Googleの完全ワイヤレスイヤホン「Pixel Buds(2020)」レビュー:つけ心地や音はいいけど、ちょっと問題も

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Googleの完全ワイヤレスイヤホン「Pixel Buds(2020)」レビュー:つけ心地や音はいいけど、ちょっと問題も
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

欠点にさえ目をつぶれば買いかも

Google(グーグル)の初代Pixel Budsは、Apple(アップル)のAirPodsへの対抗製品として期待されていましたが、ややガッカリでした。しかし、今回のPixel Budsは、ちょっと欠点はあるものの、なかなかの出来なようです。以下は米GizmodoのSam Rutherford氏によるレビューです。


オリジナルのPixel Budsは奇妙な製品でした。というのも、AirPodsが出てから一年遅れて登場し、AirPodsと同じ160ドル(約1万7千円)という価格設定の割につけ心地は良くなく、スマートでもないし、左右のイヤホンが繋がっているので完全ワイヤレスでもありませんでした。しかし新しいPixel Budsでは、Google(グーグル)は汚名を返上し、使い心地が良く音質も良いイヤホンを作りました。ただ、悪質なノイズという欠点を無視できればですが。

Pixel 4のように、180ドル(約1万9千円)のPixel Budsはクリーンでミニマリストなデザインで、マットホワイトなケースに、イヤホン自体も4色(ブラック、ホワイト、ミント、オレンジ)から選択できます。卵のようなケースはスタンダードなAirpodsのケースよりもやや小さく、ケースの底にあるインジケータや磁石式のフタ、有線充電のためのUSB-Cポートなど、標準的なものは付いています。ペアリングボタンはケースの裏についているので、デバイスとのペアリングが簡単に行なえます。Pixel Budsは最大6つのデバイスに接続可能で、それぞれに対して設定を保存できます。

Google Pixel Buds(2020)

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

これは何?:Google製のワイアレスイヤホン

価格:180ドル

好きなところ:着け心地がいい。Adaptive Soundボリュームコントロールがあり、音質も良好。セミ・オープンバックのデザイン、ワイアレス充電つき、ペアリングも簡単でコンパクトなケース

好きじゃないところ:再生中にかすかなノイズ、ちょっと高い、充電のもちはそんなに良くない

バッテリー持続時間はちょっと物足りない

ベースモデルのAirPods(160ドル)と違い、Pixel Buds(180ドル)はQi(チー)ワイヤレス充電がスタンダードで備わっており、イヤホンを使っていない時は、ケースを充電パッドの上に置いておけば充電してくれます。Googleによると、Pixel Budsは一度の充電で約5時間もつそうで、実際フルの状態から電池切れまで使ってみたところ、それはおおよそ正しいと分かりました。しかし、同じく180ドルのJabra Elite Active 75tは一度の充電で7.5時間持続するし、Samsung Galaxy Buds+は11時間と、倍近く持つことを考えるとかなり残念と言えます。

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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

しかしながら、Pixel Budsのケースはさらに約20時間分の充電を行なえ、しかもイヤホンをケースにしまうと、凄い速さで充電されます。10分充電するだけで2時間分は充電できるし、30分入れれば完全に充電可能です。素早い充電だけでは短い持続時間を補うことはできませんが、毎日休みなしに5時間イヤホンを使いっぱなしでなければ、そこまで心配する必要はないということです。

簡単なペアリング

また、Pixel Budsはセットアップが非常に簡単です。Pixelスマートフォンを持っていれば、Pixel Budsのケースを開けた瞬間にペアリングしたいか訊いてきます。その他のAndroid携帯やiOSデバイス、それら以外のシステムの場合、ケースの後ろのボタンを数秒ホールドすることでペアリングモードにできます。その前に、デバイスの設定でBluetoothをオンにし、イヤホンを検知できるようにするのを忘れずに。大抵の優秀なワイヤレスイヤホンがそうであるように、一度接続すれば、次はケースから取り出すと自動的に繋がります。また、耳からイヤホンを外すと、センサーが感知して音楽を一時停止してくれ、ケースにしまうとイヤホンのスイッチをオフにしてくれます。

セミ・オープンバック

ここまでは他のイヤホンでも同じようなことができますが、ここからいくつかユニークな機能が登場します。AirPods Proのようなアクティブノイズキャンセリングや、Galaxy Buds+のように耳を密閉するパッシブノイズキャンセリングの代わりに、Pixel Budsはセミ・オープンバックデザインを取り入れています。つまり、意図的に外界の音を少し取り込む通気口があるのです。


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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


これにより、Pixel Budsのサウンドステージは広大空気感があり、SonyのXperia Ear Duoの魅力を、仰々しい見た目にならず、他人に自分の音を聴かせずに再現しています。カスタムのイコライザーを作成して音質を調節することはできませんが、Pixel Budsの音は鮮明なハイからうまくバランスの取れたローまで実にリッチです。さらに、Pixel Budsは耳の周りを密閉しないので、耳の中と外で気圧が変わりません。気圧の変化が苦手な人にとっても、長時間のリスニングは快適でしょう。Pixel Budsでの電話に関しては、それぞれのイヤホンに二つのマイクがあるので、声の音声が高いだけでなく、外界の煩わしい音をカットしてくれます。

快適な着け心地

着け心地は常に主観的になってしまいますが、私にはPixel Budsは非常に快適でした。小さいサイズと耳からほとんど飛び出さないデザインのおかげで、ワイヤレスイヤホンで唯一寝る時につけたイヤホンになりました。寝るときにイヤホンを付けっ放しにする人は殆どいないと思うので、これが非常にニッチな使い方なのは認めますが、大学時代にジャズクラブの真上に住んでいた体験から(スペシャルサンクス:Wally’s Cafe)、寝る時に音楽や映画、ポッドキャストなどなんでもいいので、聴いていないと眠れなくなったのです。Samsung Galaxy Budsなどと比較しても、Pixel Budsの着け心地の良さは比べ物になりませんでした。Pixel Budsには小中大のイヤピースがついてきますが、まるで私のために作られていたかのように、標準でついている中サイズを付け替える必要すらありませんでした。


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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


さらに、Pixel Budsが快適かつ安定するよう、Googleはイヤピースの後ろに小さなスタビライザーを付けました。これにより、イヤホンを耳に入れてちょっと下に向かって捻るだけでしっかりとフィットします。一方イヤホンの外側には、左右ともにタッチセンシティブな表面があり、様々なジェスチャーで携帯やラップトップに触れずにコントロールできます。一回のタップで曲をポーズし、ダブルタップで次の曲、トリプルタップで一個前の曲、さらに前か後ろにスワイプで音量を調節できます。現在のGoogleプロダクトのほとんどがそうであるように、Pixel BudsもタッチアンドホールドでGoogle Assistantを呼び出すことができ、質問したり、リアルタイム翻訳も行なってくれます。

ちょっと問題も

しかし、セミ・オープンバックのデザインにはいくつか欠点もあります。一番は、周囲が煩い環境だと、道路のノイズやサイレン、地下鉄のブレーキ音などがハッキリ聞こえることです。歩行や自転車などの安全のために、外界の音を完全に遮断したくない人にはむしろ好都合かも知れませんが、飛行機中での赤ちゃんの泣き声を遮断できないなどの問題もあります。泣き声は多少くぐもるし、気に入った曲をかけて聴くこともできるでしょうが、Pixel Budsがアクティブ、またはパッシブノイズキャンセリングを持っていたら、もっとちゃんと泣き声をシャットアウトできたでしょう。

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このキュートな宇宙たまごをご覧あれ
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

Adaptive Soundがとても快適

他の場面では、例えば車道のノイズや他人のZoom通話などのアンビエントノイズはPixel Budsの手に負えないと思うかも知れませんが、実はそうではないんです。というのも、 GoogleはPixel Budsのために特別なAdaptive Soundモードというものを開発したのです。これは、環境に合わせて音量を自動調節するもので、あまり目立たない機能ですが、非常に便利です。私が道を歩いている時、近くをトラックの列が通りました。Pixel Budsは私が触らずとも音量をゆっくり上げて、ポッドキャストを聞き逃すのを防いでくれ、トラックが去った後、音量を元に戻してくれました。もしなんらかの理由でAdaptive Soundをオーバーライドしたい場合、音量を自分で調節すればPixel Budsはユーザーの意思を尊重してくれ、次にアンビエントノイズが大きく変わるまで待ってくれます。

しかし、ここでまた大きな問題の話をしなければなりません。どうやらPixel Budsのいくらかで、かすかなノイズが聞こえるようです。私がレビューしたイヤホンでは、右だけが影響を受けていました(5つのスマホでテストして、全てでシューッというノイズが聞こえました)。何人かPixel Budsのユーザーに訊いてみたところ、左だけという人もいれば、両方という人もいました。この問題がトリッキーなのは、私のデバイスでは、ノイズは音量が30パーセント以下でないと聞こえないということです。つまり、問題に全く気づかない人もいるかも知れません。でも、鬱陶しいことの大半がそうであるように、一度気づくと無視できなくなります。


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背面のペアリングボタンは素早い接続に便利です
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


Googleにこの問題について訊いてみたところ、こう答えが返ってきました。

全てのBluetoothイヤホンにはある程度のノイズが特定の周波数で発生します。私たちはテストを通じて、Pixel Budsで発生するノイズが、他のBluetoothイヤホンと同程度のレンジに収まるようにしました。少人数のユーザーは聞こえるかも知れませんが、多くは聞こえないでしょう。当社では、ノイズが聞こえるという方のために、ソフトウェア面でノイズをより抑える方法を研究しています

私はティーンエイジャーではありませんが、どうやらまだ耳は若いようです。私はPixel Budsの微かなサーッというノイズや、古いCRTやLCDモニターがたまに出す高音のノイズも聞き取れます。それは良いのですが、人によって非常に煩わしいか、あるいは全く気にならないというのは、Pixel Budsを買おうか考えている人には非常に悩ましい問題です。運が良ければノイズを一切出さないPixel Budsに当たるかも知れませんが、そもそも競合している機種の殆どはそんな現象に悩まされていません。それは、より安価なスタンダードのAirPodsやGalaxy Buds+、より高価なJabraやSonyでもです。


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Image: Sam Rutherford/Gizmodo US


私はPixel Budsのコンパクトなケースがお気に入りです。この小さいサイズに20時間分の電池やワイヤレス充電を詰め込めたというのは驚きだし、後ろのボタンはPixel Budsとデバイスの接続を非常に簡単にしてくれています。さらに、Adaptive SoundやPixel Budsの直感的な操作はスマートで気が利いているし、Google Assistantは頼むだけで様々なことを行なってくれます。それに、Pixel Budsの着け心地やフィットも大好きです。

しかし180ドルという価格は、ANC無しでノイズが聞こえる完全ワイヤレスイヤホンにしてはやや高めです。セミ・オープンバックデザインのおかげで、外界から完全に閉ざすことなくリッチな音を楽しむことができますが、それが万人に受けるとは限りません(私は大好きですが)。Pixel Budsはいくつかのユニークで便利な機能がありますが、ノイズ、持続時間、独特なリスニング体験から、誰もが好むものとはいかないと思います。

READ ME

・右でも左でも、片方をケースにしまったまま、もう片方だけで使える。

・一回の充電で5時間持続は、正直まぁまぁな印象。とはいえ、ケース自体に20時間分の電力を溜める事はできる。

・Pixel Budsは充電用にUSB-A to USB-Cケーブルが付属するが、プラグは付属していない 人によって着け心地は様々だが、私がテストした中では最も快適だった。

2020年5月13日 12:15 訂正:WF-1000XM3 について「片耳だけで使えない」旨の記載がありましたが、誤りでした。謹んで訂正いたします。

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