題があります。そこで、彼らがリモートで参加して仕事できるようなものをやれたらいいなと考えて開発を行い、照明やロボ、カメラのスイッチャーをコントロールする実験を「Staying TOKYO」で行っていました。

また、「Staying TOKYO」での取り組みとは別に、先日の非同期テック部第1回作品「ムロツヨシショー、そこへ、着信、からの」でも、ムロツヨシさんの自宅に置いてあるiPad、iPhone、TV、照明をリモートでリアルタイムでコントロールする実験を行いました。ヨーロッパ企画の上田誠さんによる脚本・演出だったのですが、テックとストーリーがうまく絡み合って面白いインスタライブショーになったと思います。ライブ時には6.5万人を超える人が見てくれていました。

非同期テック部/YouTube

──緊急事態宣言以前からオンラインイベントを始められていましたが、早い段階からバーチャルフェス的なものが求められることになりそうだと予感されていたのでしょうか?

竹川:3月下旬に、僕から大度くんに「バーチャルでMUTEKを開催したい」と相談したときには、すでに「考えていることがある」と言っていたし、本当に早く動き始めていた印象でしたね。

真鍋:3月6日に『サウス・バイ・サウス・ウェスト(以下、SXSW)』の開催中止が発表された時点で、多くの人たちが動き始めていました。今年はLAの映像プロダクションに声をかけてもらって『コーチェラ』のステージ演出をヘルプする予定になっていたこともあったので、早めのアクションが求められていたのですが、「予定通りの開催はできないかもしれないから、何か解決策を探そう」ということで、関係者と議論していました。

──SXSWの中止がひとつの大きなきっかけだったのですね。

真鍋:やはりSXSW中止の影響は大きかったと思います。僕のLAの仕事のパートナーである「Tool of North America」のDanから『Uncancelled』というオンラインイベントの映像演出の依頼を頼まれたのですが、メールの日付を見てみると3月7日となっており、その時には既にオンラインフェスの企画が次々と立ち上がっていましたね。

彼らはどうやったら音楽業界に貢献できるか、その意思だけで動いていた気がします。最初は僕もそうしたイベントに対して、お手伝いできることをやろうと思っていくつかプロトタイプを送ったりしていたのですが、目まぐるしく状況が変化していくのでうまく立ち上がらないイベントも多く、結果的に自主プロジェクトか、もう少し先を見据えたものが中心となっています。

ライゾマが開発したコミュニケーションツール「SDCP」が作る“ライトなソーシャル”

──ライゾマティクスではそうした「Staying TOKYO」と並行して、コミュニケーションプラットフォーム「Social Distancing Communication Platform(以下「SDCP」)」を開発されています。このシステムを開発するに至った経緯を教えていただけますか?

真鍋:ちょうど「Staying TOKYO」を始める頃から、オンラインで飲み会をする機会が増えました。10人程度が参加すると誰かが司会役にならないとうまく場が回らなくなってしまうことに気づき、クラブやバーが持っている、あのライトなソーシャル感がなくなってしまっているなと思ったんです。そこで「そういうのがあったらいいよね」という話を、アーティストのKyle Mcdonaldくんと話していたのがきっかけで、ライゾマの清水啓太郎、木村浩康を中心に作りはじめたのが「SDCP」です。

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Gif: Social Distancing Communication Platform

──「SDCP」はクラブのような二次元空間の中をアイコンが移動し、近いアイコンの人の音声が聞こえるようになるプラットフォームです。ここにはどのようなコンセプトや思いが込められているのでしょうか?

真鍋:オンラインでのコミュニケーションツールは、大きく「メタヴァース、VR」「コメント(チャット)」「音声/ビデオ」の3種類に分けられると思います。その中で「メタヴァース系」や「コメント(チャット)」にはいくつか使いやすいプラットフォームがありますが、「音声/ビデオ」を中心としたもの、特に、ユーザーのカメラ映像を画面上に複数出すシステムに関しては、Zoomのようにグリッド状に映像を表示するものしかありませんでした。「SDCP」に関しては、ユーザーが自分のカメラ映像の位置を自由に移動できて、さらに周囲の音声が自分との距離によって変化するという現実世界を模倣したシステムを採用しています。位置によって情報をフィルタするイメージですね。

──もっと違う形のツールがあってもいい、との思いが形になったのが「SDCP」なのですね。

真鍋:ただ、作った後にJitsiの改良版やSpatial Chatなど、同じようなものがいくつかあることがわかったので、ライゾマでやっている意味を出すためにも、少しずつ類似サービスとは違う機能をつけるようになりました。

──新しく追加した機能とは?

真鍋:“天の声”みたいに一人が全員に声をかけられる、特別ゲストやVIPはアイコンのサイズを変えられる、絵文字で感情表現できる、などの機能を追加しています。あとは、数百人、数千人のイベント開催を見越して部屋を複数作って移動できるようにした点ですね。今はマイクの音量や距離はフラットなビジュアリゼーションしかやっていませんが、この辺も設定次第でいろいろなことができるようにはなっています。基本的にはゲームなどのインタラクティブの世界でやられていたことを導入しているイメージですね。

──ライゾマティクスや真鍋さんが作ってきた作品のイメージからすると、平面的なグラフィックでライトなコミュニケーションを目指す「SDCP」の方向性には意外な部分がありました。

真鍋:「メタヴァース、VR系」はリッチなコンテンツを提供できるので、もちろんライゾマでやるにはもってこいのプラットフォームです。ただ、VRは一般に普及して時間も経っていますが、自分が普段クラブやバーで一緒に飲んでいる友人とオンラインで飲むことを考えると、少しハードルが高いし、顔を見て話した方が楽しいなと。外出自粛の状況とはいえ、VRを使う人はまだまだ限定的かなと考えています。

それに加えて、適当にバーに行って飲むくらいのライトな環境が欲しいと思ったのも大きいですね。僕自身、バーやクラブでなんとなく喋っていることから新しいものが生まれた経験も多いのですが、そういう場所がなくなってしまったので、ソーシャルでゆるく繋がれるものがあればいいなと考えました。

──VRのように情報量の多いものから「SDCP」のようなライトなものまで、ツールにもグラデーションがあったほうがいいということですか?

真鍋:そうですね。僕らが得意なのはオーディオやビジュアルによるリッチな体験作りですが、「SDCP」はそうした表現よりもソーシャルなことに意識を向けたツールになります。

──現在「SDCP」は「Staying TOKYO」のクローズドなアフターパーティー会場的な使われ方をしているようですが、今後どのような展開を考えられているのでしょうか?

真鍋:APIを作って、大学で使ってもらうことも想定しています。とはいえ、学生が単なるユーザーになるだけではなく、この環境を使ってクリエイティブなコーディングを学べる要素も加えたいと思い、オープンソースにすることも検討しています。

それから、次の大きなバージョンアップでは、会話内容や移動の分析を行ない、同じ会話をしている人を集めて同じグループにするなど、そうした可能性も検討しています。広告利用もできる技術なので、プライバシーに関わる点などは慎重にやる必要がありますが、技術的には逆にリアルなスペースでは難しいことにも挑戦できるので、新しいソーシャル体験を生み出せると思っています。

竹川:先日、「SUPER DOMMUNE」の宇川直宏さんが「SDCP」に参加したとき、「会うっていう身体感覚があった。身体がフェーダー。ボイスチャット。話せるのは良いよね!」と言ってました。「SDCP」を体験することで、今後“コミュニティー”という言葉の持つ意味も変わっていく気がしています。リアルスペースでのイベントをやるときにも欲しい感覚が、「SDCP」にはあるんですよね。

個人的な印象では、「Staying TOKYO」 は、プロデュースされすぎていない感じもいいなと思っています。オーディエンスからのチャットでの質問やシェアも言葉にエネルギーがありますし、「ライゾマティクスの実験の場を覗き見させてもらってる感覚」が楽しいです。

あと、トークセッションパートでは、MUTEKでも関心のあるテクノロジー関連の倫理や政策に関する課題についても話せる方が参加しているのも魅力です。何が良いか、何が楽しいかを感じるセンスを育むことが、カルチャー、文化でもあるわけですから。社会的な貢献を考えて仕事をしている人や、人と関わる仕事をやられている方には見逃せない要素があります。

「クリエイターを第一に」MUTEKがこの時代に見せる新たな一歩

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Image: MUTEK.SF

──真鍋さんの出演も決定している「“MUTEK.SF: NEXUS Experience” Festival」について。まずMUTEKとしては、現在のイベントができない状況についてどのように捉えていますか?

竹川: グローバル会議で感じる象徴的なことは、「アーティスト・エンジニア・クリエイターへの視線のあり方」です。クリエイターがクリエイションを止めない環境を作る。アーティストや作品を、絶対的なものではなく相対的なセンスで聴く、視る。3月上旬の時点で、この方向を意識しながら、MUTEK全体として「フレキシブルに考えていこう」と、年内7ヵ国で開催されるフェスティバルについて、意識を切り替えました。

僕自身は、MUTEKでのアクションを通して、創造性溢れる若いアーティストたちが新しい世界のネットワークを創りたいと感じられるような「インスピレーションの場」をつくりたいと考えています。

また、MUTEK本国であるカナダ・モントリオールでは、2020年9月8日〜9月13日まで、フェスティバルとフォーラムIMGのハイブリッドバージョンとして開催することを発表しました。フェスティバル参加者、アーティスト、チームの安全を確保しながら、リアルスペースとバーチャルスペースの両方で開催され、未知の地平を開拓し、世界中の観客にユニークなプログラムを提供していきたいと考えています。

──そうした状況下でサンフランシスコで行われる、「“MUTEK.SF: NEXUS Experience” Festival」は、どんな内容になりそうでしょうか?

竹川:MUTEKサンフランシスコがキュレーションし、リアルなクラブカルチャーにインスパイアされた、完全なデジタル空間を提供するのが「MUTEK.SF: NEXUS Experience」です。

ライブパフォーマンスステージ、インスタレーションやギャラリースペース、ワークショップ、時差も考慮したギャラリーのような常設展も用意しているので、いつ来ても楽しめて、かつ多様な触れ方ができます。また、「SDCP」と同じような思想として、ネットワーキングできるプライベートルーム/スペースを持っているので、2日間ここにいれば、来場オーディエンスやアーティストと気持ちの通った出会いやネットワークが作れるような時空間を楽しめます。

実験的な側面も多いのですが、currents.fmと協力しあって進めているミュージックプレイリストに関しては、僕自身もプレイリストに対しての見方が変わるきっかけになりました。アクションにつながるボタンや誘導もシンプルでさりげなくて、いかにもファンディング!といったあざとさがなく、聴いてると何かアクションを起こしたくなってしまうので、ぜひトライしてみてほしいですね。

また、医療従事者の方や社会制度に携わる方、寄附機関の皆様への感謝の気持ちはもちろんありますが、MUTEKとしては、世界がよくなることへの第一歩として、皆様からいただくドネーションを100%アーティストに還元することから始めます。「アーティストと一緒に、これからの世の中を見ていく」と、改めて気持ちがひとつになりました。

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Photo: ギズモード編集部

仕組みと表現における課題。そして、ゲームという先駆者

──いくつかのオンラインフェスやイベントを観ていて、マネタイズの難しさが非常に大きな課題だと感じます。

真鍋:それはまさに一番大きい問題です。ゲームのプラットフォームに乗っかる様な大型のものに比べると、TwitchやYouTubeを使ったオンラインイベントは、コストはそんなにかからないのですが、その分、経済規模としてはすごく小さくなってしまうので、マネタイズについて新しい仕組みを考えないといけないと思っています。

竹川:インターネット上に仮想世界を作るなどのかたちも考えられると思うのですが、それで果たして合っているのか?という視点も常に持ちながらのバランスですよね、そこは。文化的な行政や国際交流的な機関の活動も、新たにオンラインでの経済圏を創っていこうとすれば広がりはあると思います。そこには、やはり、より多くの人が気持ちよく参加できて、心を通わせることができる方法が必要ですよね。

真鍋:その中で、いろんなプラットフォームができてしまうと、それぞれに制作コストがかかるので、どうにか共通化できるといいなとも思います。アーティストとしてどこかのプラットフォームでパフォーマンスするなら、たくさんの人に見てもらえるほうがいいし、制作コストも安く済むのがいいですからね。ゲームから学ぶべきことは、たくさんあると感じています。

竹川:たしかに、ゲームから学ぶところはありますね。 世界観。

──ゲームといえば、アメリカのラッパーであるトラヴィス・スコットが行った『フォートナイト』内でのパフォーマンスは話題となりましたね。

真鍋:ゲームはユーザー数含めてすでに完成しているし、マネタイズもできているので、だいぶ先に行っていますよね。 自宅環境を整えたい人は、オンラインゲームをやって知見を獲得するのが一番だと思います。Wi-Fiではなく有線で接続するなど、ネット環境整備は長年ゲームで言われてきたことばかりなので。 『ストリートファイターV』のオンライン対戦では、回線が弱い人を足切りする機能がありますが、やっぱり有線接続がベースになりますね。

──プラットフォームやツールだけでなく、ユーザー環境についてもゲームが大きなベンチマークとなる時代ですね。

真鍋:そうですね。あえて参照するわけじゃないですが、僕はファンとしてゲームを楽しんできたので、「こういうことをやろう」と思いついたときに「そういえばゲームではもうやられていたな」と気づくことが多いですね。なので、今は、新しいことをやるときに「今までゲームでやられていないことはなんだろう?」と頑張って探している感じがあります(笑)。

──この外出自粛状態に新しく導入した機材はありますか?

真鍋:Blackmagic Designの「UltraStudio 4K Mini」ですね。あとは、イヤフォンやヘッドフォン、そしてマイクをいろいろと試しています。やはり配信やWebミーティング向けの機材が増えている印象で、カメラもいくつか試しています。

──「今後は、ミーティングや配信における画質や音質が信頼性に繋がる」といった言説も見かけるようになりました。

真鍋:特に、配信の音質はかなり重要になると思いますね。

竹川:「Staying TOKYO」で出てる音は段違いにいいですよね。音圧や空間を感じます。

真鍋:エンコードの設定もありますね。あと最終のミックスでちゃんと最適化しているので、音圧がある感じに聞こえるんだと思います。

──オンラインミーティングにはどんなツールを使われていますか?

真鍋:会議はTeamsとかZoomが多いです。 自分たちのイベントでは、自社サーバーにJitsiを設置して音をステレオにするなどカスタマイズして使っています。

現在感じている変化と、未来に向けて

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Photo: ギズモード編集部

──お二人のお話を伺っていると「元に戻ったらこうしよう」と考えるよりも、「未来に向けて、今できることをやる」というベクトルを感じます。

真鍋:「ちょっと様子を見てみよう」より「なるべく普段どおり手を動かしたほうがいい」と思ったので、目の前のプロジェクトがなくなったりしている状況の中で、逆に普段はあまり作らないようなCoreMediaIOを使ったDALプラグインなど小さなツールを、自主的なプロジェクトとして作ったりしながら日々活動しています。もちろん、元に戻ったときのために仕込んでいるものもありますけど、どうなるかわからないですからね。僕としては、少なくとも年内はオンライン中心の仕事になるのではないかと考えています。

ただ、僕はソフトウェアの人間なのでこういう状況でもできることがたくさんありますが、ハードウェアの世界ではそうはいかないので、深刻な影響が出ていることも強く感じています。

竹川: 今後、リアルスペースでイベントができる状況になったとしても、確実にバーチャルスペースの施策はこれまでよりも強くなるだろうと思います。もちろんフェスティバルを作る側としては、心が動くリアルで迫力あるものを見せたいと思っていますので、そこをバーチャルスペースでどう構築するかが鍵ですね。とはいえ、ここからのバーチャルスペースでの活動は、この状況が回復したあとに、リアルスペースで思いっきり全身で感じるフェスティバル体験が戻ることを念頭に置いた、希望の持てることをしていきたいと思っています。

そして、MUTEKグローバルみんなが大好きな大度くんには、今週末の、MUTEK.SF: NEXUS Experience初日のメインアクトとして、5月24日(日)午後14:50(日本時間)に、Daito Manabe & Satoshi Horii (Rhizomatiks)「phenomena – quarantine version」で、出演していただきます。

真鍋:今は、この先3年で起きるはずだった変化が、3ヶ月で起きてしまったような印象です。今までオンラインでやらなかったような人まで、オンラインでやるようになりましたから。実際に今、来年のとある企画のための展示準備をしているのですが、リアルスペースだけではなくオンラインも前提とした企画が当たり前になってきています。逆に今後、リアルだけで成立することが難しくなってくるとも感じています。

“MUTEK.SF: NEXUS Experience” Festival

初日メインアクトに、Daito Manabe & Satoshi Horii (Rhizomatiks)出演!

今週末に行われるMUTEK.SF Nexus Experienceの一環として、MUTEK.JPはRhizomatiks ResearchのDaito ManabeとSatoshi Horiiによるオーディオビジュアルパフォーマンス『phenomena』を公開します。この二人のアーティストによる作品は、2018年のMUTEK.JPでも披露されたもので、今回『phenomena - quarantine version』として特別に準備しました。アーカイブは一切なしのライブストリーミングに最適化されたバージョンになります。

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Schedule

PDT(GMT -7):5/23〜24(16:00〜00:00)
日本時間:5/24〜5/25(8:00〜16:00)

A Digital Gathering Space

1. Live AV Performers and DJs on Two Stages.
2. Installations in Online Galleries.
3. A Screening Room of Short Films.
4. Artist Workshops.
Community “After Hours”

Artists

AIDA IR/CA / Daito Manabe + Satoshi Horii (Rhizomatiks) JP / Gabber Modus Operandi + Rimbawan Gerilya ID/DE / JS Aurelius CA / Matrixxman US/DE / Nancy Dru CA / Nkisi + Ariel Efraim Ashbel & Cassie Augusta Jørgensen BE/UK + DE + DK / Piano Rain US / Qoa + Joaquina S. AR / QUALIATIK US / Suzi Analogue USAAAA MX / Auscultation + Jason Worden US / Drew McDowall UK/US + Florence To UK/DE / Eichef MX/US / Force Placement US / Francesco Tristano LU/ES presents: Pianorig Sessions / Infinite Jess US / Jasmine Infiniti + Cozy US / Jensen Interceptor b2b Kris Baha AU/DE + Multiple Man AU/US (Visuals) / K-HAND US / Marpi US / Minimal Violence CA / Nate Boyce US / Patricia + Josephine Ravitz US / Pelada CA / RP Boo US / Selim X US / Solar b2b Mozhgan US / Synthestruct US / The Creatrix US / Very Much Romance US + BG/US / YobKiss NL/US + Pankow Visual Artists RU/US

参加無料/ドネーションは100%アーティストに還元されます

参加方法

日本時間5月24日8:00AMに、“MUTEK.SF: NEXUS Experience” Festivalが開始されたら、NEXUS.MUTEK.USにアクセスし、登録に使用したいEメールでサインインしてください。最高の体験をするためには、ノートPCまたはデスクトップPCでフェスティバルを探索することをおすすめします。中に入ると、すべてのアーティストのセットタイムにアクセスしたり、バーチャル会場内の部屋を探索したり、友達と交流したりすることができます。パトロン機能には、プライベートチャットルーム、ビデオチャット、カスタムバッジなどがあります。さらに、あなた自身のTwitch、YouTube、Vimeoストリームを投稿することができます。フェスティバルが始まると、いつでもあなたの部屋にある参加コードで、友達を招待することができます。

パトロン機能を獲得する方法

nexus.mutek.usで寄付をする
currents.fmでアーティストを直接サポートする

寄付金の収益はすべて、フェスティバルに貢献しているアーティスト、プレゼンター、ミュージシャン、制作者に均等に分配されます。アートの非営利団体であるMUTEKは、皆様からのご支援に感謝し、このバーチャルな実験に参加していただけることを楽しみにしています。

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Daito Manabe + Satoshi Horii (Rhizomatiks)

日本時間:2020年5月24日(日) 14:50頃出演予定
at GODS AND MONSTERS

*30分ほど前後する可能性がございますので余裕をもってご参加ください。

phenomena – quarantine version

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phenomena - Daito Manabe & Satoshi Horii(Rhizomatiks)

「phenomena」は、音とビジュアルを生成するために、創作アルゴリズムなどの実験的な手法を開発することで、オーディオ・ビジュアル作品を制作しています。従来のオーディオ・ビジュアル作品は、音を分析してビジュアルを生成したり、ビジュアルを分析して音を生成したりすることで、オーディオとビジュアルの2つの側面を分離していました。本作では、事前に音と映像の関係を同期させ、調和させるためのベースとしてデータを作成し、ストーリーを持たない抽象的なアウトプットを行い、メディア自体が持つ異なる感覚を呼び覚ますようにしています。データ作成の過程では、身近な物理現象からVAE(variational autoencoder)などのディープラーニングアルゴリズムまで、シンプルなアルゴリズムを用いています。

今回は、ライブやインスタレーションで行われていたオーディオ・ビジュアル作品をストリーミングバージョンに最適化し、サンフランシスコからこの後どこにもアーカイブは一切なしの「phenomena – quarantine version」として、この場限りのライブ配信を行います。

Edit: Sachiko.T(GIZMODO)

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